ブリーフィング
祝100話目
しかし、申し訳無いが記念に何かしら特別な話をする訳では無い←
とりま、サブタイ通りの内容
"犬小屋"のリビングで正樹は己が撮影した多数の写真を監獄島の見取図が貼られたホワイトボードに貼り合わせると、煙草を燻らせる涼子とエレオノーレの前に立って指揮官として告げる。
「今回の作戦は一言で言うなら、時間との戦いに他ならない」
正樹は作戦の根幹を一言で2人に告げると、ホワイトボードの貼り付けた監獄島を指し棒で指しながら作戦の内容を説明していく。
「先ず、俺達は海中から作戦区域であるこの島へと接近。その際、魔法や魔力の使用は先日も伝えた通り、厳禁とする。接近後は島のこの位置へ移動し、崖を登っての潜入。崖を登る際、俺が先行して登って上陸地点周囲の安全確保する」
潜入方法は一言で言うならば、正樹が行った"筋肉式"潜入である。
正樹は己が先日の様にフリークライミングで崖を登った後、周囲の安全確保する事を告げると、その後の行動に関してホワイトボード上の地図を指しながら説明していく。
「上陸地点の安全確保後。君等2人が崖を登りやすくする為にロープを下ろす。君等はそのロープを伝って崖を登ってくれ。そうして崖を登った後、俺達はこの森の中へと移動し、其処で装備を整える……何か質問は?」
作戦説明の途中であるが、正樹は2人に質問が無いか?確認する。
2人から質問が無い事を確認すると、正樹は作戦説明を続けた。
「質問が無いならよろしい。森の中で持ち込んだ各種装備を整えた後、俺達は城塞の後方付近まで侵入し、接近。其処で涼子による陽動を兼ねた準備攻撃を行い、敵の兵舎ならびに警報装置である灯台と鐘楼。そして、城塞と監獄の本舎である城の壁も破壊する」
作戦時の大まかな動きを説明すると、エレオノーレが挙手して質問して来た。
「時間との戦いと言ったが、具体的にはどのくらいの時間がある?」
時間との戦いである以上。
行うのは制限時間付きのタイムアタックに他ならない。
それ故、タイムアタックの際の制限時間をエレオノーレは問うた。
そんなエレオノーレの問いに対し、正樹は制限時間を答えると共に補足する様に説明していく。
「攻撃後、約20分。ソレが大まかな目安だ。その時間を過ぎると、敵の増援部隊が到着して俺達に群がって来る。それこそ、獲物に群がる蟻の大群や群狼みたいにな……」
「つまり、ソレまでに我々はモラを確保して脱出する必要がある。そう言う事だな?」
「理想的な展開としてはその通りではある。だが、物事は理想通りに事が進むなんてのは稀なのが現実だ」
正樹はエレオノーレの問いを肯定すると共に否定する答えを告げると、くわしく説明しようとする。
「理想は20分で全て完了させて脱出する。コレに尽きるんだが、恐らく。否、間違い無くソレは不可能だ。なので……」
「つまり、その20分の間に何処まで行けるか?その1点に作戦の成功が掛かってると言う訳だな?」
エレオノーレが正樹の言葉を遮る様に問えば、正樹はエレオノーレの咎める事無く肯定すると共に作戦の続きを語っていく。
「その通りだ。理解が早くて助かる。さて、話を続けよう……裏手から内部に突入後は寄り道する事無く、確保対象である"賢者"へ真っ直ぐ向かって確保する」
其処まで語った正樹は更に「だが、その確保時に大きな関門がある」そう前置きすると、その関門に関して2人に説明する為に今度は1枚の写真を指し示した。
その写真は巨大な金庫の扉とも言える金属製の大きな扉であった。
そんな金属扉を指し棒で示した正樹は2人に向け、告げる。
「この金属扉が救出の際の大きな関門だ。君達2人なら余裕綽々に鼻歌混じりに容易く蹴破るんだろうが、其処の魔女のお姉さんの要望で魔法抜きでブッ壊さないとならない……その為、俺がこの扉をブチ破る事になる」
長々と語って金属扉を己がブチ破る。
そう2人に正樹が告げると、涼子が挙手して問うた。
「出来るの?」
涼子の問いに対し、正樹は満面の笑みと共に肯定する。
「君の"お友達"から提供されたこの扉に関する情報が確かなら余裕だ。その代わり、俺がブチ破る為の支度をする際に君達2人はやって来るだろう敵に対して警戒をして貰うがな……」
「流石に無防備な状態で作業はしたくねぇぞ」そう締め括った正樹から作業間の護衛を任されると、2人は快諾した。
「私は良いわよ。エレオノーレは?」
「私も構わん。確認だが、敵が来たら殺害しても構わんのだろう?」
快諾と共に確認するエレオノーレに対し、正樹は快諾する。
「あぁ、殺ってくれ。殺してくれれば作戦上の負担が少しは減る」
「ならば断る理由が無い」
作業間の護衛をキッチリしてくれる事をエレオノーレが改めて了承すれば、正樹は作戦の続きを語っていく。
「扉をブチ破って内部に突入後は当初の予定通り、賢者まで真っ直ぐ進んで救出する。だが、救出の際にも問題点がある」
正樹が問題点を示唆すると、涼子がその問題点を口にする。
「モラに施された拘束ね」
「そうだ。この写真通りの拘束されてるんなら……どんだけ厳重に拘束してんだよ?って呆れたくもなる」
救出対象であるモラに施された拘束はコレでもか?と、言うほどにコレ以上無い拘束をされていた。
「両手と両足がゴツい木製の枷で拘束されてるばかりか、頭部全体を覆う拘束具によって視界と聴覚が奪われ、口に嵌められた猿轡で魔法詠唱を阻害されてる。こんなのピクのコアなエロイラストでしか見た事無いぞ?」
正樹が呆れ混じりに救出対象であるモラに施された拘束の内容を言うと、涼子はさも当然の様に言う。
「そりゃ、邪悪で強大な力を持った魔女をキッチリ縛り付けたくなるのが人情ってもんだから仕方無いわよ。それに……」
「それに?」
「力を持たぬ者達にすれば、圧倒的過ぎる力を持った怪物に対して不安が尽きるなんて有り得ないわよ」
涼子の言葉に正樹は納得するしか無かった。
「ソレもそうだな。確かに怪物を相手にしたら不安が尽きるなんてあり得ねぇな。それこそ、その怪物の息の根を止めるまでずっと不安に歳悩まされるだろうよ……おっと、話が逸れたな。話を続けよう」
其処で閑話休題した正樹は作戦説明を続ける。
「賢者の拘束を解いた後、賢者に服と靴を履かせて自分の足で移動させたいんだが……動けなかった場合、君達のどちらかで運んでくれると助かる。てか、運び出してくれ」
自分の力で動けるならば動いて貰う。
だが、長期間の拘束によって身体機能に異常がある際は此方で運び出すしか無い。
その点を踏まえ、正樹は2人にモラを運んでくれ。
そうお願い風に命じると、エレオノーレが意見する。
「それならば、奴を壁と床に繋いでる鎖だけを破壊してそのまま運び出す方が良くないか?」
エレオノーレの言う通り、運び出すだけならば壁に太い鎖で繋がる手枷と床に太い鎖で繋がる足枷を何とかすれば良い。
その点を指摘するエレオノーレの意見に対し、正樹は理由もキチンと交えた上で否定した。
「俺も確かにソレを考えた。だが、拘束具に何か仕掛けられている可能性が否めないし、その拘束具分の重さを君達に負担させたくない。其れ等の点を踏まえ、その場で拘束を排除する事を選ばざる得ないんだ」
「拘束をそのままに運び出すって考えは良いんだがね……金庫破るよりも、金庫ごと盗み出す方が早い時もあるから」そう正樹が締め括れば、エレオノーレと涼子は納得してくれた。
「なら、拘束は私が何とかしてみるわ。エレオノーレはモラのバカを運んで」
「良いだろう。それで?脱出はどうするのだ?」
モラを運び出す役目を担う事を承諾してくれたエレオノーレから問われると、正樹は答える。
「単純に来た道を戻る。そうしてエントランスフロアまで戻った後、俺達は屋上へと上がって涼子が用意してくれた迎えを待つんだが……涼子、迎えは必ず来るのか?」
脱出に関して簡略的に答えた正樹から帰りの迎えに関して問われると、涼子はハッキリと肯定した。
「合図を送れば、必ず来るわ」
ハッキリと肯定する涼子に正樹は指揮官として問う。
「合図を送ってから到着までの時刻は?」
「5分よ」
「なら、その5分耐え凌げば俺達の勝利って言う訳だな?」
「そうなるわね」
己の問いに対して涼子が肯定すれば、正樹は信頼や信用を交えた上で指揮官ではなく、仲間としてハッキリと告げる。
「その言葉、信じるぞ」
「ありがとう」
己を仲間として信じてくれた正樹に対し、涼子は感謝した。
それから直ぐに正樹は作戦に用いる武器に関して問う。
「さて、君達2人には機関銃とランチャー付きのライフルを持って貰いたい。どっちが機関銃で?どっちがランチャー付きか?ソレは君達で決めてくれても構わないんだが……俺が決めても良いか?」
正樹の問いに対し、2人は別に構わないと言った様子であった。
そんな2人に対し、正樹は立ち上がる様に命じた。
涼子とエレオノーレが立ち上がると、正樹は2人をジッと見詰めながら思案する。
背と体格はやっぱりエレオノーレの方が良い。
そうなると、ガナーはエレオノーレにやらせる方が無難か?
まぁ、どっちにしろパッケージの輸送の為に彼女には働いて貰う事に代わりはない。
正樹は2人の体格をジックリと見詰めて確認した上でそう判断すると、指揮官として2人に役目を告げる。
「エレオノーレ、機関銃。涼子はグレネーダー。エレオノーレに関しては"賢者"を確保後、機関銃を俺に寄越せ。エレオノーレ、君が"賢者"を運ぶ間は機関銃の役目を俺が代わりに担う。異論や反論は一切認めない」
有無を言わせない正樹の口振りに対し、2人が反対する事は無かった。
反対しなかった2人に正樹は更に続ける。
「突入時、エレオノーレは俺の左側面。涼子は後方に立って後方警戒。それと悪いが、2人には更に手榴弾含む多数の予備弾と破壊器材を携行して貰う。勿論、俺もソレを携行する。異議は?」
2人は沈黙を以て、異議無し。
そう返せば、正樹は告げる。
「作戦の概要説明は以上だ。明日からエレオノーレには機関銃の取り扱いを教える。涼子。一応確認するが、君はライフルに取り付けるタイプのグレネードランチャーの扱いは解るか?」
作戦の概要説明は終わり。
そう宣言した後。
エレオノーレに機関銃の扱いを教える事を告げ、涼子にはアドオン式とも呼ばれるライフルに取り付けるタイプのグレネードランチャーを扱えるか?確認すると、涼子は正樹に答えた。
「アプリでなら使い方は学んだわよ」
「よーし、お前にもグレネードランチャーの扱い教えるぞ。ブリーフィングは以上を以て終了。明日の月曜日まで解散とする」
指揮官として作戦の概要説明とも言えるブリーフィングの終わりを改めて宣言した正樹は大きなアクビをすると、用意していた着替えを持ってリビングを後にした。
その後。
バスルームへ赴いた正樹は金曜の夜からずっと着続けていた臭い立つ靴下と戦闘服。
そして、下着を脱いで鍛え抜かれた肉体を余すことなく露わにすると、熱いシャワーを浴びるのであった。
偵察で獲た情報を基に作戦を組み立て、ソレを指揮下の部下に共有するのって大事なのよね
さて、今回の更新で作戦の概要説明が終わった訳だけど…
正樹の仕事は未だ色々と残ってたりする←
作中でも述べた武器の扱いレクチャーに金庫をブチ破る為の器材製作
他にも持ってく武器弾薬と各種装具の準備の監督とか…指揮官に休む暇は無いのである




