知らない相手を知りたいなら、その世界の末端かトップに聞け
3500文字くらいと短いけど更新する
午後の授業が終わり、放課後を迎えた。
校内の生徒達は帰り支度をすると、帰宅。それか、部活かバイト先へ向かうと言った具合にそそくさと教室を後にして行く。
涼子も同様に帰宅しようとしていた。
だが、仕事用のスマートフォンが電子音を響かせて電話が来た事を報せて来れば、厄介事が舞い込んで来る。
そう察したと言わんばかりに渋い面持ちを浮かべると、電話に出た。
「何?厄介事?」
その問いに肯定する様にビジネスマン。もとい、島津はやれやれと言わんばかりに返す。
「開口一番がソレとは酷いな」
「用が無いなら切るわよ」
取り付く島もない様子で言えば、島津は告げる。
「連中の正体。知りたくないか?」
その一言に涼子は即答する。
「連中は何者?」
涼子の問いに島津は質問で返した。
「君はガンダムSEEDを知ってるか?」
20年前に放映されたガンダムの事を聞かれると、涼子は正直に答える。
「ネトフリで無印と運命を何度も観たし、劇場でも自由を観たわ」
その答えに島津は「ソレなら話は早い」そう前置きすると、連中に関して告げる。
「君のお友達を尾行していた者達は言うならば、ブルーコスモスみたいなものだ」
島津の告げた"ブルーコスモス"の名を聞けば、涼子はゲンナリとしながら思った事をそのまま口にしてしまう。
「最悪ね」
ゲンナリとする涼子を他所に島津は言葉を続けていく。
「連中は過激な極右の排斥主義者の集まりであるが、たちの悪い事に柔軟な思考を持っても居る。その為、異世界帰りを含めた異能を持つ者を懐柔。時には脅迫と言う形で味方に付け、妖魔や異能を持つ害獣にぶつけて殺し合わせる事も平然とする様な使える手は何でも使う手合だ」
島津から語られた榊原 善人と冴島 千雨を尾行していた者達の事を聞くと、その意味を察したのだろう。
涼子は益々ゲンナリしながらボヤいてしまった。
「ソイツ等……死んだ異端者と、異端者を殺して死んだ異端者だけが良い異端者です。そんなスタンスだったりしない?」
涼子の言葉を島津はアッサリと肯定した。
「良く解ったな。その通りだ。何せ、連中にすれば殺すべきクズ共が共喰いしてくれる様なものだ。自分達の同胞や護るべき者達が死ぬより、殺し合わせた異端者が死ぬ方が気分も良いと言わんばかりさ……」
自分の予想が当たった事に涼子は「人間て度し難い邪悪ね」そうボヤけば、島津は涼子に告げる。
「恐らくだが、連中は君のお友達が異世界帰りだと何処かで掴んだんだろう。ソレで"人員補充"の為に目を付け、弱味を探っている。または、拉致するタイミングを図っていると言った所だろうな」
他人事の様に島津が言えば、涼子は島津に要求する。
「なら、貴方の力で連中が一切手出し出来ない様にして」
「無茶を言わないでくれ。連中は異端じゃなくとも自分達の理念の邪魔をする者を敵として扱う。ソレが例え、親兄弟。飼い犬だろうが御構い無しに排除しようとする」
島津が遠回しに断ってくれば、涼子は自分の予想を交えて返した。
「貴方の事だからソイツ等に多額の献金してカネで縛ってたりしてるんじゃないの?」
「否定も肯定もしない。だが、連中はスポンサーであっても御構い無しに噛み付いて来る狂犬なんでな……あ、君と彼。それにお友達の魔女2人に関しては、私の手の者と言う事で手出しはしない様には手は打ってある」
島津の言葉が持つ意味を察したのだろう。
涼子は確認も兼ねて問うた。
「つまり、手を出すな……そう言う事?」
「そうだ。連中は君の事を殺したがってるし、彼の事だって殺したがってる」
島津が自分の問いを肯定すると共に連中が自分だけでなく、正樹の事も殺したがってる事を理由として答えれば、涼子は首を傾げると共に尋ねる。
「どう言う事よ?」
「君は先日の派手にヤラかした件にプラスして、立件不可能な殺しをした。その前にはエクソシストを2人殺害しただろ?その関係で連中は君の事を危険視し、可能なら殺害したがってる」
島津から連中が自分を殺したがってる理由を語られた涼子は納得すると、正樹の事を殺したがってる理由を尋ねた。
「アイツは?魔法使えないんだから危険視されないでしょ?」
涼子の問いに島津は頭が痛そうな様子で返す。
「それなんだが……恐らく、連中は君より彼を殺したがってる筈だ」
その答えに流石の涼子もドン引き。
思った事をそのままボヤいてしまった。
「何をヤラかしたら、私よりも殺したい奴になるのよ?」
そのボヤきに島津は答えた。
「詳しい事情は省くが、彼はロバート・マッコールみたいに幹部6人と兵隊27人を証拠を一切残す事無く殺害したばかりか、連中のセーフハウスを8つ燃やした」
「何があったのよ?」
涼子の疑問に島津が答える事は無かった。
「本人に聞け。私から言えるのは、連中の自業自得。そのぐらいだ」
「なら、聞かないでおくわ」
島津の答えに涼子が返すと、島津は告げる。
「公式に君が連中と殺り合う事に関して私は一切認めないし、協力も出来ない。だから、手を出すなとしか言えない。彼にも同じ事を言うつもりだ」
その言葉の含む意味を察した涼子は問うた。
「非公式には?」
「…………コレは独り言なんだが、連中にとびきり痛い目を見て貰いたい。ソレが魔女によるものや、魔女の友人達。それに連中に最もダメージを与えた男の仕業であっても私は一切気にしない」
島津の"独り言"を要約するならば、非公式に協力する……そんな所であった。
そんな独り言に涼子は溜息を大きな漏らすと、ウンザリとした様子で尋ねる。
「ハァァ…………つまり、私達に連中を始末させたいって事?」
「皆殺しは無し。程々に半殺しで済ませてくれると助かる。その方が此方としては手打ちに持ち込み易い」
涼子にリクエストした島津はアッケラカンに「まぁ、駄目でも圧倒的な力を背景に脅して無理矢理首を縦に振らせれば良いだけの話だけどね」と、身も蓋もない酷い暴言を吐けば、涼子はまたもゲンナリとした様子でボヤいてしまった。
「平和的な解決や展開を望む奴が何処にも居ないの?」
そうボヤけば、島津は問いを投げた。
「君は己の平和の為に君はどれだけの人間を手に掛け、手を汚し続けた?この世界に帰って来てから君はどれだけ殺した?」
島津の問いかけ通り、涼子は多数の人間を殺した。
その問いに涼子が沈黙で返すと、島津は言葉を続けていく。
「勘違いしないでくれ。私は君を責めていない。気に病む必要も無い。誰しもが己の、大事なモノの、平和を脅かす存在を是が非でも排除しようとする。当然だ。だから、コレはよくある、ありふれた話の1つでしかない……血腥いのが難点だがね」
どんな理由であれ、どんな形であれ、人は毎日死んでいる。
時には生きてるよりも、死んでいる方が都合が良い。
そんな唾棄すべき理由で人が人を殺す事もある。
だから、コレも島津の言う通り。
血腥い、ありふれた話でしかない。
そんな血腥いありふれた話の世界から抜け出そうとしていたにも関わらず、自分は自ら血腥いありふれた話の世界に再び踏み込んでしまった事に涼子は自嘲の言葉を漏らしてしまう。
「ホント、救いようの無いバカね」
その自嘲を己に言っている。
そう感じた島津は自身も自嘲する様に返した。
「私を始めとして、人間は考えるアホだ。それはもう、救いようが無いくらいにバカ丸出しだ」
島津はそう言うと「では、後の事は任せる」そう言い残して電話を切った。
用の済んだスマートフォンをしまった涼子が大きな溜息を漏らすと、其処には何時の間にか居た冴島 千雨の姿があった。
「その顔だと連中の正体が解ったようね?」
冴島 千雨の問いに涼子は肯定で返す。
「えぇ、連中はSEEDのブルーコスモスみたいなモノだそうよ」
涼子の答えに冴島 千雨は笑顔で言う。
「良かったわ。始末しても心が痛まないのが相手で」
「それより、彼は?」
その問いに冴島 千雨は答えると共に尋ねた。
「とっくにバイトに向かったわよ。それで?貴女はどうする?」
問われた涼子は少し考えると、何度目かの溜息を漏らして答える。
「ハァ……残念な事に非公式だけど、上からお赦しが出ちゃったから仕事になる」
涼子の答えに冴島 千雨は他人事の様に言う。
「勤め人は大変ね」
そんな冴島 千雨に涼子は釘を刺した。
「言っとくけど、先手必勝は厳禁よ。向こうが手を出して来るまでは何もせずに居て」
「悠長なのね」
遠回しに手緩いと返す千雨に涼子は辟易とした様子で理由を語った。
「此処は日本であって、メキシコでも無ければ、アフリカでもないし、貴女の居た神が見棄てた荒れ果てた世界でもない。だから、殺り合うにしてもそれなりに守らないとならないルールや柵がある」
「面倒臭いわね」
心の底から面倒臭そうにする千雨に涼子は理由を交えた上で改めて釘を刺した。
「兎に角、向こうが嘗めた真似して来ない限りは何もせずに居て。じゃないと、防衛戦争って大義名分での戦争にならないし、停戦の際に有利な条件を叩きつけられなくなるから……」
千雨に釘を刺した涼子は勉強道具等が詰まった荷物を持って立ち上がると、千雨と共に教室を後にするのであった。
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