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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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89/114

つまらないフィナーレ

サブタイ通りの内容だ


悪いね


 1時間ほど待つと、陽が沈むと共に辺りは暗闇に包まれ始めていく。

 校舎や寄宿舎では明かりが灯り、明かりに照らされる若者達の姿が見えた。

 寄宿舎に居る若者達は夕飯を済ませると、ノンビリと思い思いに夜を暢気に過ごそうとする。

 だが、校舎に集う若者達は違った。


 「奴等と和平交渉しに行った沢村達と連絡が未だ付かない」


 校舎の一室である生徒会室では、敵である2人が持ち掛けて来た和平会談の為に向かった者達が戻らない事で緊張感が張り詰めていた。

 その上……


 「それだけじゃない。鮫島さんとも繋がらない」


 自分達の支援者である鮫島 明とも連絡が取れない事で余計に彼等は浮足立っている。

 そんな中、1人の生徒がポツリと言葉を漏らした。


 「殺されたのかな?」


 その疑問に生徒会室に居る者達の面持ちが沈痛なモノとなる。

 だが、そんな中でも希望を捨てぬ者も居た。


 「もう一度電話掛けてみてくれ。もしかしたら、繋がるかもしれない」


 「解った」


 もう一度だけ電話をしてみる事にした。

 だが、電話が繋がる事は無かった。


 「駄目だ。また電源が切れてるって返ってきた」


 同じ結果を迎えた事で和平会談に行った者達の生存の望みは余計に小さくなった。

 しかし、それでも彼等は何処か楽観的であった。


 「どうせ遊んでてバッテリー切れでもしたんだ。そうに違いない」


 楽観的ではあるものの、声には何処か不安が感じられた。

 だが、そんな不安から目を背ける様に生徒会室に居る面々はそう思う事にした。

 そんな会話のやりとりを盗み聞きしていた正樹は心の中でボヤキを漏らす。


 不安から目を背けるのは誰だってする。

 俺だって何度もした。

 だけど、希望的観測ほど厄介な現実逃避は無い。


 崖から監視を続ける正樹が心の中でボヤいた通り。

 生徒会室に居る若者達は不安から目を背け、希望的観測に縋っていた。

 本人達に指摘すれば、否定するだろう。

 だが、正樹は心の中でボヤキを漏らしながらも、彼等を責める気にはなれなかった。


 君等には少しだけ同情する。

 必死に異世界で生き延びて、帰ってきたと思ったらこんな"監獄"にブチ込まれて隔離。

 その上、コレから汚い大人の手に掛かって死ぬんだ。

 少しだけ同情するよ。


 同情する気持ちはある。

 だが、正式な仕事である以上は躊躇う事無く皆殺しにする。

 矛盾しているだろうが、常に望む形で仕事が出来る訳じゃないのが現実。

 正樹は過去の経験から、そんな矛盾に諦観(ていかん)する程に慣れきってしまって居る。

 そして、彼らは望む望まぬ関わらず、越えてはならぬ一線を大きく越えてしまった。

 それ故、正樹は同情していても平然と顔色一つ変える事無く皆殺しにしようとしていた。

 そんな彼、彼女等の遣り取りを電脳を介して盗聴する正樹は腕時計を一瞥する。

 時計は約30秒後に攻撃が開始される事を示していた。


 そろそろか……


 正樹は2人の魔女による砲撃に備える為、静かに後ろへ這っていく。

 程無くして木を盾にする様にして木陰に身を潜めた。と、同時に何の前触れも無く幾つもの轟音が山中に轟いた。

 轟音と共に熱を帯びる強烈な風やビリビリとした振動が辺りに吹き荒れ、学園の周囲の木々を激しく揺らしていく。

 そんな熱を帯びた強烈な風と振動は直ぐに収まった。

 正樹は木の陰から這い出ると、静かに崖の方まで這っていく。

 そして、目の当たりにした光景に正樹は呆れ気味にボヤいてしまう。


 「やっぱり魔法ってのは、魔法の無い人類からしたらデタラメ過ぎる……個人が持って良い火力じゃねぇぞ」


 ボヤキには僅かばかりの恐怖が混じっていた。

 科学全盛のこの世界に於いて、正樹の言葉に大概の者達は鼻で笑うだろう。

 魔法なんてバカげてる。

 魔法ごとき科学の敵じゃない。

 そう言って、嘲り笑うだろう。

 だが、正樹が目の当たりにした光景を見れば、軍や司法機関の関係者は戦慄する可能性が大いにあった。


 「約5キロ(km)離れた所から数秒で500キロ(kg)の航空爆弾を複数落とした結果を齎せられる個人を警戒しない理由があるんなら、是非とも聞きたいもんだ」


 皮肉と嫌味。

 それから恐れを交えて目の前に広がる複数の瓦礫の山に向けてボヤきを漏らす正樹。

 あの轟音は涼子とエレオノーレが放った砲撃によるモノであった。

 2人が放った砲撃は見事に校舎と体育館。

 それに寄宿舎をピンポイントに粉砕し、瓦礫へと変えて今に至る。

 そんな光景を注意深く見詰めながら正樹は監視も兼ねた観測手として、2人に報告する。


 「アーチャーよりキャスター。送れ」


 「此方、キャスター」


 「対象への砲撃命中を確認。送れ」


 「キャスター了解。アーチャーは引き続き監視。残存する敵の殲滅に当たれ」


 「アーチャー了解」


 簡潔明瞭に短時間で無線通信の遣り取りを終わらせれば、正樹はその場から生存者の確認に当たる。

 月明かりに照らされる幾つもの瓦礫の山を見詰め、生存者が居ないか?

 確認していくと、瓦礫の山から人の気配がした。

 静かに視線を向けると、瓦礫の山からチラホラと何人かの若者達が這い出て来るのが見える。

 正樹はそんな生存者を監視しながら涼子へ報告を送る。


 「此方アーチャー。複数の生存者を視認。送れ」


 「此方キャスター。此方でも生存者を視認した」


 涼子の方でも確認が出来た事を告げられると、正樹は指示する。


 「キャスター、此方が指示したら対象の頭上にフレア(照明弾)を打ち上げられるか?」


 「可能だ」


 「では、追って指示する」


 其処で通信を一度切った正樹は生存者達を見詰める。

 生存者達は他に生き残った者達が居ないか?

 叫びにも似た呼び掛けと共に必死に捜索していた。

 そんな彼等を見詰める間、正樹は静かに息を殺していく。

 そうして生存者の数がコレ以上は増える事が無くなるまで監視を続ければ、比較的無事な生存者達が、重傷者達の怪我を治療する為。

 治癒魔法等を行使しようとしていた。

 正樹はそんな生存者を見詰めながらインカムを介し、下達する。


 「フレア上げろ」


 その一言と共に生存者達が頭上から光の球によって照らし出された。


 「何だ!?」


 突如として頭上から照らし出されると生存者達は1人の例外も無く、すかさずに空を見上げて状況の掌握に勤めようとする。

 頭上の光の球は自分達を照らし出すだけで、一切の害意を与えて来ない事に生き残った若者達は首を傾げてしまう。

 そんな中。

 生存者の1人である少女が何の前触れも無くドサッと地面に崩れ落ち、ピクリとも動かなくなった。

 近くに居た2人の若者達が直ぐに気が付き、倒れた少女へ駆け寄ろうとする。

 だが、駆け寄ったと同時。

 少女の様に突如として2人の若者は地面に倒れ、二度と動かなくなった。

 動かなくなった者達に共通点があるとするならば、()()()5().()5()6()()()N()A()T()O()()()()()()()()()()()

 それぐらいだろう。

 彼女、彼等の生命を見事なヘッドショットで奪った正樹は次の狙いを定めると、静かに引き金を引いた。

 サプレッサー越しのくぐもった銃声がすると、僅かに送れて次の"的"の頭が穿たれて倒れる。

 その後も正樹は淡々と引き金を引き、次々と生存者達にヘッドショットをキメて射殺していく。

 射殺していく内。

 恐怖に満ちた悲鳴が幾つも木霊し始めた。

 だが、正樹は気にする事無く、残った生存者達を射殺と言う作業を継続させる。

 暫くすると、生存者達の頭上に打ち上げられたフレア(照明弾)の光は消え失せた。

 同時に生存者は誰一人として居なかった。

 皆、殺されたのだ。


 「此方アーチャー。残敵殺害完了」


 姑息かつ卑怯極まりない手段で生存者を一人残らず殺害した正樹は、M4A1の弾倉を詰め替えながら涼子に報告する。


 「此方キャスター。残敵の掃討完了確認」


 涼子から逃走した者等が居ない事を告げられると、正樹は報告も兼ねて了解した。


 「アーチャー了解。コレより撤収する」


 その言葉と共に通信が切られれば、涼子はエレオノーレの方を見た。

 エレオノーレは心底つまらなさそうであった。


 「貴女から見れば、こんなの戦争じゃないって言いたくなるんでしょうね」


 涼子の言葉にエレオノーレは吐き捨てる様に肯定する。


 「あぁ、実につまらなかった。期待外れにも程がある」


 「でも、獲られるモノはあったんじゃない?」


 涼子に問われたエレオノーレは不快を示しながらも、何故か否定する事はなかった。


 「否定はせん。それに、魔法も手段の1つでしかないと言う学びは大きい」


 意外な事を言うエレオノーレに涼子はそれ以上の事は言わず、エレオノーレと共にその場から撤収するのであった。





個人的に一方的な殺しは淡々とした作業になるよね…と、大いに思う


感想欲しいなぁ…感想欲しがるのは高望みなのかい?

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