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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 忘八


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虐殺を選んだからと言って、後悔が無い訳では無い

悪逆に満ちた決断をしたからと言って、人はソレに対して後悔しない訳では無いって回になるのかな?


 「そうか……哀しい結果を迎えてしまった訳か……」


 涼子から送られたチャット形式での報告を確認すると、ビジネスマンは物哀しい様子で呟いてしまった。

 救出は残念な結果に終わってしまった。

 だが、虐殺を命じた張本人の1人でもあるビジネスマンは直ぐに切り替えると、涼子に返信する。

 文面はこうだ……


 『待機させてた医療班等には此方から連絡しておく』


 冷酷とも言える淡々とした内容であるが、他に言うべき事が無い。

 仕事として罪無き未成年達を虐殺した事は深く残念と想う。

 だが、冷徹な計算としてはコレで良かったのだ。

 一人一人が核弾頭レベルの危険を内包する者達。

 それが現代日本に戻って爆発した際の被害を鑑みれば、コレで良かったのだ。

 だからこそ、ビジネスマンとビジネスマンのパートナーは虐殺を命じた。

 そして、ソレは実行されて問題は一時的に解決した。

 しかし、それでも被害者遺族への申し訳なさが無い訳ではない。


 「被害者遺族には悪いと想う。彼等は愛する子供達がどうなっているのか?解らないまま、生活を送らねばならないのだから……コレに関しては大変申し訳なく想う」


 ビジネスマンの口から放たれたのは、虐殺を命じた張本人とは思えぬ言葉であった。

 だが、ビジネスマンは本心からそう想っている。

 己も愛する子を持つ父親であるからこそ、被害者遺族達の気持ちが解らない訳じゃなかった。

 未だ大人ではない子供達を虐殺を命じた事に対し、哀しさはある。

 しかし、祖国である日本の安全と平和を護る為には必要な措置であった。

 そう、胸を張って言い放てるだけの覚悟はあった。

 だからこそ、ビジネスマンは涼子へさらなる返信をする。


 『罪の意識を持っているなら、君が持つ必要は無い。それは始末を命じた私が背負うべき罪悪だ』


 その言葉に対し、涼子から返事が来た。


 『私が手を下した事に変わりはない。だから、私もこの罪悪を背負う』


 涼子の返事にビジネスマンは呟く。


 「君は優しいのだな。本当にロクデナシなら殺した事を気にも留めない」


 ビジネスマンは涼子を優しいと断じる。

 だが、ソレを涼子に伝える事は無かった。

 そんなビジネスマンは涼子の返事に悪党として答える。


 『好きにしろ』


 悪党としての立場からそう告げると、ビジネスマンは端末の電源を切って愛する息子の寝顔を見に行く。


 「丁度、寝た所よ」


 リビングでは愛する妻が息子を寝かしつけ終えた所であった。

 そんな妻に「そうか」と、返したビジネスマンはベッドに赴くと、スヤスヤ眠る息子の寝顔を愛おしそうに眺める。

 一頻り眺めると、ベッドを後にしてキッチンへと赴いた。

 キッチンで愛飲するスコッチウィスキー……ボウモアの18年のボトルとグラスを1つ手に取ると、妻の居るリビングへ赴く。

 そして、ダイニングテーブルにある椅子に座れば、グラスにボウモアを注いで芳醇な薫りを楽しんでから呷った。

 そんな夫の様子に察したのか?

 妻は尋ねる。


 「何かあったの?」


 「何も無いよ」


 グラスにボウモアを注ぎながら返す夫に妻は「嘘」と、断じる。


 「貴方が自分の部屋で飲まない時は何か最低な事をしたって時じゃない」


 愛する妻から言われると、ビジネスマンは「君には敵わないな」そう認めた上で答えた。


 「俺は最低の決断を下した。そのせいで多くの人間が死に、遺族達はソレを知らぬまま涙を流し続ける事になった」


 夫であるビジネスマンの悲痛に満ちた答えに妻は言う。


 「そう。でも、そうせざる得なかったんでしょ?」


 「あぁ……だが、もっと良い方法があったんじゃないか?もっと良い方法があれば、助けられたんじゃないか?って想ってしまう」


 ビジネスマンの悲痛に満ちた言葉に妻は優しい言葉を投げ掛けた。


 「貴方が悪党なのは知ってる。だけど、同時にこの国(日本)の為に身を粉にして働いてる事も知ってるし、ソレが理由で苦しんでるのも解るわ」


 妻が優しい言葉と共にビジネスマンを認めて受け入れれば、ビジネスマンはスコッチの薫りと共に感謝した。


 「ありがとう」


 ビジネスマンが妻の言葉に癒されている頃。

 涼子は相棒である正樹と電話で会話していた。


 「こんな時間に御免なさいね」


 涼子の謝罪に正樹はゲームをしながら返す。


 「ゲームしながらだ別に構わねぇよ」


 そんな正樹に涼子は愚痴を零す様に問う。


 「私は間違ってたのかな?結果的に私は皆殺しを選んでしまった。もっと根気強く説得すれば良かったんじゃないか?そうも想うの……」


 結果的に虐殺をする事になった。

 愛娘であるマナにはあぁは言ったが、実際の所はもっと良い方法や選択肢があったのではないか?

 そうも想っていた。

 そんな涼子の問いに正樹は対爆スーツに身を包むブルドーザーにヘッドショットしながら答える。


 「その時点で良い案が無いんなら、幾ら考えても無駄なだけだ。それに、説得したら向こうが引金を引いたんだろ?」


 他人事の様に答えると共に涼子に問えば、涼子は肯定する。


 「結果的には向こう(被害者)が引金を引いたわ。で、私はソレを殺し、結果的に虐殺を容認した」


 悔やむ涼子に正樹は警官隊に火炎ビンを投げながら返した。


 「だったら、悔やむ必要は無いんじゃないか?救いたくて手を差し伸べたのに、その手を払い除けたばかりか、殺そうとして来たバカ野郎共を助ける術なんて無いんだからよ……あ!?クソ!クローカーかよ!?」


 画面に向かって悪態をつく正樹に涼子は呆れてしまう。


 「人が真剣に話してるのにゲームしながら答えるって酷くない?」


 「酷くねぇな。俺にすりゃ、他人事なんだからよ……それに救いの手を差し伸べる相手を殺そうとしたバカ野郎に同情する気は起きねぇわ。そんなバカはくたばった方が世の為ってもんだ」


 正樹は徹底して被害者達に対し、同情する気は一切無かった。

 冷酷な言葉に涼子は少しだけ苛立ちを覚えてしまい、思わず問うてしまう。


 「アンタには良心無いの?」


 その問いに正樹は警官隊に向けてアサルトライフルを撃ちながら他人事の様に答える。


 「あるさ。ただ、越えちゃアカン一線を越えたバカ野郎には優しくなれねぇよ……バカは俺も含めて死んでも治らねぇからな。あ!?今度はテイザーかよ!?」


 「それは解ってる(理解してる)わ。でも、納得出来ないのよ……」


 正樹の言葉は昔の邪悪な魔女であった頃ならば、理解するどころか納得が出来た。

 しかし、"今"は違う。

 もっと上手く出来たのではないか?

 今は亡き被害者達を助ける事が出来たのではないか?

 そう悔やみ、悩んでしまう。

 そんな涼子に正樹は金庫に収まるお宝。

 もとい、札束をバッグに詰め込みながら皮肉と嫌味を告げる。


 「悪名高き黒き魔女様にしちゃ偉く感傷的だな?俺が文献で知る黒き魔女は悪逆非道の限りを尽くし、数え切れない死を撒き散らした邪悪そのものだと思ったんだがな」


 正樹の言葉を涼子は肯定した。


 「えぇ、貴方の言う通りよ。私は非道の限りを尽くして来た万死に値するクソ女よ。でもね、今はそう言うので愉しめないし、救えなかった命に嘆くと共に罪悪感で押し潰されそうなのよ」


 同時に否定もすれば、正樹は札束の詰まったキャリアバッグを投げながらアッケラカンに返す。


 「なら、殺した連中の事を忘れねぇこったな。悔いてるんなら尚更な」


 「えぇ、忘れないわ」


 「あ、遺族に罪滅ぼしとか余計な事を考えるなよ?罪滅ぼしとか贖罪なんざ、ソイツ自身の自己満足でしかない。それに犯した罪がチャラになるなんて都合が良過ぎるってもんだ」


 涼子に対し、正樹は釘を刺した。

 そんな正樹の釘に涼子は答える。


 「えぇ、解ってるわ。所で、さっきからPAYDAYしてんの?」


 「おう!難易度Death Sentenceで銀行襲ってる最中だ」


 涼子の問いに自分のしてるゲームがPAYDAY2である事を正樹が元気に告げると、涼子はさっきまでの悔やむ様子が嘘のように言う。


 「ならさ、今度一緒にやらない?」


 「良いぜ。やろう」


 「ありがとうね」


 共にゲームをする事を快諾してくれた事への感謝か?

 それとも、愚痴に付き合ってくれた事への感謝か?

 どちらにしろ、涼子の感謝の言葉に正樹はさも当然の様に返した。


 「礼なら要らねぇよ。俺はただゲームついでに耳を傾けてただけなんだから……」


 「それでも愚痴を聞いてくれて助かったわ」


 感謝の言葉を述べる涼子に正樹はハッキリ告げる。


 「まぁ、良い。取り敢えず、当面は俺と連中(ビジネスマンの手下)で作戦を進めるからよ……お前さんは家族の心配だけしとけや。つーか、今のお前さんと組むのはチョイと恐いんだよ」


 今のお前とは組みたくない。

 そう告げる正樹に涼子は素直に応じた。


 「悪いけど、そうさせて貰うわ」


 そんな涼子に正樹は更に告げる。


 「安心しろ。俺が連中を全部片付けてやっから……お前はノンビリ休めや」


 「ありがとね」


 涼子が再び感謝すれば、正樹は呑気に返した。


 「別に良い。俺は高級な煙草を君から貰うんだ。コレも君からの報酬に含めるだけの話だからよ。じゃあな……お休み」


 電話が切られると、涼子はスマートフォンに向けて「お休み」と返した。

 それから、ベッドに横たわって可愛い猫達の動画に癒されながら眠りにつこうとするのであった。




人間だもん。

最悪極まりない悪逆に満ちた決断をして、その決断通りになって喜べる奴は早々居ないと思うよ?


ビジネスマンも涼子も子供を持つ親だからこそ、この結果にメッチャ後悔してるし、被害者遺族には申し訳なさでいっぱいだもん…


でも、そうせざる得ない時もままあるのも事実なのは否めないけどね


取り敢えず、正樹の酷い答えも間違ってない

救いの手を差し伸べて来た相手を殺そうとする者を救うなんて不可能だからさ…


まぁ、異論はあるだろうけどブララグのベニーのセリフを借りるなら「そうはならなかった。だから、この話は此処で終わり」なんだよね極論になるけど…


それなのに何で虐殺にしたのかって?

HEATって神作映画の冒頭と一緒の理屈だよ。

1人殺ってしまったら、全員殺った方が良いってのと一緒。

ニールもバカ野郎が殺らなければ、全員殺さずに生かしたまま逃走してた。でも、バカ野郎が殺っちまってバレて捕まったら死刑確定やから全員殺ってリスク回避だけどな…


つー訳で次回は正樹のターンになるんかな?

多分…



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