カピパラくんの趣味(ボードゲーム)①
ひつじさんと結婚する前は、カピパラくんは決して多趣味とは言えませんでした。そのころのカピパラくんにとって、趣味(というよりも、アイデンティティ)はお話を書くことで、それ以外はサッカーゲームと、たまにする課金制のデジタルトレーディングカードゲームくらいのものでした。
でも、双極性障害だとわかって、お話を書くというアイデンティティを捨てたカピパラくんには、ほとんどなにも残っていませんでした。お話を書けない自分に、なにか価値があるのだろうか? …いいや、価値なんてないんだ。何度そう思ったことでしょう。
「お話が書けないんなら、生きてる価値なんてないし、生きていてもなんにもいいことなんてないよ…」
そんなことを考えているときでした。
「カピパラ、久しぶりに集まろうぜ」
そう声をかけてくれたのは、大学時代の友人たちでした。タカくん、リスくん、クマくんの三人です。その友人の一人、クマくんには、娘さんが2人いました、まだ幼稚園の年長さんと、年少さんくらいでしょうか?
「ボードゲームやろうぜ」
クマくんの提案に、カピパラくんは首をかしげます。この4人が集まるときは、いつもトレーディングカードゲームをやるのですが…。
「…わかった、集まろう」
ちょっぴり心配でしたが、カピパラくんは遊びに行くことにしたようです。そしてこの決断が、カピパラくんの人生を大きく変える転機となったのでした。