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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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現地偵察

偵察は実際大事


 涼子と正樹は両親に学校内で殺され掛けたショックによって、精神的なダメージを受けたから学校を3日ほど休みたい。

 事情聴取を受けた後の早退時にそう相談すると、両親は休む事を認めてくれた。

 当時の2人をよく知る者達が聞けば、全員が全員とも鼻で笑って「エイプリルフールは来年だぞ」と、嫌味や皮肉を返すだろう。

 因みにエレオノーレは涼子に「貴様が生命狙われた程度で心が壊れる訳無いだろう」と、大いに呆れられた。

 何せ、当時の2人にとって生命を狙われる事は日常生活の一部だった。

 それ故、またか……そんな気分で面倒臭がりながらも返り討ちにして、平然と出来る。

 しかし、それでも聖域を土足で踏み躙られた上に聖域の中で己の生命を狙われた事に対する精神的なダメージが皆無な訳では無い。

 だからこそ、二度と嘗めた真似が出来無い様にする為にも、元凶を根本から始末する為に"臨時の休み"を利用して始末の為の準備を進めていた。


 「どう言うアタック仕掛けるの?」


 地面に俯せで横たわる涼子は隣で同じ様に地面に横たわる正樹に尋ねた。

 涼子に問われると、正樹は大きなスポッティングスコープを覗きながら答える。


 「んー……君や君の友人に丸投げしても良いんだろうけど、俺も俺の手で殺したい気持ちに満ち溢れてるんだよね」 


 正樹の言う通り、涼子と涼子の友人(エレオノーレ)に丸投げすれば、直ぐに最高の結果を伴った上で一気に片が付くだろう。

 だが、ソレでは自分の鬱憤が晴らせない。

 そう言う正樹に涼子は再び尋ねる。


 「なら、どうするつもりよ?」


 「ソレを考える為に偵察して情報を集めてるんだ」


 正樹は暢気に返すと、地面に小型の三脚で据えたスポッティングスコープを介して本拠地とも言える寄宿制の私立学園を見詰めていく。

 スポッティングスコープに刻まれたレティクルを利用し、今居る位置とスポッティングスコープの向こうに見える寄宿制学園の校舎の位置の距離を算出していく。


 此処からの距離は直線距離にして約5キロ(km)

 50口径クラスの機関銃で直射しても効果は見込めない。

 そうなると……


 「(迫撃砲)ATGM(対戦車ミサイル)の方の方が良いか?」


 正樹の呟きに涼子は尋ねる。


 「此処からボカスカ撃つの?」


 涼子の問いに正樹はやんわりと否定した。


 「ソレも良いんだが、"トーシロー"2人が対戦車ミサイルや迫撃砲を完璧に使いこなせるとは俺は思わねぇよ……まぁ、有線誘導式の奴なら発射手順を教えれば良いんだろうがな」


 否定する正樹に涼子は暢気に返す。


 「トウ(TOW)ならネットに転がってた米軍のマニュアル読んだから撃ち方は解るわよ?」


 米軍の対戦車ミサイルであるTOWの撃ち方なら知っている。

 そう暢気に告げる涼子に正樹は呆れ混じりに返した。


 「だとしても、此処に運び込むまでが面倒だろうが……君や君の友人は此処から直射でダメージ与えられるか?」


 有線誘導式の対戦車ミサイルを放つランチャーはとても大きく、とても重い。

 その上、対戦車ミサイルそのものも重い上に大きく、実に嵩張る。

 そんなラージヘビー(重く嵩張る)な代物を、自分達が今居る山中の中腹まで運び込むのは大変な労力を必要とする。

 だからこそ、正樹は涼子に魔法で何とかなるか?問うた。

 正樹の問いに涼子はアッケラカンに肯定する。


 「余裕で消し飛ばせるわよ」


 肯定する涼子に正樹は指揮官として命じた。


 「なら、君等には砲撃を頼みたい」


 「良いわよ。でも、貴方はどうするの?」


 涼子の問いに正樹はさも当然の如く答える。


 「君等が砲撃して気を引いてる間に後方から連中の喉元まで潜入する」


 正樹の答えに涼子は指揮官に仕える部下として了解した。


 「了解。キチンと連中の意識を引いて、陽動の役目を果たしてあげるわ」


 「是非ともそうしてくれ。所で、攻殻機動隊みたいに俺の視界を共有出来たりするか?」


 唐突に問われながらも涼子はさも当然の様に肯定した。


 「出来るわよ」


 「なら、早速してくれ。真っ先に破壊して貰いたいポイントを下達したい」


 正樹の言葉に涼子は正樹の肩にポンと手を載せると、正樹に念話で脳内に直接語り掛ける。


 「貴方の目に入ったわ。後、貴方が思考するだけで私に話し掛ける事も出来るわよ」


 涼子からそう告げられると、正樹は早速と言わんばかりに声を用いずに尋ねた。


 「連中に気付かれる可能性は?」


 正樹の疑問に涼子は良い答えで返してくれた。


 「多分だけど、無い。昨日、周囲を偵察しても連中は気付かなかったくらいだし……それにコレは有線通信機での遣り取りと原理は似たもんだから、枝が付けられてない限りは傍受不可能よ」


 「バレる心配が無いなら良い」


 そう返した正樹はスポッティングスコープを介し、涼子へ攻撃して貰いたい場所を指定していく。


 「先ず校舎だ。見えるか?」


 「えぇ、見えるわ」


 「校舎は見ての通り、コンクリート造りである種のトーチカやバンカーみてぇなもんだ。そんな所に籠もられたら面倒臭い」


 其処まで告げると、涼子は理解すると共に了解した。


 「良いわ。直ぐに瓦礫に変えてあげる」


 「次は此処だ」


 正樹が次の攻撃目標を視界に収めると、今度は体育館が視界に映り始める。


 「恐らくだが、連中は何かしらの災害が起きた際に体育館へ集合する筈だ。だから、その前に破壊してマニュアル通りの動きを出来なくしたい。それと……」


 視界に映る体育館から体育館の直ぐ近くにある大型のトレーラーコンテナに視界が移ると、正樹は更に指示を続けた。


 「コンテナには災害時の非常用食糧等が備蓄されている。ソレも破壊して欲しい」


 正樹の指示に涼子は尋ねる。


 「必要あるの?」


 「有る。長期戦になった際、連中に食料を与えたくないって必要性がな……」


 長期戦になった際。

 相手に対し、兵糧攻めをしたいと言われれば、涼子は納得してくれた。


 「良いわ、破壊しましょう。そうなると、他にも破壊すべき箇所があるんじゃないの?」


 涼子に問われた正樹は、その言葉を待っていたかの様に寄宿舎の方にスポッティングスコープを合わせて告げる。


 「1階にキッチンがある。吹っ飛ばして食糧を台無しにしてやれ。それと、寄宿舎の近くに倉庫があるのが見えるな?念入りに吹き飛ばしてくれ」


 正樹は長期戦に陥った際に備え、連中の食糧を全て消し飛ばす事を考えていた。

 勿論、スマートフォンを初めとした携帯電話に使われる中継機に関しても考えていた。


 「校舎を瓦礫にしてくれれば、校舎の屋上にある中継機とスターリンクとかも一緒に破壊出来る。そうすれば、後は固定電話用の回線さえ潰しておけば、連中の通信手段を完全に奪える」


 正樹の言葉に涼子は、思わず問うてしまう。


 「貴方、軍で士官教育受けてたりしない?」


 涼子の問いに正樹はアッケラカンに返す。


 「28の時に曹長になった時にな、俺の保護者のジジイから自衛隊で言う部隊幹部ってのを勧められたんだ。で、気が付いたら中尉になってた」


 正樹の答えに涼子は好奇心から更に尋ねる。


 「因みに軍曹になったのは幾つの時?」


 涼子の問いに正樹は思い出す様に答えた。


 「三等軍曹なら、入隊させられてから4年後だから……多分、26の時だな」


 正樹の答えを聞くと、涼子は驚いてしまう。


 「マジなの?入隊して4年で軍曹になったとか、優秀な部類じゃない……その上、その2年後に曹長とか……マジ?」


 ミリヲタとして断片的ながらも軍を知る涼子から驚かれると、正樹は淡々と返す。


 「座学はこー見えて向こうでは大卒やから滅茶苦茶楽勝だったし、体力関連もジジイに鍛えられてたから何とかなったんだ。後、伍長してた頃に戦争とか派兵があったからな……で、初めての戦争中に軍曹に昇進した」


 正樹から返ってきた言葉に涼子は一言だけしか言えなかった。


 「バケモノやんけ」


 唖然とする涼子に正樹はシニカルに告げる。


 「ソレでも非合法な作戦やら活動させられて、尻尾切りで軍籍剥奪されたから俺の記録は残っとらんだろうがな……」


 正樹にとっては笑い話であるが、涼子は笑えなかった。

 そんな正樹に涼子は尋ねる。


 「そんな華やかな経歴を持った真っ当な軍人が何で、闇落ちしたのよ?」


 涼子の愚かとも言える問いに対し、正樹はただ一言。

 それだけをハッキリと答えた。


 「聴くな」


 「御免なさい」


 謝罪する涼子に正樹は謝罪を受け入れる様に「気にするな」と、返した。

 そんな時。

 涼子へエレオノーレから念話通信が来た。


 「貴様等の指定した通りに調べたが、昨日確認した通りだ。周囲に魔導的な仕掛けは一切無かった」


 エレオノーレは涼子を介して正樹から学園の背後。

 木々が生い茂る山の中を捜索すると同時。

 魔導的な仕掛けが無いか?

 その確認の為に活動していた。

 役目を果たしたばかりのエレオノーレから報告を受けると、正樹は念を入れる様に確認する。


 「地上にトラップ……罠は仕掛けられていないんだな?」


 正樹の問いをエレオノーレは肯定した。


 「あぁ、罠は一切無かった。勿論、使い魔が空から監視している様子も無い」


 補足する様に空からも監視はされていない。

 そう報告された正樹は罠の気配を感じると、地面をゆっくりと静かに転がって仰向けに寝そべり始めた。


 「何してんの?」


 木々の木漏れ日越しに空を見上げると、正樹は沈黙と共にジッと青空を眺める。


 ドローン系統の電波は感じない。

 自衛隊やら米軍関連のドローンの操作用の電波無し。

 有人機による監視も無し。

 2人の魔女と言う魔導の専門家が使い魔等による魔法を用いた監視を確認出来ていない。

 つまり、周囲に対する警戒はされていないと見るべきなのか?


 そう判断した正樹は思わず、思った事をそのまま口にしてしまった。


 「奴等はバカなのか?敵に思っクソ喧嘩売ったのに周囲を警戒してねぇって……マジでクソバカなのか?」


 「どう言う事?」


 正樹の悪態にも似た言葉に涼子は真意を尋ねると、正樹は皮肉混じりに答える。


 「コレが高度な罠じゃないって言うなら、連中は俺達の攻撃を警戒してない」


 その答えに流石の涼子も呆れてしまう。


 「アレだけ嘗めた真似しといて警戒してない?どんだけ嘗め腐ってるのよ?」


 呆れる涼子に正樹は自分の電脳で学園敷地内の通信量を解析しながら、念話で言葉を紡いでいく。

 

 「校舎内には多数のスマホの反応があり、中には授業中だって言うのにスマホを使ってる不届者も確認出来る。同時にスポッティングスコープで校舎内を窓越しに確認したが生徒と教員の姿も確認出来ている」


 そう言葉を漏らした正樹は此処で言葉を留めると、一拍置いてから言葉を更に続けた。


 「スポッティングスコープから見たモノが全て高度な魔法による幻術で、スマホを敢えて校舎内に仕込む事でそう見せかけて居るとするなら、俺達は見事なまでにまんまと一杯食わされた事になる」


 まるで……

 否、涼子に問う様に言えば、涼子は魔導の専門家としてハッキリと断じる。


 「断言して良いけど、校舎内に居る連中は全員本物の人間よ。生命反応もあるし……」


 断言する涼子に正樹は指揮官として、侮る事無く警戒心と共に告げる。


 「だとしても、連中が手ぐすね引いて俺達を待ち構えている前提で行こう。勿論、俺達が此処に来て、偵察している事もバレている想定で進める……異論は?」


 「無いわ。寧ろ、罠を警戒しないとか抜かしたら、私がアンタをブチのめしてるわ」


 涼子の言葉に正樹はおっかなさそうに返す。


 「おー、こえーこえー。思わずションベン、チビッちまいそうだ」


 茶化す様に言う正樹に涼子は尋ねる。


 「それで?このまま大人しく引き上げるの?」


 その問いに正樹は肯定した。


 「当然だ。狩りのシーズンは解禁してないんだからな……」


 「待ち遠しいわね」


 「あぁ、全くだ」


 正樹は涼子にそう返すと、涼子と共に地面を静かに這っていく。

 そうして、その場から立ち去った正樹と涼子は静かに山を下りていく。

 その後、2人はエレオノーレと合流すれば、正樹が現地の最寄り駅に到着した際、古い映画の1つである60セカンズ。

 それの主人子達も真っ青なワザマエで防犯装置等を無力化したばかりか、鍵無しでエンジンも始動させて盗んだミニパジェロに乗り込んで撤収するのであった。





何か、正樹が過去の一端を漏らしたけど

奴は意外な事にダーティーでウェット極まりない特殊な部署に行く前は真っ当な軍人してたりする


一応、何度か勲章も授与されてたりした叩き上げのエリート軍人ではあった


ある意味、ブララグの軍籍剥奪される前のバラライカさんみてぇなもんである←

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