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現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します  作者: 幽霊@ファベーラ


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検証

検証するだけの簡単な回


 10メートル先から響いた一発の乾いた銃声と共に起きた事に涼子とエレオノーレは目を疑ってしまった。


 「嘘でしょ……」


 「本当に出来るとはな……」


 2人の魔女が信じられないと言った様子で言葉を絞り出すと、銃口から硝煙立ち昇るフラッシュライトの着いたGLOCK17を右手に握り締める正樹はふぅ……と一息吐いて銃口を下ろし、言葉を漏らす。


 「久し振りにやったけど、案外出来るもんだな」


 そんな呟きに答える様に涼子は自分の右の掌を眺めながら尋ねた。


 「どうやったのよ?」


 「此処だって場所を狙って撃った。そしたら、何かあのクソアマ(ハミュツ)以外で初めて感じた強い魔力が霧散した」


 正樹の言葉に涼子はドン引きしてしまう。


 「あのさ……アンタはさも当然の様に言ってるけど、()()()()()()()()()のよ」


 ドン引きしながら言葉を絞り出す涼子を他所にエレオノーレは獰猛な笑みを浮かべると、涼子の前に立つなり、挑発とも言える言葉を正樹へ投げた。


 「貴様の技に私のが通じるか?試してみたくなった」


 その言葉と共にエレオノーレの掌に赤い魔力が集まり、瞬く間に蒼く燃える野球ボール程の大きさになっていく。

 そんな燃え盛る魔力弾をエレオノーレが躊躇いなく正樹へ向けて放つと同時。既に銃口を向けていた正樹は引金を引いていた。

 銃声と共にホローポイント仕様の9ミリルガーが秒速約350メートルの初速で放たれると、エレオノーレの蒼く燃え盛る魔弾へ吸い込まれる様に飛んでいく。

 発砲と同時に排出されて宙を舞っていた硝煙立ち昇さる空薬莢が地面に落ち、心地良い金属音を立てたと同時に9ミリルガーは音よりも速く(音速)で放たれたエレオノーレの目の前で魔弾を貫いて霧散させたのであった。

 己の放った蒼く燃え盛る魔弾が消滅したのを目の当たりにすると、エレオノーレは愉快そうに笑い始めた。

 愉快な様子で一頻り笑ったエレオノーレはピタリと笑うのを辞めると、正樹に賞賛の言葉を投げた。


 「貴様の技はこの私が賞賛に値する程に見事だ!あぁ、小娘(涼子)との決着を付けた()()()()()()()()()気分が実に良い」


 エレオノーレは自分が先に魔弾を放ったものと思っていた。

 だが、実際はエレオノーレが蒼く燃え盛る魔弾を放つよりも速く正樹は銃口を向け、引金を引いていた。

 ソレは西部劇の主役よろしく見事な早撃ちと言えた。

 そんな早撃ちをしてみせた正樹はエレオノーレの言葉にゲンナリしてしまう。


 「綺麗なお姉さんからデートの誘いなら歓迎だが、殺し合いの誘いなら勘弁して欲しいんだわ」


 そう返すと、正樹は硝煙立ち昇る銃口を下ろしたその瞬間。

 エレオノーレが笑顔で次弾を放って来た。

 音を超えた速さで飛来する魔弾を正樹は即座に左へ跳んで躱すと、エレオノーレへ容赦無く銃口を向ける。

 そんな正樹にエレオノーレは笑みを浮かべたまま宣う。


 「やはり貴様は素晴らしい戦士だ。油断を誘ったつもりだったんだがな……見事に躱された」


 シレッと油断を誘い、必殺の一撃を叩き込まんとしたエレオノーレは何処か嬉しそうな様子であった。

 そんなエレオノーレに正樹はウンザリとした様子で返した。


 「俺と殺し合いたいってんなら、()()()()()()()()ないか?俺はアンタの前に殺したい奴が居るし、アンタは俺の前に片付けたい奴(涼子)が居る。その順番を守った上で俺を殺したいって言うんなら、良いぜ。殺しに来いよ」


 殺意の混じる断固たる意志を以て正樹が告げれば、エレオノーレは益々歓喜しながら謝罪を述べた。


 「貴様の言う通りだ。失礼した」


 謝罪とも言えぬエレオノーレの謝罪を正樹は指揮官として、1人の戦士として受け入れ、認めた。


 「なぁに良くある事だ。それにアレ(先の必殺の一撃)は良い訓練になったし、油断したら死ぬって教訓を改めて学べて良かったよ」


 正樹がさも当然の様に返せば、涼子は呆れてしまう。


 「蛮族には付き合いきれないわ」


 涼子の言葉にエレオノーレは鼻で笑った。


 「ふん……この中で一番野蛮な奴がよく言う」


 「私の何処が野蛮だってのよ。私は捕虜の虐待しないし、レイプだってしないし、投降して来たら穏便に済ませてるのに」


 涼子が反論すれば、エレオノーレは益々呆れてしまう。


 「確かに捕虜の虐待と強姦はしてないな。だが、投降して来た者達を皆殺しにした事が何度もあるだろうが……時には丸裸にさせた上で歩いて帰させたろう?」


 「あら?その時の連中は降参の合図を見せなかったし、裸で帰した事に関しては穏便なつもりよ?途中で獣や奴隷商含めたモンスターに襲われたとしても、ソレは連中が自ら選んだ結果でしか無いわ」


 さも当然の如く。過去の戦いでヤラかした件を自分は悪くない。

 そう言わんばかりにいけしゃあしゃあと宣えば、今度は正樹が呆れてしまった。


 「此処に居る奴にマトモなのが居ねぇ」


 勿論、自分もマトモじゃない部類に入れてる。

 そんな遣り取りが終わると、正樹のトンデモナイ能力の検証の続きが行われていく。

 手始めに目隠しをした状態で魔力を感じ取る。

 コレは正樹が目隠しをした状態で魔力を正確に感知出来た。そればかりか、飛んできた涼子の魔弾を目隠しのままコンバットナイフでバッサリと真っ二つにもしてみせた。

 それに涼子は益々ドン引きし、エレオノーレは愉しみが増えた事に歓喜した。

 その後。

 涼子の地下バンカーを涼子が戦闘で用いる魔導トラップを幾つもセットしたキルハウスでの訓練が始まり、M249 MINIMIを手にした正樹はマンターゲットの胸や頭部へ的確に3発ずつ撃ち込んで居た。

 一部屋目のマンターゲットを全て射殺した正樹は室内をクリアリングして完全に安全である事を確認すると、次の部屋へと歩みを進めていく。

 歩みを進める中。ピタリと歩みを止めた正樹は足下を静かにジッと見詰め始めた。

 足下の床は何の変哲も無いように見える。

 だが、一歩そこへ踏み出せば串刺しになるトラップを涼子は仕掛けていた。

 正樹がトラップの仕掛けられてる床へ1発撃ち込むと、涼子の魔導トラップが消滅した。と、同時に目の前にマンターゲットが現れた。

 目の前のマンターゲットへ銃口を銃口を向けた正樹がそのまま引金を引けば、M249 MINIMIは喧しい銃声と共にマンターゲットを孔だらけの穴あきチーズへと変えていく。

 そうしてマンターゲットが孔だらけになって人間ならば確実に死んでいる状態となれば、マンターゲットはパタッと後ろに倒れた。

 トラップとマンターゲットを始末すれば、正樹は再び歩みを進めていく。が、直ぐに立ち止まり、天井を見上げる。

 天井には何も無かった。

 だが、涼子の仕掛けた魔導トラップが其処にあった。

 そんなトラップを見破った正樹をハエトリグモを模した小さな使い魔(ドローン)越しに見ていた涼子は、使い魔(ドローン)越しに告げる。


 「そのトラップも見破るとかデタラメ過ぎるわ」


 ドン引きする声に向け、正樹は正面を見据えて警戒しながら尋ねた。


 「効果はその下を通った奴にクレイモア(クレイモア地雷)喰らわす……みたいな感じか?」


 「そうよ。よく解ったわね」


 涼子が肯定すれば、正樹はその答えに至った根拠を述べていく。


 「俺でもこの通路なら()()()()()()()()()()


 正樹の言葉に涼子はミリヲタとして何処か誇らしげな気持ちになった。

 実際、世界は異なれどtier1に当たるトップレベルの部隊で現役をしていた歴戦の猛者から自分も同じ様な事をする。

 そう言われれば、ミリヲタ冥利に尽きるだろう。

 ミリヲタとして喜ぶ涼子を他所に正樹は後ろを一瞥して敵の有無を確認し始めた。

 そうして敵の姿が無い事を確認すると、正面を見据えながら一歩ずつゆっくりと下がっていく。

 そうして安全であろう距離まで下がると、正樹は天井のトラップのある所へ銃口を向けて引金を引こうとした。

 だが、ソレよりも速く天井のトラップが発動し、天井から無数の魔弾がバラ撒かれる様にして撒き散らされ、床を瞬時に無数の孔で満たしていく。

 ソレを目の当たりにした正樹はドン引きしてしまう。


 「天井クレイモア。改めて見るとエゲツねぇな」


 あのトラップに気付かずに進めば、無数の小さな魔弾によって跡形も無くミンチと化してたであろう。

 そんな結果を目の当たりにしてドン引きする正樹に涼子は自慢げに言う。


 「天井クレイモアはアホ共を纏めて始末するのに便利だったわ」


 「だろうな。お前の居た時代なら天井を警戒する事も無いだろうし、していたとしても天井からクレイモアめいた散弾ブチ込まれたら為す術も無いままミンチになる」


 剣と魔法の世界であっても、ダンジョン探索も含めた室内戦はハッキリ言って地獄に爆進して戦うのと変わらない。

 特に涼子の様な嫌らしくエゲつない床や天井にトラップを仕掛ける者を相手取る事になるならば、尚更だろう。

 正樹の様な魔力と危機。その2つの察知能力が無ければ、1分も掛からずに天国か地獄へ場替えする羽目になるのは言うまでもない。

 だが、トラップの恐ろしさは掛かった者が()()()()()()()()()()()()()()()()


 「例え、トラップがその1つだけしか無くとも相手は嫌でも他にもトラップがあると判断せざる得なくなる。生き延びたいから余計に相手は益々用心して警戒する。相手にすれば、トラップは1つだけなのか?未だ幾つも有るのか?解らないんだから当然だ」


 正樹の言う通りであった。

 トラップを使われる者は仕掛けた者が仕掛けたトラップの数や位置が皆目解らない。

 例え、トラップがその遭遇した1つだけだとしても他にもトラップが有ると考える。

 同時に萎縮して、その進みを完全に止めるか、進むスピードに否が応でもブレーキを掛けて減速せざる得なくなる。

 トラップの一番の恐ろしさと強味はその点に尽きた。

 この点は対人含めた各種地雷が良い例だろう。

 地雷が1つでも有ると解れば、部隊の兵士達の前進は滞る。

 まぁ、被害を度外視して前進を強行するのも手ではあるが……


 閑話休題(話を戻そう)


 自分の魔導トラップを見破り、トラップの真骨頂を滔々と語った正樹に涼子は賞賛する。


 「流石は仮にも正規の将校をしてた元軍人ね。トラップの真の強みと恐ろしさをキチンと理解してる」


 「俺も似た事を沢山して来たからな。つーか、この程度は誰でも考えれば解る事だろ?」


 平然と言ってのける正樹に涼子は告げる。


 「このまま検証を続けた方が良いんだろうけど、()()()。検証終了よ」


 涼子から告げられた検証終了を聞いても正樹は油断する事無く、前方を見詰めて脅威の有無を確認。

 前方の安全を確認すると首と腰を捻って背後を一瞥し、背後の脅威の有無も確認していく。

 そんな用心深い正樹の様子に涼子は流石と思いながらも更に告げる。


 「安心してよ。あのバカ(エレオノーレ)みたいに不意討ちは……」


 「なら、俺の()()()()()()()()()()()?」


 正樹はそう言うと自分の右足。もとい、靴の上に居る小さなハエトリグモを見下ろし、指差した。

 その問いに対し、涼子は賞賛で返した。


 「凄いわ!油断を誘って不意討ちしようと思ったのに!見破るなんて!!」


 涼子の賞賛に正樹は呆れ混じりに言う。


 「お前等。つか、お前の遣り口を直ぐ近くで見続けてたら嫌でも警戒せざる獲ないんだよ……」


 涼子の遣り口や手口を味方として直ぐ近くで見ていた正樹にすれば、涼子が会話で油断させてコッソリ不意討ちを仕掛けて来るのは予想の範疇でしかない。

 だが、ソレを責める事は無かった。

 寧ろ……


 「忍殺(ニンジャスレイヤー)じゃねぇけど、油断して負けてくたばった奴は間抜けな負け犬でしか無い。つーか、油断を誘って相手を狩るのは殺しの基本。油断して負けて死んだ奴はバカでアホで救いようのないカスだから不意討ちした奴をムラハチにする気無いし、ケジメ取らせる理由も無い。寧ろ、良く殺った!!と、褒めても良いくらいだ」


 卑怯な手口で敗けた者をボロクソに酷く貶し、卑怯な手口で勝った者を正樹は賞賛した。

 そんな正樹に今度は涼子が呆れてしまう。


 「どんな思想よ?ふっつー、卑怯な手を使った奴を責めるモノなんじゃない?私が言うな……だろうけどさ」


 その呆れ混じりの言葉に正樹はさも当然の様にハッキリと返した。


 「勝つ為に自分の使える全ての手段を講じるのは当たり前の事だ。自分の出来る事を使っただけで卑怯とか抜かすのは負け犬の遠吠えや戯言でしか無い」


 其処で正樹は言葉を一旦切ると、更に言葉を続けた。


 「後さ、俺は教官達からどんな手を使ってでも勝て。任務を確実に完遂しろって教わってるのもあるから、自分が卑怯な手を使われても相手にムカつきはしても、己の詰めの甘さの方が腹立たしくなる」


 ハッキリと言い切った正樹に涼子はまたもドン引きしてしまう。


 「えぇ……どんだけ覚悟ガンギマリなのよ」


 涼子の言葉に正樹は吐き捨てる様に返した。


 「敵も味方も当たり前の様に汚い事をする様し、負けたら価値の無い負け犬でしかないからな……嫌でも覚悟ガンギマリにならんとやってくれんかっただけだ」


 吐き捨てた正樹はM249 MINIMIから弾を完全に抜き、安全装置を掛けて完全に安全な状態にして担ぐと、その場から立ち去っていく。

 M249 MINIMIを担いで歩く正樹へ、涼子は何時の間にか正樹の肩に登った"ハエトリグモ"を介して質問を投げた。


 「そう言えば、何で機関銃なの?てっきり、アサルトライフルでCQBすると思ったんだけど?」


 その質問に正樹はぶっきらぼうに答える。


 「あ?戦闘は火力だからに決まってんだろ。御行儀良くチマチマ敵を撃つより、持てる最大の火力で一気に行く方が俺的には生存率上がる様に感じるのもあるがな……」


 期待した答えと異なったからか?

 涼子は少し不満そうに声を漏らした。


 「えぇ……」


 「つーかさ、敵にすれば相手が此処から来るって解ってるホームグラウンドな室内戦する羽目になる事ほど嫌な戦いは無いんだよ。敵にすれば、此処に機関銃据えれば当面は時間稼げる。此処に罠を仕掛ければ良い。相手の上を取れるなら上から手榴弾を投げ込めば良いって具合に死ぬ可能性マシマシだから」


 「それはそうだけどさぁ……」


 「だから、持てる最大の火力を叩き込む必要がある。何なら、突入一切せずに外からしこたま弾をブチ込んでも良いくらいだからな?無反動砲なり、対空機関砲なり、迫撃砲なり、居るなら戦車始めとした装甲車両なりでな」


 正樹の身も蓋もない言葉に涼子はモニョってしまう。


 「言ってる事は理解出来るんだけど、何か納得いかない」


 そんな涼子に正樹は更に言葉を続けていく。


 「別に納得しろとは言わねぇよ。俺の私見であって、完璧な正解って訳でも無いんだからよ……つーか、この手の事で完璧な模範解答的な正解が俺には解らん」


 最後にまた身も蓋もない事を言えば、涼子は益々モニョるのであった。




感想とか評価とかブクマとか読了ツイートくれると嬉しいからちょーだい♡

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