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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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情報分析

短いけど更新


 向こう(異世界)でのエレオノーレへの射撃訓練と分解整備の指導が終わり、身体中に染み付いた硝煙をシャワーで洗い流してから30分後。

 正樹は新たな"犬小屋"のリビングに設置したホワイトボードを眺めていた。

 ホワイトボードに掲示された多数の写真を一頻り眺めると、正樹は感嘆の声を漏らしてしまう。


 「コイツはスゲェ……マジでスゲェ」


 感嘆する正樹に写真を掲示し終えた涼子は言う。


 「ライラが此処まで潜入出来たって事は()()()使()()()って事に他ならないわ」


 ライラと記憶を共有し、ライラが潜入した当時の事を踏まえて魔法が使える事を示唆する涼子に正樹は喜ぶものの、何処か腑に落ちない様子であった。

 それ故に……


 「だが、そうなると疑問が浮上する」


 正樹が疑問を感じて首を傾げると、涼子は「憶測でしかないけど」そう前置きしてから正樹が感じている疑問に触れる。


 「モラは()()()()()()()可能性があるわ」


 涼子から突拍子も無い憶測が出れば、正樹は益々首を傾げてしまう。


 「意味が解らん。誰が好き好んでムショに自分から入るんだよ?」


 御尤もな意見とも言える疑問に涼子は「恐らくだけど」と、前置きして仮説を答える。


 「やる事が無くて飽きたから、永い年月を安全に過ごす為にワザと捕まったんじゃないかしら?」


 涼子の仮説を聞くと、エレオノーレは「なるほどな」と、納得した。

 だが、正樹は未だ訳が分からずに居た。

 頭にハテナマークを浮かべる正樹に対し、そエレオノーレは問う。


 「例えばだが、貴様が何かしらの面倒を起こしたとしよう。怪我等も含めてだ……その時、貴様ならどうする?」


 その問いに正樹は少しだけ逡巡してから答えた。


 「そうだな……先ずは安全な所まで逃げ……」


 エレオノーレの問いに答えようとする正樹は言い掛けた所で言葉を止めると、腑に落ちた様子で「そう言う事か」と理解し、納得する。

 そんな正樹の考えを肯定する様に涼子は言う。


 「仮説でしかないけど、ある意味で監獄内は安全なホテルよね?何せ、警備は厳重で3食キチンと食事が出る。その上、態々ムショにカチコミ掛ける奴も滅多に居ない……コレ以上無いくらい安全に眠れる至れり尽くせりのホテルね」


 皮肉と嫌味混じりに言えば、正樹は呆れてしまう。


 「普通、ムショってのは誰もが入りたがらない更生と隔離の場なんだがな……てか、いきなり死刑執行される可能性は考えないのか?」


 呆れると共に疑問を口にすれば、涼子とエレオノーレは鼻で笑った。

 2人から失笑を買った正樹は少しだけ不満そうにしながら問う。


 「俺が言ってる事は変か?普通の人間はムショに入らないように努力するんだぞ?」


 正樹の言葉は至極当然。

 真っ当な人間を代表するだろう意見と言っても過言じゃない。

 そんな正樹の言葉を涼子は肯定した。


 「えぇ、普通の人間はそう。その通りだし、貴方は間違った事を言ってないわ」


 其処まで言って肯定すると、涼子は「でもね」そう前置きしてから否定していく。


 「魔女って怪物共を普通の人間のカテゴリーや枠組みに収めようとするのはハッキリ言って、大間違いと言わざる獲ないわ……」


 そんな涼子の否定を補足する様にエレオノーレも言う。


 「魔女と言うのは人の姿をしているが、普通の人間ではない。それこそ、奴の言葉通り怪物だ……そんな怪物を繋ぎ止められる鎖など存在せん」


 エレオノーレの言葉は魔女として至極当然のモノであった。

 だが、エレオノーレと涼子の言葉は何処か己を自嘲している様にも聞こえた。

 そんな怪物たる2人が己を自嘲している事に正樹は気付いて居た。

 しかし、ソレに自分の様な何も知らぬ赤の他人が触れるべきではない。

 そう判断して、作戦会議を続ける。


 「話が逸れた。確保対象が何故に収監されているのか?ソレは作戦成功後に聞くとして、魔法が使えると言うなら……コレを使わない手は無い」


 指揮官として、作戦立案者として、降って湧いた大きな発見を利用する事を選んだ正樹に涼子は指摘する。


 「生憎と、1つだけ問題があるわ」


 「問題?何だ?」


 正樹に問われると、涼子は問題点を答える。


 「ライラの魔力って特殊でさ、隠密性に滅茶苦茶長けてるのよ……だから、ライラだからこそ警報が鳴らずに魔力を行使する事が出来たのよ」


 涼子が問題点を答えると、エレオノーレは補足した。


 「奴の魔力の感知は私やコイツ(涼子)でも不可能ってレベルと言う程だ。その為、魔力感知されずに奴は悠々と潜入し、モラに合って帰ったのだろう……しかも、奴は其処の小娘(涼子)から悪巧みの仕方を教わっててな、痕跡を残さずに行って帰ってるだろうな」


 涼子とエレオノーレから聞かされると、正樹は涼しい顔で返した。


 「なら、問題は無いな」


 「何処をどうしたらそうなるのよ?」


 正樹の言葉に呆れる涼子に正樹は問う。


 「一応確認するが、内部でも君達は問題無く魔力を使えるのか?」


 その問いは作戦立案する正樹にとって、重要な要素であった。

 だからこそ、正樹は確認する事を怠らなかった。

 正樹の問いに涼子は答える。


 「ライラとの感覚も記憶とセットで共有して分析し……」


 「結論だけ言え」


 涼子の説明を遮って結論だけ言え。

 そう告げれば、涼子は説明を辞めて結論を答えた。


 「可能よ」


 涼子が魔力を使える事を肯定すれば、正樹は笑みを浮かべると共に歓喜する。


 「良し!良いぞ!」


 喜ぶ正樹にエレオノーレは尋ねる。


 「どんな作戦だ?」


 「今の時点で獲られた情報が正確なら、一気に片付けられる」


 一気に片付けられる。

 その一言で涼子はプランを察したのだろう。

 正樹に確認する。


 「プランBで行く訳?」


 涼子の確認を正樹は肯定した。


 「結論から言うなら、その認識で問題無い」


 正樹の含みのある物言いに対し、今度はエレオノーレが問う。


 「どう言う事だ?」


 「確かにプランB。強襲しての奪還ではある。だが、その前に可能な限り近くまで潜入しないとならない点がある」


 「ある意味でプランA(ステルス)とプランBの複合だな」そう締め括る正樹をエレオノーレは理解した。


 「つまり、コソコソと夜盗の如く忍び寄った後に押し込み強盗よろしく乱暴に行く……と、言う事か?」


 エレオノーレの確認に対し、正樹は作戦立案者として肯定する。


 「まぁ、手っ取り早く言うならそう言う事なんだが……あのライラは監獄内に入る際、どうやって潜入した?」


 正樹が肯定と共に涼子へ確認すると、涼子は答える。


 「アイツ、堂々と真夜中に空から潜入しやがったから当てにならないわよ」


 涼子の答えを聞くと、正樹は予想していたのだろう。

 涼しい顔と共にすべき事を指揮官として2人に告げた。


 「そうなると、やはり海中の偵察と上陸地点の選定は必要って訳か……」


 監獄内部の情報はライラと言う来客から幸運にも獲られた。

 だが、その監獄へどうやって行く(潜入する)のか?

 其処が参考にならぬ以上、現地へ赴いて偵察する必要がある。

 その点を正樹が言えば、エレオノーレは言う。


 「貴様の作戦とやらで魔法無き世界の(つわもの)達の戦い方を学べると思ったのだが、当てが外れたか?」


 遠回しに魔法抜きの戦いをしたい。

 そう迫るエレオノーレに正樹は困った様子で頭を掻くと、覚悟を決めて決断する。


 「良いぜ。魔法抜きの戦いも含めて作戦立案してやる……だが、必要な時に魔法攻撃はキチンとして貰う」


 それは指揮官としての正樹が出来る最大の譲歩であった。

 そんな正樹の譲歩を察したのだろう。

 エレオノーレは応じてくれた。


 「良いだろう。貴様の譲歩を呑もう」


 「ありがとう」


 正樹はエレオノーレに感謝すると、ホワイトボードに掲示していた監獄のある島の写真を取る。

 それから直ぐに2人の席の前に置かれたダイニングテーブルの上に置くと、涼子に尋ねる。


 「彼女は何処に着陸した?」


 正樹の問いに涼子は写真を指差すと、大まかな経路を指で辿りながら答えていく。


 「此処よ。此処からこのルートで警備の目を掻い潜ってるわ」


 涼子が指でライラの足跡をなぞりながら答えると、正樹はライラの移動経路を頭に叩き込むと共に写真をジッと見詰めていく。

 一頻り写真を見詰めると、正樹は指揮官として告げる。


 「今週の金曜。学校が終わった後、偵察の為に現地入りする……偵察は2日掛けて俺独りでやる。2人にはバックアップを頼みたい」


 指揮官自ら単独で潜入。

 マトモな人間なら絶対にやらない。

 だが、正樹はイカれた男であるが故に平然と危険な手段を選んだ。

 そんな正樹に涼子とエレオノーレは平然と了解するのであった。




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