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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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拒絶されても2人の友は退かない


 「見事に何も悪さしてないわね」


 「煙草以外はね」


 変わってしまった幼馴染……正樹を相手に下手くそ極まる尾行する2人の幼馴染は、正樹の行動が未成年喫煙を除いて悪さをしてない事にホッとする反面。

 何処か肩透かしを受けていた。

 尾行してる間の正樹の行動は赤羽駅で下車して、駅の近くにあるエアガンショップで装具やモデルガン等を見て廻った。

 その後、再び電車に乗って上野で降りれば、ミリタリー用品を扱う老舗やエアガンショップで装具類を見て廻った。

 そして、今は徒歩で秋葉原に来た正樹は適当にブラ着いて、アニメグッズやプラモデル。

 その他にもゲームソフトやCD等、様々なショップを見て廻るだけの当たり障りの無い行動を取っていた。

 偶にちゃんとした喫煙所で煙草を吸いはするが……

 だが、違法な事は未成年であるのに煙草を吸う。

 その1つだけを除き、一切していない。

 そんな正樹はとあるビルの前に立つと、躊躇う事無くビルの中へと足を踏み入れ、奥に消えた。

 正樹が中に入ったビルを見上げると、塚原は香澄に恐る恐る尋ねる。


 「どする?俺だけ行こうか?」


 正樹が中に入ったのはビルの全フロアでエッチな商品を専門的に扱ってる専門店であった。

 それ故、女の子が入るのは些かどうなのか?

 そんな常識的な思考と共に塚原が問えば、香澄は躊躇う事無く自分も行く。

 そう返した。


 「私も行くわ」


 「マジで?」


 困惑しながらも香澄が意地になったら止まらない頑固者である事を知るが故に、塚原は香澄と共にビルの中へと足を踏み入れる事となった。

 ビル内は卑猥ながらも健全なエッチな商品が所狭しと並んでいた。

 エッチなDVDにエッチなオモチャ。

 その他諸々の卑猥ながらも健全な商品が所狭しと並ぶフロアを一抹の羞恥心と、正樹を捜すと言う意思と共に香澄は塚原と共に捜して廻る。

 だが、正樹の姿はどのフロアにも無かった。


 「アイツ、もう出たのかしら?」


 正樹の姿が無い事から香澄は既にビルから出たのではないか?

 そう感じてしまう。


 「その可能性の方が高いかもね。俺達も出よう」


 塚原は香澄の言葉を肯定すると、ビルを出る事を提案すれば、香澄は塚原と共にビルを出た。

 2人揃ってビルを出た瞬間。

 出入り口の正面に佇み、スマートフォンから繋がるイヤホンから音楽を聴いていた正樹と目が合った。


 「あ……」


 「え?」


 2人の幼馴染が間抜けな声を挙げると、正樹は既に作動させていたスマートフォンのカメラで2人の姿をパシャリさせニヤリと邪悪に笑う。

 そうして満面の笑顔と共に写真に収めると、イヤホンを外してスマートフォンをポケットにしまいながら悪い笑顔のまま尋ねる。

 

 「2人で一発シケ込む予定だったんかー?」


 2人の尾行を知りながら、ニヤニヤと笑顔のまますっとぼけた様子で尋ねる正樹に香澄は強く否定する。


 「そんな訳無いでしょ!」


 そんな香澄とは他所に塚原は察したのだろう。

 逆に問うた。


 「お前、俺達に気付いてたのか?」


 その問いに対し、正樹はサラッと嘘で返す。


 「え?何が?」


 見事なまでのすっとぼけた様子に塚原は「このクソ野郎」と言えば、訳が解らぬ香澄は塚原に尋ねる。


 「どう言う事?」


 「コイツ、俺達が着けてる事に最初から気付いてたんだ」


 「嘘でしょ?」


 香澄は驚くが、塚原は気にする事無く更に尋ねた。


 「で?その写真をどうするんだ?今のお前の事だから、俺達がエロビルから出て来た所を写真に残してるんだろ?」


 「え?」


 塚原の問いに香澄が驚く。

 だが、正樹は気にする事無く提案を告げる。


 「丁度良い時間だし、飯でも食わねぇか?俺が奢るからよ」


 その提案に香澄は迷うが、塚原は違った。


 「お前の奢りなんだよな?」


 「あぁ、好きな所で良いぞ」


 「なら、奢られてやろうじゃん」


 塚原の答えに香澄は恐る恐る「良いの?」と、2人に尋ねてしまう。

 そんな香澄に正樹はアッケラカンに返す。


 「折角だし、久し振りに友達と飯食うのも良いだろ?寿司の食べ放題なんてどうだ?」


 2人の幼馴染は何処か不気味な笑顔を浮かべる正樹と共に歩みを進め、夕食を共に食べに行く事になった。

 そうして、秋葉原の駅から1分ほどの所にある寿司食べ放題のお店に行くと、正樹達3人は店員に個室の席で向かい合わせに座った。

 先ず、口を開いたのは塚原からであった。


 「寿司奢ってくれるのはありがとうよ。で?何を考えてるんだ?」


 幼馴染だからこそ、己を危険視すると共に警戒する塚原に正樹は先程の毒気に満ちた邪悪な笑顔とは違う。

 素の、本来の優しい笑顔と共に提案する。


 「そう言うのは食い終わってからにしないか?」


 そんな笑顔と共に親友から提案されると、塚原は毒気を抜かれたのだろう。

 正樹の提案を快諾した。


 「それもそうだな。嫌な話は美味いもん喰ってからの方がマシだしな」


 勿論、香澄も同意した。


 「そうね。ちゃんと理由聴くなら食べてからの方が良いし……」


 「悪いな。で、何喰う?」


 2人にそう返した正樹は2人に尋ねれば、店員を呼んで2人と自分の注文をするのであった。





 3人は心ゆくまで多くの寿司をバクバクと沢山食べ、満足した。

 特に正樹と塚原はアホみたい食べた。

 香澄の倍は食べたのではないだろうか?

 そんな2人はデザートにアイスクリームを食べて居た。


 「あんだけ食ったのにアイスも食べるの?」


 2人の男子の食欲に呆れる香澄に対し、2人はさも当然の様に返す。


 「言うだろ?甘い物は別腹ってさ?」


 「そうそう」


 2人から返って来た答えに香澄は益々呆れながらも、自分もアイスを食べて納得する。


 「それもそうね」


 そうして3人はデザートのアイスクリームを食べ終えると、暖かい緑茶を飲んで口の中をスッキリさせると共にリラックスしていく。

 そんな中、湯呑みを置いた塚原が話を切り出す様に問うて来た。


 「で?俺達に寿司を奢る気になった理由は何だよ?」


 塚原の真剣な眼差しを伴った問いに対し、正樹は暖かい緑茶を一口飲んでから答える。


 「久し振りに一緒に飯を食いたくなった……じゃ、駄目か?」


 正樹の答えに塚原は鼻で笑うと、言葉を続けた。


 「だからって1人、1万くらいいく寿司食べ放題を奢るかよ……何か申し訳無い気持ちがあるから俺達に寿司奢ったんだろ?」


 「流石はつーやん(塚原)。解ってる事で」


 塚原の問いを肯定すると、正樹は申し訳無さそうに語り出す。


 「2人には悪いと思ってる。マジな話……」


 「なら、素行悪くなった理由も言いなさいよ。後、アンタが好きな人についてもさ……」


 香澄から追及されると、正樹は煙草を吸おうとする。

 だが、通された席が禁煙席である事を思い出すと、ハイライトの紙箱をポケットに戻した。

 それから程無くして、口を開いた。


 「何処から話すべきだ?」


 そう思案する正樹に対し、香澄と塚原は異口同音に要求する。


 「最初からだ」


 「最初からね」


 そんな2人の要求に正樹は困った様子で「やっぱ、そうなるよなぁ……」と、ボヤくと緑茶を一口啜る。

 そうして一息着けた正樹は覚悟を決めたかの様に前置きする。


 「先ず、先に言っておくけど……今から話すのは全て事実だ。でもって、聞いた後に俺の頭がイカれてるって言う意見に関しては思ってても言うな。俺も頭イカれてるって事に関しては自覚してるから……」


 「エエからはよ話せ」


 「解ったよ。先ずは……」


 長い前置きに少しだけ苛立つ塚原に急かされると、正樹は語り始めた。

 要約するならば……


 自分は去年、近未来な異世界に飛ばされた事。

 異世界で生きる為に様々な酷い事を沢山して来た事。

 その時に1人の女に惚れ、上手く結ばれて結婚した事。

 愛した女性の為に真っ当なカタギになった事。

 愛した女性との間に愛の結晶たる一人娘を設けた事。

 そして、愛した妻と娘を奪われた事。


 復讐を除いた以上の事を正樹から聴かされると、塚原と香澄は困惑の極みになると共に「コイツ、頭大丈夫か?」そんな想いの籠もった視線を浴びせて来た。


 「なぁ……俺の頭がイカれてるのは理解してるけどよ、お前等からそう見られるのは地味に傷付く」


 少し悄気(しょげ)た様子で2人に言うと、香澄は尋ねる。


 「それが素行不良と何の関係があんのよ?」


 当然とも言える正論にも似た質問に対し、正樹はアッケラカンに答えた。


 「正直な所、無いな……」


 「だったら禁煙しなさいよ」


 香澄の正論に対し、正樹は拒否した。


 「そうしたいのは山々なんだけどよ、ヤニカスだから無理だ」


 「なら、さっきの長々とした話はどう関係すんだよ?」


 今度は塚原から問われた。

 塚原の問いに正樹は淡々と答える。


 「其処のチンチクリンの好意には応えられないって理由として関係するな」


 「て、言う事は復讐したい相手が居るって事か?」


 「え?」


 塚原は察しが良いのだろう。

 正樹の語った内容から、復讐したい相手が居ると勘付いて居た。

 そんな塚原の問いを正樹は肯定する。


 「あぁ、居る。この世で一番ブチ殺してぇやりてぇクソアマだ」


 復讐を肯定する正樹に香澄は答えが解った上で尋ねる。


 「復讐を棄てる気は無いの?」


 香澄の問いに正樹は正直に本心を答えた。


 「最初はそうしようと思った。でもな、駄目だった」


 「だけど、お前が殺したいってクソアマは異世界に居るんだろ?なら、復讐のしようが無くないか?」


 至極当然の問いを塚原からぶつけられれば、正樹は残念そうに答える。


 「俺もそうだったら良かった。って……思うんだが、生憎と俺の怒りは未だに収まらねぇし、向こうは俺の事が気に入ってるのか?知らねぇけどよ、ヤル気満々でな。時が来たら、また殺し合おうって抜かしやがった」


 正樹の答えを聞くと、塚原は自分なりの解釈をした。


 「なるほど。要は魔女と野獣のギドとアンジェラみたいな関係な訳か?呪い掛けられたりしてねぇよな?」


 「喜べ。呪い賭けられてるそうだ。因みに呪いはベルセルクの烙印みてぇな感じだとよ……まぁ、ベルセルクと違うのは面倒な連中に群がられる心配は今の所は無いって所だな」


 塚原の質問に答えた正樹に香澄は再び尋ねる。


 「それで、アンタはどうするつもりなの?」


 「そうだな……クソアマの誘いが来るまで、ノンビリと過ごすさ。だけど、煙草と酒は悪いが辞めねぇからな?」


 嘘は言ってなかった。

 ただ、それまでの間。

 クソアマの弟子たる魔女と共に血に(まみ)れる汚れ仕事をしたり、魔女から訓練を受ける。

 その2点は伏せてるが、正樹は嘘は言ってない。

 だが、塚原は察したのだろう。


 「お前がバカやるのは勝手だけどよ、フルメタ(フルメタル・パニック)の相良宗介みたいに俺達や学校は巻き込むなよ?嫌だぞ、学校にテロリストだの、バケモノだのが現れて酷い事になるとか……」


 「俺だって嫌だよ。だけど、残念な事に其処は保証出来ねぇわ……何せ、クソアマだし」


 正樹が申し訳無さそうに答えると、事情が掴めない香澄は首を傾げてしまう。


 「どう言う事?」


 そう問う香澄に塚原が代わりに答えた。


 「コイツの復讐相手が、コイツに仕掛けて来る可能性があるって事だよ。下手したら、コイツの復讐に巻き込まれて死ぬ可能性も一気に増すかもしれないって言うクソ過ぎる状況でもあるって事……マジでクソだな」


 「そんな……」


 塚原から返って来た言葉に絶句してしまう香澄に対し、正樹は心底申し訳無い気分になってしまう。

 勿論、塚原に限らず学校の皆に対しても申し訳無さがあった。

 だが、塚原はソレを理解した上で尋ねる。


 「でも、そうなるまでに時間はあるんだろ?」


 「運が良ければな」


 「なら、ソレまでは友達だな」


 塚原から返って来た言葉に今度は正樹が困惑してしまう。


 「は?」


 「あのなぁ……確かに今のお前は酷いバカなクソ野郎だ」


 「ハッキリ言うなよ。改めて面と向かって言われると傷付くわ」


 「でもな、同時に俺にとってお前は親友でもある事に変わりはない」


 そう断じる塚原に正樹は問う。


 「そりゃ嬉しいね。で?何が言いたいんだよ?」


 「お前がバカやりに行くまでは友達付き合いぐらいさせろって事だよ。後、バカ(復讐)やりに行って、全てが片付いたらちゃんと帰ってこい……で、帰ってきたら20歳(ハタチ)になるまで禁煙と禁酒しやがれ」


 塚原の言葉に香澄も「なら、私にもソレ約束しなさい」と、便乗すれば正樹は呆れてしまう。


 「こう言う時ってよ、普通は俺と絶縁するもんじゃねぇのか?」


 呆れ混じりにボヤく正樹に塚原は返す。


 「常識的に考えれば、絶縁する方が良いんだろうな……真面目な話として」


 「なら……」


 「言ったろ?お前が超のつく大バカなクソ野郎でも、友達なのは変わり無いって……何度も言わせるな恥ずかしい」


 塚原が小っ恥ずかしそうに答えると、香澄も言う。


 「そうそう。後、私はフラれたとしても諦めないから」


 そんな2人に正樹は益々呆れてしまう。


 「俺が言うのも何だけど、お前等バカだろ?」


 ボヤキにも似た正樹の言葉に2人は答える。


 「お前よりバカじゃねぇと思うぞ?」


 「そうよ。今のアンタと比べたらバカじゃないわ」


 そんな2人に正樹は呆れながらも感謝した。


 「ありがとうな」


 感謝した正樹の顔は何処か憑き物が落ちた様にスッキリしていた。

 そんな正樹に塚原は思い出した様に尋ねる。


 「そういや、昼にネット小説云々で毒ガス言ってたけどよ……マジの話だったりしないよな?」


 「安心しろ。毒ガスは使わねぇし、使ったとしても異世界での事だから無問題(モーマンタイ)アルネ」


 茶化す様に肯定した正樹に塚原と香澄はドン引きしてしまう。


 「マジかよ」


 「サイテー……」


 そんな2人に「照れるなよ」と、胸を張る正樹は塚原に感謝した。


 「あ、つーやん……お前のお陰で作戦が決まったわ。ありがとな」


 感謝する正樹に塚原は呆れ混じりに返す。


 「何するつもりか知らんけど、全部終わったらネット小説に挙げ……いや、俺たちだけに教えろ。こんな面白い話、他人に教えたら勿体無ぇ」


 「あ、ネット小説書くんなら教えて……読みに行くから」


 そんな2人に正樹は呆れながら告げる。


 「どれもヤバ過ぎて書けねぇんだわ」





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