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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十八章 乙女座の頼み事

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独身おじさん、ウェディングプランナーになる④

 さて、ウェディングプランの発表からしばらく経過。

 俺の仕事は終わったので、いつも通りの仕事……魔道具の修理、開発などに精を出していた。まあ基本修理だけで、開発はしていない。

 そろそろ、俺専用の車とか作りたいな……バイクも放置してるし、アーマーも全く着用していない。原付は移動で乗るけど、最近はもう見慣れたのか、特に何も言われない。

 俺は持ち込みのドライヤー、ランプ、懐中電灯の修理を終え、持ち主が引き取りに来たのを確認して料金をもらい、それを金庫にしまって一服していた。


「……コーヒーうめえ」


 今は、魔道具よりコーヒーのことを考えていた。

 コーヒー豆。この世界じゃ薬として豆のまま飲まれたりしている。話じゃ腹痛の薬って聞くけど……どうやら、腹が痛いときに飲むことで腸を刺激して、悪いのを全部体外に出すための薬っぽい。

 でもそれって、わざと腹痛を誘発させてゲリさせてるんじゃ……と思わなくもないが、俺は医者じゃないので口出しはしない。

 まあ、この豆を焙煎して粉にするとコーヒーになるってことだけわかればいい。

 俺の考えはコーヒー、そしてもう一つあった。


「喫茶店か……」


 喫茶店。それも、コーヒー専門店。

 今の俺の財力なら、コーヒー店を経営するくらいわけはない。人気が出なくても、店を維持するくらいの金は楽勝である。

 

「俺自身がカウンターに立つのもいいな。それか、おしゃれなマスターに店を任せて、俺は経営者として顔を出し、コーヒーを飲む……悪くない」


 喫茶店って、子供の頃はけっこうな人数があこがれる仕事だと俺は思ってる。

 なんかこう……おしゃれだよな。少なくとも俺はけっこうあこがれた。

 レトロ風な店内で、クラシカルなBGMが流れて、店内にはコーヒーの香りが漂い、おしゃれなマスター(マイルズさんが浮かんだ)がコーヒーを淹れてくれる……俺は窓際の席に座り、コーヒーを味わいながら外の景色を眺め……。


「ちょっと、なにボケッとしてるのよ」

「うおおおおおお!? な、さ、サンドローネか……びっくりさせんなよ」

「あなたが勝手に驚いたんでしょうが」


 サンドローネがいつの間にかいた。

 サンドローネだけじゃなく、マンボウさんも一緒だ。今日もタオル片手に汗をぬぐっている。


「な、なんか用事か?」

「ウェディングプランについて、諸々の作業が完了しそうなの。あなたにチェックをお願いしようと思ってね」

「あ、ああそう……あーほんとにびっくりした」

「何を妄想していたのよ……スケベね」

「おい、聞き捨てならないぞ。俺はな、理想の喫茶店を」

「はいはい。とにかく、あなたの作った魔道具のチェックもあるから、さっさと行くわよ」


 サンドローネがさっさと歩き出し、店を出た。

 マンボウさんが汗をぬぐって言う。


「も、申し訳ありません。ゲントク様、ご足労おかけいたしますが」

「ああいや、行きます行きます」


 俺は上着を掴み、マンボウさんと店を出るのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 数日後。

 いよいよ、アレキサンドライト商会の新事業である『ウェディングプラン』が始まる日がやってきた。

 俺は職場で、ロッソたち四人と一緒にいる。

 今日は四人とも冒険者ではなく、招待客として来ていた。なのでみんなドレスを着ている。


「うー、ヒラヒラして動きにくい」


 ロッソは赤を基調としたドレス。ロングスカートなので動きにくそうだが、普段とは違う装いにどこか色気を感じる。


「……背中、涼しい」


 アオは背中むき出しの青いドレス。なんというか……背中、すっげえ綺麗だな。


「ふふ。二人ともお似合いですわ」


 ブランシュは白系。二人と違って露出こそ少ないが、華やかなドレスはブランシュに似合っており、どこか色気を感じさせる……なんかエロい。


「はいはい。アオ、ロッソ、あんまり動くとドレスが着崩れするわ。おとなしくしなさい」


 ヴェルデは緑。ブランシュと似たようなデザインだが、こっちは背中がむき出しで胸元もやや協調されている。ブランシュとロッソのドレスを合わせた感じかな。

 ちなみに俺は無難なスーツ。髪も整え髭も剃ったのでイケメン化しているぜ。

 すると、アオが言う。


「……おじさん。今日のパーティー、どんなの?」

「結婚式な。ふふ、うまい飯もいっぱい出るぞ。楽しみにしておけ」

「……わくわく」


 ちなみに、ロッソたちが参加する理由は護衛ではなく、若い女性たちの視点、意見を聞きたいとのことで特別参加という枠だ。

 今日の結婚式の招待客は、貴族が六割、アレキサンドライト商会と関わりのある商会の重役たちが二割、平民たちが二割だ。平民がどういう人たちなのかはわからんけど……たぶん、俺と似たような街で働く人たちだろう。

 すると、職場の前に連結馬車が到着。アレキサンドライト商会が手配した御者が下りてきた。


「ゲントク様。お迎えに上がりました」

「どうも。うし……じゃあ行くか!!」


 俺たちは連結馬車に乗り込み、結婚式会場へ向かうのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 結婚式会場に到着。

 馬車から下りたロッソたちは、その建物を見て驚いた。


「わ……なにこれ」

「……でっかい」

「まあ……美しいですわ」

「すごいわね……」


 ふふふ、驚いてやがる。

 俺はコホンと咳払いし、四人の前に立って言う。


「結婚式といえば『教会』だろ。まあ、そうじゃないところもあるけど……というわけで、これは俺がデザインした、その名も『アレキサンドライト教会』だ」


 教会。

 そう、うろ覚えの俺のデザインを基にした教会を、アレキサンドライト商会は建てた。

 デカく、立派で、チャペルがあり、広場に噴水がある。尖った三角屋根とか、ステンドグラスとか……まあ『たぶん、素人が思う教会ってこんな感じ』というのを、結婚する気ゼロ、超うろ覚え、漫画やアニメで見た教会を思い出し絵に描いたのだ!! それを、この世界の建築家が精査し、ちゃんとした形にしてくれたのである。

 ブランシュは両手を合わせ祈る。


「なんだか神々しいですわ……あの鐘は?」

「チャペル。えーと……結婚の祝福とか、そんな意味で鳴らす……のかな」


 チャペルの由来とかわかんねーし!! でもまあ、結婚式のあとでリンゴンリンゴン鳴らすもんだし、たぶん必要になる。『おめでとーう!!』みたいな意味で鳴らせばいいとは思ってる。

 アオが周りを見て気づく。


「……馬車、いっぱい」

「ああ。貴族たちも招待されてるからな。駐車場は広くとってある」


 俺は重役っぽい扱いなので馬車は教会に横付けしてもらったが、それ以外は少し離れた駐車場に馬車を止めている。

 ブランシュは、教会の隣にある大きな建物に気づいた。


「あれ? ねえゲントク、あの大きな建物は?」

「あっちは会食会場だったり、いろいろ準備したりする建物だ」

「……ねえ、今更だけど、結婚式って儀式よね? 食事とかするの?」

「そこなんだよ」


 俺はびしっと指をヴェルデに向ける。

 この世界の結婚式は『儀式』で終わる。結婚式って、もっと楽しいモンだと俺は思っていた……そもそも、飯とか食わないのなんで? って思ってる。

 

「まあ、あとでのお楽しみだ。さあ、行こうぜ」


 俺は招待状を五枚ポケットから出し、それぞれに渡す。

 すると、別の馬車が俺たちの前に到着。ドアが開き、ドレス姿のパルテノスが降りてきた。


「はぁ~い、こんにちは~」

「おお、パルテノス……」


 うぉぉ……すっげえドレス。

 大きく開いた胸元、背中むき出し、なんつうスタイルだよおい。

 ドレスというか、薄緑のヴェールを身体に直接巻いたようなドレスだ。パルテノスの妖艶さも相まってとんでもないことになってる。


「ふふ。ゲントクちゃんと、アレキサンドライト商会の結婚式……楽しみにしてるわね」

「お、おう」

「じゃあ、またね~」


 パルテノスは行ってしまった。

 パルテノス、内容のチェックはしたけど、まったく口出ししなかった。あとは『一人のお客として楽しませてもらうわね~』と、ほぼ顔出しもせず、任せっきりだった。

 金だけは全額出しようで、アレキサンドライト商会の出費はゼロらしい。うーん、この教会を作るのに何億セドルかかったのだろうか。

 すると、アオが腕を引く。


「……おじさん、デレデレしてないで行こう」

「え、いや、デレデレは」

「はいはーい。じゃあ行こうおっさん!!」

「ふふ、楽しみですわね」

「さて、何があるのかしらね」


 こほん……とにかく。今はこれから始まる結婚式が優先だな!!

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― 新着の感想 ―
やっぱ書籍化とかすると悉く更新速度が落ちるけどしょうがないもんなのかね、さようなら
なぜかお客が全く入っていなくても潰れない喫茶店ですね。わかります。
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