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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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威力偵察

威力偵察ってサブタイ付けたけど、違くね?

お願いだから、そう思っても言わないでorz


 夜が明けて陽が登ると共に闇に覆い隠された監獄島は明るさを取り戻した。

 監獄島の警備をする兵達は起きると早朝訓練の為に走り込み、その後には戦闘訓練。

 そうして練度と己の力の維持に奔走すれば、朝餉を取って腹ペコの腹を満たしていく。

 その2時間後には夜の警衛から朝の警衛をしていた部隊から警備を引き継ぎ、交代。

 そんな一連の動きを寝起きがてら(つぶさ)に観察した正樹は心の中で「やっぱり練度の高い精鋭部隊だ」と、敵である彼等に対して敬意を持ちながら朝食を取り始めた。

 朝食はMREレーションにあったクラッカーと、現地である異世界に来る前に"犬小屋"の最寄りのスーパーで調達した魚肉ソーセージ。

 それに各種ビタミン剤。

 そんな粗末な朝食を手早く喰らい、フィルムケースの水を半分飲んでカロリーと水分の補給を済ませた正樹はデザートに飴玉を1つ口に放り込む。

 口の中にジンワリと甘味が広がり、疲労した身体に染み渡っていくのを堪能しながら飴玉を静かに(ねぶ)る正樹は爾後の予定を脳内で確認していく。


 午前中は昼まで此処で静かに待機。

 朝飯食った後に警備してる所を動き回るのはリスクが高過ぎる。

 昼前に早めのランチ(昼食)を済ませた後。

 昼食を取ってる間の隙を突いて、日がある内に移動。

 その後、地形確認。

 日が沈む迄に地形確認を完了させたら、帰り支度と置き土産の用意。

 準備完了後は予定時刻まで待機。


 飴玉を舐って脳に糖分を補給しながら爾後の予定確認を完了させた正樹はインカムに向けて語り掛ける。


 「此方、チョールト。異常無し」


 己が無事である事を涼子達へ通知した正樹は飴玉を呑み込むとフィルムケースに残る水を飲み干した。

 そして、昼まで静かに息を潜めると共に身体を休めて次の偵察に備えるのであった。





 午前中。

 監獄島を警備する兵達の日常は平穏に満ち溢れていた。

 警備任務上の問題は些細な事も含めて発生せず、何時もの平穏ながらも退屈な時が過ぎていく。

 そうして、何時もの平穏で退屈な時が過ぎていく内に昼食の時間を迎えた。

 腹を空かせた兵達がローテションで昼餉を取る合間。

 ソレは正樹と言う凄腕の工作員にとって、大きな隙であった。

 そんな大きな隙を突いた正樹は細心の注意を払ってコソコソ動き回って警備を掻い潜り、悠々と偵察任務を着実に遂行。

 そうして、誰にも気付かれる事無く偵察任務を遂行した正樹は夕方前に確保していた一時的な(ねぐら)に戻ると、夜の行動の支度を進めながらプランを確認していく。


 最初に仕掛ける場所は海岸周囲警備する詰所だ。

 詰所へ突入し、制圧完了後。

 時限爆弾をセット。

 爆弾セット完了後。

 移動して本舎である監獄付近にも時限爆弾をセットし、所定の位置へ移動。

 その後はタイムを測ると共に即応部隊の規模を確認。

 確認完了後に脱出すれば、俺の偵察任務は完了。


 簡単に己が組み上げたプランの概要を確認した正樹は準備の手を止めると、ポツリと独り言ちる。


 「4日ぶりの煙草が待ち遠しいな」


 この潜入偵察任務の為に正樹は禁煙し続けた。

 潜入偵察任務完遂後に味わう煙草を大いに愉しみにしながら。

 任務完遂後の煙草を愉しみにする正樹の準備は実に簡単なモノであった。

 詰所内を制圧する(皆殺しにする)為に用いる角張った見た目が特徴的なオスプレイ9サプレッサー付きのGLOCK17の点検。

 それから、制圧(皆殺し)後に木っ端微塵に吹き飛ばす為に仕掛ける時限式の起爆装置をセットして時限爆弾と化した1キログラムのC4爆薬。

 勿論、城壁近くに仕掛ける1キログラムのC4爆薬も既に時限爆弾と化している。

 たったコレだけ。

 実に簡単な準備であるが、今の段階ではコレで良いのだ。

 残りの準備は実行前にする。

 その方が効率的で合理的であるが故に……


 実行した後は即応体制の確認。

 それと、敵増援である即応部隊が到着するまでの時間と部隊規模も確認しないとならない訳だが……


 「俺独りで殺るのシンドいねん」


 正樹はヤル事が多い事にボヤきを漏らし、辟易としてしまう。

 実際、こうした偵察は単独でやるものではない。

 規模は多くする必要は無いが、ソレでも仲間が1人2人居る方が効率がアップする。

 当然、効率がアップする分、成功率も大きく増す。

 だが、こうした潜入と偵察が出来るのは正樹しか居ないのが現状。

 それ故……


 腕の良いスカウトマン欲しい。

 出来れば、スナイパーとしてのスキルも有れば最高。


 正樹が優秀なスカウトスナイパーが欲しくなるのも必然と言えるだろう。

 しかし、ソレは……


 でも、日本でそんな凄腕確保するなんて至難の業だろうなぁ……

 日本国内でソレ系のスキルを合法的に学ぶ方法、陸自に入隊して普通科入って学ぶぐらいしか無いだろうし……

 まぁ、そう言う訓練を民間でしてくれる所も有るんだろうけど、やっぱりキチンと軍で訓練を受けた奴の方が良い。


 日本では簡単ではない。

 寧ろ、不可能に近い。

 そう言っても過言ではない、無い者強請りと言えるだろう。


 「マジで何処かに優秀な人材が転がってねぇかな?」


 正樹は再びボヤきを漏らし、ウンザリそうに辟易としてしまう。

 己の復讐に加担させないにしても、汚い仕事を続けると共に成功率を上げるならば、優秀な人材確保は急務と言えた。

 しかし、その当てが無いのが現状である。

 それ故。

 正樹は「当面は俺が過労死するのが早いか?のチキンレースだな」と、ボヤくしか出来なかった。


 マジで人材確保してぇな……

 俺の復讐は抜きにしても、割とガチで人材無いのは切実な死活問題だし。


 部隊運営。

 否、ソレ以前の問題に対して正樹は指揮官として頭を抱えると、ウンザリとした大きな溜息を静かに吐いてから思考を切り替える為。

 敢えて、口に出した。


 「先ずは今の任務に集中しよ……失敗したら本末転倒だし」


 自分に言い聞かせる様に言葉を口に出した正樹は息を殺し、静かに夜を待つのであった。





 時間が経つと共に日は沈み、夜の帳が降りていく。

 監獄島を守備する者達は課業終了を迎えると、夕餉を取って兵舎に戻って休息を取り始めた。

 夜の間。

 監獄島を守備する部隊は何時ものルーティンで夜間の警衛に勤しみ始める。

 何時もの退屈で平穏な日常で終わる事を善良なる神々と聖王に祈りながら……

 だが、その祈りが善良なる神々と聖王に伝わる事は無い。

 既に自らをチョールト(悪魔)と名乗る邪悪な凄腕の無法者が深く潜入して忍び寄り、チョールトの名に恥じぬ悪事を働く為。

 邪悪な企みを抱きながら息を殺し、時を待っているのだから……


 さて、時間だ。


 日付が変わった頃。

 腕時計から作戦実行の時を迎えた事を確認した正樹は文字盤にカバーを掛けると、インカムに向けて告げる。


 「此方、チョールト。これより威力偵察を実施する」


 正樹から威力偵察を実行する旨の通知が送られれば、インカムを介して遠く離れた海上で待機する涼子から返信が来た。


 「此方、ハイヤー。了解」


 涼子が正樹が威力偵察を行う事をキチンと了解すると、正樹は更に告げる。


 「帰投予定時刻は2時間半後。それまで待機されたし」


 「ハイヤー。了解」


 帰投予定時刻の通達を確認した涼子の返事が返って来ると、正樹は威力偵察実施する為。

 移動を始めた。

 昨晩の偵察で実際に自分で獲た警備情報を基に正樹は厳重な警備網を容易く潜り抜けながら素早く、静かに移動して行く。

 そうして難無く昨晩も来た海岸近くの詰所へと忍び寄った正樹は、昨晩と同じ様にコンクリートマイクを用いて詰所内を盗聴し始めた。

 ジッと静かに盗聴を続ける正樹は腕時計で現在時刻を確認する。

 視覚で時刻。

 聴覚で内部の遣り取りを確認する中、詰所内で定時報告が行われた。


 定時連絡確認。

 偵察で知り得た通りなら、次の定時連絡は60分(1時間)後。


 内部を盗聴すると共に時間を確認し、偵察で獲た通りである事を再確認する事に成功した正樹は次の段階へ移行する為。

 その場から音を立てる事無く、静かに這って立ち去って行く。

 そうして夜の闇に溶け込む様に姿を隠すと、ジッと静かに息を殺して待った。

 10分が過ぎた頃。

 巡回していたであろう兵士達が3人。

 詰所へ戻って来た。

 詰所内に兵士達が入るのを確認した正樹は何かを持つかの如く、ジッと息を潜め続ける。

 数分後。

 違う顔触れの巡回の兵士達が3人。

 詰所から出て、巡回し始めた。

 正樹は腕時計で時刻を確認すると、そのまま静かに待ち始めた。

 静寂に満ちた時間が刻一刻(こくいっこく)と過ぎていく。

 暫くの間。

 具体的に言うならば、約40分程だろうか?

 詰所から出た3人の兵士達が巡回から戻って来た。

 兵士達が詰所内の長に異常無しの報告をすると、次の巡回が始まった。

 兵士達の巡回を尻目に正樹は腕時計を見遣る。


 巡回開始から終了まで約35分。

 明るい内に偵察した通りだ。


 昼過ぎから実施した偵察時。

 正樹は当たり前の様に巡回する兵達の出発から帰還までの時間を計り、既に時間を掌握していた。

 夜も変わり無く、時間通りに巡回が済む事を確認した正樹は威力偵察を本格的に実行する為。

 腕時計で現刻を確認後。

 行動に移る為、正樹は巡回の兵士達が出発するのを静かに待った。

 数分後。

 兵士達が巡回する為、詰所から出た。

 だが、正樹は直ぐに動かない。

 ジッと静かに、暗視ゴーグル越しに巡回する兵士達の姿が小さくなるのを待った。

 5分ほどして兵士達の姿が小さくなると、正樹は静かに地面を這って詰所へ接近する。

 気付かれる事無く詰所に接近する事に成功すると、正樹は詰所側面へと這って移動して行く。

 程無くして詰所側面に忍び寄った正樹は腰の右側に装備したホルスターへ手を伸ばし、静かにGLOCK17を抜いた。

 既に薬室に初弾が送り込んである事を当然の様に掌握している正樹は、詰所の出入り口側へ気付かれない様に移動する。

 移動完了後。

 ゆっくりと立ち上がって片膝立ちになると、詰所側面にある窓へ角張ったサプレッサーの先端を静かに近付け、窓の端をコンコンと軽く叩いた。

 その音と共に詰所内に居る兵士達の意識が窓に集まる。

 それと同時に正樹は再び地面に伏せると、静かに這って出入り口の方へと移動して行く。

 兵士達の意識が未だ窓に集まる中。

 1人の兵士が確認の為に椅子から立ち上がり、腰に佩いた剣の柄にソッと手を伸ばしながら窓へ歩み寄る。

 他の兵士達も警戒心を露わにすると同時。

 確認しようとする兵士を何時でも援護出来る体制を整えていく。

 兵士が緊張と共に窓に手を掛けようとした矢先。

 ソレは起きた。

 くぐもった銃声が瞬時に数度。

 詰所内に響き渡ると、中に居た兵士達は床へ崩れ落ちてピクリとも動かなくなった。

 皆、後頭部を撃ち抜かれて即死だ。

 電光石火とも言える早業で中に居た兵士達を射殺した出入り口に立つ正樹は、銃口から硝煙立ち昇るGLOCK17を構えたまま正面とその周囲を耳目を集中させて警戒。

 武道に於ける残心の如く新手の敵が正面から来ない事を確認すれば、後ろを一瞥してまた警戒。

 そうして殺害した事が未だ誰にも気付かれていない事を確認すれば、潮風に混じる血と硝煙立ち込める詰所の中へと足を踏み入れ、隣の部屋の扉を軽く数度ノックする。

 ノックすると、扉の向こうから誰かが歩み寄って来る足音がした。

 正樹は扉の脇へ音を立てる事無く立つと、息を潜めて静かに待つ。

 程無くして扉が開いた。

 その瞬間。

 出入り口に躍り出た正樹は扉を開けた出入口の直ぐ前に立つ兵士を押し倒すと共に部屋の中へと飛び込むと、一瞬の内に中に居た2人の兵士の眉間を瞬時に撃ち抜いた。

 勿論、最後には押し倒した兵士の眉間も撃ち抜き、射殺した。

 そうして休憩室であろう部屋の制圧(皆殺し)が完了すると、正樹は休憩室にある別の扉の脇へと忍び寄る。

 壁に耳を押し当て部屋の中の音を確認すると、動きは確認出来なかった。

 正樹は静かに扉を開けると静かに侵入し、仮眠室であろう灯りのない部屋でグッスリと眠る6人の兵士達を淡々と射殺していく。

 こうして詰所内の完全な制圧(皆殺し)が完了すると、正樹は床に転がる空薬莢を全て回収してから時限爆弾を詰所の中心にセットした。

 時限爆弾のタイマーを巡回の兵士達が戻る頃に合わせた正樹は詰所内の灯りを全て消すと、出入り口から周囲を警戒。

 安全である事を確認後。

 正樹は詰所から静かに立ち去った。

 その後。

 セットした時限爆弾のタイマーの時間内に次のポイント……監獄本舎である城の城壁の側面への移動が完了すると、正樹は周囲を警戒してから城壁へ忍び寄る。

 問題無く接近すると、影が深く差し込んで死角となる地面に時限爆弾をセット。

 時限爆弾のセットが完了すると、周囲を警戒して安全確認してから撤収。

 撤収完了後。

 威力偵察が実行された際の観測地点への移動が完了すると、その場に伏せた。

 そして、ストップウォッチと双眼鏡を手に時限爆弾が起爆するのを静かに待った。





 巡回から戻って来た3人の兵士は直ぐに異変に気付いた。

 普段なら明かりが灯っている詰所が今日、この時だけは真っ暗であったが故に。


 「トマスは此処で周囲を警戒。ルゥは俺と一緒に中を確認するぞ」


 3人の小さな班の班長が気心知れた仲間に言うと、2人は頷くと共に返事をした。


 「解った」


 「あぁ」


 トマスと呼ばれた兵士がクロスボウを手に詰所を警戒する中、班長とルゥは詰所へと慎重に忍び寄って行く。

 程無くして詰所に入ると、嗅ぎ慣れない異臭(硝煙)が2人の鼻腔を突いた。

 室内が真っ暗であるが故、班長はルゥに指示する。


 「ルゥ。灯りを点けろ」


 「わか……」


 班長の指示にルゥが返事しようとした瞬間。

 唐突に何の前触れも無く、詰所が轟音と共に詰所は木っ端微塵に消し飛んだ。

 2人の勇敢で優秀な兵士と共に……


 始まった。


 己が仕掛けた時限爆弾がキチンと働いてくれた事を夜の静寂を盛大にブチ壊す爆発音から確認したと同時、正樹はストップウォッチをスタートした。


 さて、どれくらいで警報が鳴るかな?


 高みの見物と言わんばかりに余裕の表情を浮かべる正樹はストップウォッチ片手に監獄を静かに観察していく。

 監獄本舎である城では蜂の巣を蹴飛ばした騒ぎが起き、突然起きた謎の爆発に兵士達は浮足立って居た。

 すると、そんな兵士達を一喝する者が現れた。


 「皆落ち着け!!」


 その者は初老ながらも屈強な身体を持ち、指揮官としてのオーラに満ちていた。

 そんな初老の男の一喝に兵士達が直ぐに落ち着きを取り戻すと、初老の男は直ぐに命令を下達して行く。


 「ウルド!お前は兵を3人率いて城壁を確認しろ!」


 「ハッ!!」


 ウルドと呼ばれた男は直ぐに手近な兵士に声を掛けて3人の兵士を確保すると、初老の男の命令を実行する為に走り出す。 

 そんなウルド達を尻目に初老の男は次の命令を下達する。


 「本土への警報を鳴らせ!!」


 「ハッ!!」


 部下の1人が直ぐに返事すると、その部下は城の中へと駆け込んだ。

 それから程無くして、今まで沈黙していた鐘楼の大鐘がけたたましく大きな鐘の音を島中に響き渡らせ、塔の1つにある灯台の明かりが点り始めた。

 そんな一連の動きを観察していた正樹はストップウォッチのスタートとリセットボタンを同時に押すと、時間を確認する。


 3分12秒。

 早いな。

 兵も精鋭なら、指揮官も優秀だ。

 あぁ、コレだったらライフルなりカービンなり持ってくれば良かった。

 此処で殺れば、作戦決行時に滅茶苦茶有利に働いた。


 警報が鳴り響くまでに掛かった時間を計測し、時間を確認した正樹は監獄を指揮するであろう初老の男が優秀な指揮官であると判断。

 同時にライフルを持ち込まなかった己に呆れた。

 それから直ぐに気を取り直して気持ちを切り替えると、正樹は監獄の即応体制を観察して行く。


 兵舎の方は……スゲェなあの爆発音の後に寝起きにも関わらず、全員が完全武装で外に整列。

 しかも、整列後に兵達の隊長がテキパキと命令下達して戦闘配置を整えると共に状況確認の為、海岸への斥候を兼ねた先遣隊を派遣してる。

 突然のトラブルに対しても自発的に最善の行動を取れる。

 俺の見立て通り、此処の連中は精鋭揃いだ。


 歴戦の猛者として、この時代に於ける優秀な教会の兵達が浮足立つ事無く現時点で最善と言える行動を自発的に起こせる事に正樹は心の底から敬意を覚えていた。

 兵達は一糸乱れる事無く、指揮官の命令に対して命令実行の為に素早く行動を進めていく。

 簡単な様で実に難しい素早い命令実行する兵達の動きを(つぶさ)に観察する正樹は、敵である監獄の守備兵に対する脅威度を修正。

 二段階ほど上げた。

 それ程までに守備兵達は精強な精鋭揃い。

 正樹はそう判断せざる得なかった。


 即応体制の確認は取れた。

 後は増援の即応部隊到着時刻と部隊規模を確認すれば、俺の任務は完了だ。


 静かに息を潜める正樹は監獄の観察をしながら、ジッと待ち続ける。

 15分程経った頃。

 海岸の方で動きがあった。


 即応部隊が到着。

 タイムは24分37秒。

 帆船でそのスピードはありえねぇだろ?

 一番近いシャブールまで結構な距離あるぞ?


 正樹はストップウォッチが示した即応部隊の到着時間に驚きを隠せずに居た。

 風の力を頼りに移動する帆船が近くとは言え、遠く離れたこの監獄島に30分も掛からずに到着した。

 それは正樹にとって、嫌な結果と言えた。

 上陸した部隊の規模も含めて……


 25分以内に到着可能って事は、()()1個中隊(約200人)()()()臨戦態勢で待機してるって事じゃねぇか……


 「マジでどんだけ厳重な警備網敷いてんだよ?」


 この監獄の警備体制に対し、正樹は心の底から畏怖してしまう。

 帆船である軍艦が5隻、25分以内に駆け付けて完全武装した1個中隊規模(約200人)の兵が上陸して来る。

 正樹にすれば、本気で畏怖せざる得なかった。


 「本気で挑まねぇと此方が死ぬな、こりゃ……」


 心の底から思った事をとても小さな声で独り言ちた正樹は静かに後ろへと這い、気付かれない様に観測地点から去っていく。

 蜂の巣を蹴飛ばした騒ぎを尻目に観測地点を去り、ドライバッグを埋めた森の中へと移動した正樹は折り畳みシャベルを手にドライバッグを掘り返す。

 暫く掘ってドライバッグが露わとなると、身に纏う各種装具を除装してドライバッグの中へと放り込んでいく。

 そうして、ドライバッグの中に今回の偵察に用いた装具類を片付ければ、リブレス式の酸素ボンベと水中ゴーグル。

 それに足ヒレを装備した。

 そして、森から静かに立ち去って崖の縁に立つと、躊躇う事無く夜の闇に覆い隠された海へと飛び込んだ。

 その後。

 正樹は海中を悠々と泳いで脱出するのであった。

 任務を完遂した達成感と共に……




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