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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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来客

久し振り


何か、アクション部門の日間ランキングで1位になってた


皆ありがとうね


 翌日の火曜日。

 正樹は訓練教官として、涼子とエレオノーレに銃の扱い。

 撃ち方から分解整備の仕方を厳しくも、理解しやすく教導した。

 涼子はある意味で経験者であり、ミリタリー趣味者(ミリヲタ)であったが故に直ぐにモノにした。

 完全なるトーシローのカカシとも言えるエレオノーレは、当然ながら涼子の様に知識は無かった。

 だが、オムツ等に使われる吸水性ポリマーの如く瞬く間に正樹から与えられた知識を吸収。

 そんなエレオノーレは地面に伏せると、手にする米軍に制式採用されてから20年以上も経つアサルトライフル……M4A1にMAGPULの40連樹脂弾倉を叩き込む。

 それから正樹から教わった通りに上部のチャージングハンドルを引き、薬室に初弾を送り込んでいく。

 そして、静かにゆっくりとチークピースに右頬を軽く押し当て、キャリングハンドルも兼ねたリアサイトを覗き込んで的を見据える。

 銃口の向こう。

 300メートル先には人の姿を模したマンターゲットが設置されていた。

 意識を集中させるエレオノーレがリアサイト越しに見詰める中、左脇に立って双眼鏡で的を見詰める正樹は大きな声で号令を下す。


 「セイフティ解除!セミオート!」


 正樹の号令に応える様にエレオノーレはセレクターをSAFEからSEMIに合わせる。

 それから程無くして、再び正樹の号令が響いた。


 「点検射3発!撃ち方始め!!」


 その号令と共に1発の銃声が響き、300メートル先に据えられたマンターゲットを穿つ。

 正樹がスポッティングスコープでエレオノーレの放った弾丸の着弾を確認すると、左下に命中していた。

 それから直ぐに2発目の銃声が響き、1発目の直ぐ近くを穿つ。

 程無くして3発目の銃声がすると、2つの孔に近い位置に当たった。

 3つ目の孔がマンターゲットを穿つと、正樹から号令が掛かる。


 「撃ち方辞め!セイフティ!」


 正樹の号令にエレオノーレは従い、M4A1のセレクターをSAFEに合わせて安全装置が掛けた。

 エレオノーレが安全装置を掛けたのをしゃがんで目視確認する正樹の姿を一瞥した涼子は「アイツ訓練教官もしてたのかしら?」そう呟くと、透き通った水色の髪を持った尋ねる。


 「珍しいわね。貴女が私の所に来るなんて……で?何の用で来たの?」


 涼子の問いに客人である少女は答える。


 「久し振りにリョウコとエリー(エレオノーレ)に会いに来た。ついでにリョウコの故郷を観てみたいと思った」


 淡々と朴訥に答える少女に涼子は渋い表情を浮かべてしまう。


 「貴女が私の故郷に行くと、面倒臭い事になるから嫌よ」


 涼子の答えが不満だったのだろう。

 心外そうに少女は言う。


 「ん?私、リョウコやエリーみたいな"悪い子"じゃないよ?」


 嘘は言ってない。

 実際、少女は涼子とエレオノーレと比べれば穏健な上に悪事はあんまり働かない。

 だが、少女には厄介な力があった。


 「アンタの占いの力を求めて殺し合いとか、アンタの力を狙って殺し合いとか起きるのは勘弁して欲しいのよ。その面倒が起きたら、対処するのは私になるから余計にね」


 「ん?私の占い?誰でも出来るんじゃないの?」


 涼子の言葉に少女がキョトンとして首を傾げると、涼子は遠くから響く銃声をBGMにしながら呆れ混じりに言う。


 「()()()()()()()()()()()()を誰もが持ってる訳じゃないわよ、ライラ」


 そう。

 ライラと呼ばれた少女は『先読みの魔女』と呼ばれる未来予知能力を持った魔女であった。

 涼子から呆れ混じりに言われたライラは暢気にマイペースに言う。


 「リョウコの故郷観たい。駄目?」


 「個人的には悪さしないんなら別に構わないんだけど……私の雇い主が良い顔しないわ」


 雇い主。

 タケさんやビジネスマン(島津)と言った面々にすれば、強大な力を持つ魔女と言う怪物が自分達のシマに来る事に良い顔はしない。

 それが未来予知と言う万人が欲する力を持つならば、トラブルの種になるのは火を見るよりも明らか。

 だからこそ、涼子は個人的な理由とは別に渋っていた。

 そんな涼子に対し、ライラは不服そうに言う。


 「エリーは良いのに私は駄目。納得いかない……私、悪い事しない」


 不服そうなライラに涼子は呆れる。


 「まぁ、私と比べたら其処まで悪い事はしてないわね……でも、駄目」


 己の要求を突っ撥ねる涼子に対し、ライラは対価を差し出して来た。


 「リョウコとエリー、モラを出そうとしてる。私、()()()()()()()()()。リョウコの故郷に行って良いなら、私教える」


 ライラが差し出さんとする対価は正直言って、喉から手が出る程に欲するモノに他ならなかった。

 そんな対価を気前よく差し出すライラに対し、涼子は溜息と共に折れた。


 「ハァ……流石は先読みの魔女。私が首を縦に振る答えを簡単に用意するわね……良いわ。その取引に応じるわ」


 「ん。ありがとう」


 折れてくれた涼子にライラが感謝すると、涼子は対価の支払い期限に関して告げる。


 「但し、私が対価払うのはモラの件が片付いた後になる。流石に両方同時は私でも無理だから……」


 「ん。それで良い」


 ライラは涼子の対価支払いの時を快諾してくれた。

 涼子との取引が済んで用が済んだ。

 そう言わんばかりにライラは涼子から離れると、銃声を響かせる正樹とエレオノーレの方へとマイペースに赴いていく。

 撃ち終えたエレオノーレがM4A1から弾倉を抜き、チャージングハンドルを引いて硝煙濃く香る右側面の排莢口を覗き込んで居る所をライラは声を掛けた。


 「エリー。久し振り」


 ライラから挨拶をされると、エレオノーレは正樹に指導された通りに安全装置を掛けてから地面に置いて言葉を返す。


 「貴様が来るとは珍しい。何か目的があって来たのだろう?」


 「ん。久し振りにエリーの顔を見ようと思った」


 朴訥と答えるライラを正樹が「誰だコイツ?」と言った表情で見ていると、エレオノーレは正樹に紹介する。


 「彼女はライラだ。先読みの魔女と呼ばれてる()()()()()の魔女だ」


 エレオノーレがライラに関し、そう紹介すれば正樹は右手を差し伸べて挨拶と共に自己紹介した。


 「初めまして。正樹だ。縁あって、彼女達と一緒に仕事してる」


 流暢な現地語で挨拶と共に自己紹介すると、ライラは正樹の手を握って挨拶を返す。


 「ん。よろしく」


 握手と共に挨拶が済むと、ライラは正樹に告げる。


 「貴方の望みは叶う」


 唐突な言葉に正樹は首を傾げてしまう。

 だが、ライラは気にする事無く言葉を続ける。


 「貴方が心の底から捜し求めるモノは見付かる。でも、ソレは貴方の命と引き換え」


 ライラの言葉に正樹は不敵かつ獰猛な笑みを浮かべ、返す。


 「俺は占いとか信じないんだが、俺の命と引き換えに求めてるモノが見付かるか……ソイツは良い。最高だ」


 心の底から歓喜し、本心から言葉を吐き出した正樹にライラは更に告げる。


 「貴方は選ぶ事になる。己の命か?捜し求め続けるモノか?どちらかを」


 ライラの言葉に正樹は他人事の様に返した。


 「そうか……なら、邪悪で強欲なロクデナシらしく選ぶとしよう」


 「ん。"マーク"はそう言うと思った」


 ライラが正樹をマークと呼んだ瞬間。

 正樹から濃厚な殺気が醸し出された。

 そんな正樹に対し、ライラは答える。


 「ん。私は彼女の仲間じゃないし、手下でもない。私も彼女が嫌い」


 感情が読み取れぬ淡々とした声色で朴訥に返されると、正樹は冷静に何時でも殺せる様にしながら問う。


 「質問に答えになってない」


 「ん。遠い先の世界に居た時の貴方を観た。その時の貴方はマークと呼ばれていた」


 先読みの魔女。

 その名は伊達ではない。

 ライラは未来を見通す力を持ち、ソレを使いこなせる。

 それ故、この時代の遥か先の未来に居た頃の正樹を観て、当時の正樹の名を口にしたのであった。

 そんなライラの言葉を聞くと、正樹から殺気が消え失せていく。

 瞬く間に殺気が完全に霧散すれば、正樹はライラに謝罪する。


 「無礼を働いて申し訳ない」


 「ん。気にしてない」


 ライラの言葉に嘘は感じられなかった。

 そんなライラを見ると、正樹は何処かやり難いモノを感じてしまう。


 彼女は何だ?

 感情は有るんだろうが、その感情も何処か虚無に思える。

 それに彼女等(涼子とエレオノーレ)よりも歳上だって言うのに、大人って言うよりは幼い子供の様にも感じる。


 正樹の疑問を察したのだろう。

 エレオノーレは言う。


 「ライラは貴様の世界で言う所の真っ当な教育を受けていない」


 その言葉に正樹は首を傾げてしまう。


 「どう言う事だ?」


 真っ当な教育を受けていなくても、人は何かしらの様々な影響を受けて大人となる。

 ソレを知るからこそ、正樹は首を傾げてしまった。

 そんな正樹の様子にエレオノーレは「言葉が足りなかったな」そう前置きすると、具体的に語る。


 「彼女は魔女となる前まで幽閉され続けて居た。その間、親からの愛と言うモノを与えられずに居てな……」


 其処まで聞いた時点で正樹の疑問は直ぐに氷解した。


 「成る程、子供としてでなく道具として扱われていた訳だ。だから、(精神)は子供のまま……と、言うよりは虚無なのか?」


 正樹の言葉をエレオノーレは肯定する。


 「そう言う事だ」


 2人の遣り取りを眺めていたライラはポツリと言う。


 「虚無って思われるけど、私にも感情はある」


 ライラの声に感情は感じられない。

 だが、それでも少しだけ不快に思っているのは何となくではあるが、正樹は理解出来た。

 その為、正樹はライラに謝罪する。


 「大変失礼した。無礼を許して欲しい」


 「ん。私怒ってない」


 「それは失礼した」


 正樹の謝罪を聞くと、ライラは再び涼子の前に立った。


 「リョウコ。コレ……」


 その言葉と共にライラは額から一滴の小さな雫を出すと、指先に乗せて涼子に差し出す。

 ライラの細く小さな白い指先に乗る雫を受け取った涼子は、雫を額に押し当てた。

 雫を押し当てた瞬間。

 モラが収監されている監獄に関する情報が、涼子の脳内にインストールされていく。

 涼子が欲していた情報を脳内で処理してると、ライラは言う。


 「()()()()()()()()


 サラッとトンデモナイ事を告げるライラに涼子は驚く事は無かった。


 「何て言ってた?」


 「貴女の事は大嫌いだけど、貴女がしようとしてる事は興味深いから手を貸す。後、久し振りに美味い食事を堪能したいから用意しといて……だって」


 その伝言はライラから共有された記憶にもあった。

 記憶の中のモラはコレでもかと言う程に厳重に拘束されていた。

 そんなモラと念話で遣り取りしたライラを記憶を介して観た涼子は呆れてながらも、問う。


 「貴女、何を企んでるの?」


 「ん。何も企んでない」


 その言葉が嘘か?誠か?

 残念ながら、涼子に確かめる術は無い。

 そんな涼子にライラは言う。


 「私は久し振りに友達に会いに来ただけ。当分は会えなさそうだから」


 ライラの言葉に嘘は無かった。

 彼女にすれば、久し振りに顔馴染みの同類(魔女)達と顔を合わせて話をしたかっただけの事。

 ライラは世界を見て廻るのは好きであるが、世界がどうなろうが知ったこっちゃない。

 それは涼子達がバカをヤラかしても同様。

 人々が死のうが、生きようが、ライラにはどうでも良い些細な事。

 取るに足らない他人事なのだ。

 そんなライラの性格を久し振りに思い出した涼子は言う。


 「そう。なら、情報提供感謝する。でも、私の故郷での観光云々に関しては色々と制約あるから覚悟しといて……制約守ってくれるなら、路銀やら着替えやら寝床は用意するから」


 「ん。解った。待ってる」


 涼子にそう返したライラは影法師の如く姿を消した。

 独り残った涼子は銃声を聴きながら、エレオノーレと正樹の訓練を暢気に眺めるのであった。



ブッチャケた話…

カクヨムとアルファポリスの方は更新辞めて、なろう一本でも良いかな?と思い始めてる


いやぁ、更新作業が地味に面倒なのよ(酷い本音

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