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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十八章 乙女座の頼み事

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独身おじさん、ウェディングプランナーになる②

 さて、話し合いも終わり、だいたいの方向性もまとまった。

 日もすっかり暮れ、俺の腹がギューギュー鳴る。

 サンドローネは煙草の灰を灰皿に捨て、煙管をリヒターがパカッと開けた箱に置いて立ち上がった。


「じゃ、今日はここまで。細かい話は明日ね」

「ああ、腹減ったしメシ行くか」

「私は用事があるからここで。リヒター、あなたも今日はいいわ」

「しかし……本部に戻るのでしたら、お送りしますよ」

「必要ないわ。たまには、一人で帰りたい気分なの……イェラン、あなたも付いてこなくていいからね」

「はーい。じゃあお姉様、お気を付けて~」


 サンドローネは軽く手を振り、夕方の町に消えた……ていうか。


「いいのか? あいつ、アレキサンドライト商会の商会長だし……誘拐でもされたら大変だぞ」

「ゲントクさんよ、商会長はああ見えて強いから平気だぜ」


 と、シーモアが言い、フーシェラさんに「な?」と同意を求める。

 フーシェラさんも頷いた。


「その通りです。あの方は特に護衛など必要ないでしょう。それに……」

「あ~……やっぱそういうことかな」

「え、え、なにゲントク。なんか気付いたの?」


 イェラン以外は何となく察しているようだ。

 

「いや……たぶんあいつ、俺らに気を遣ったんだろ。俺、みんなに『メシ行こうぜ』って言おうとしてたし、ここにいるみんな、あいつに対して気を遣うだろ? そういうのが嫌だから、あいつは俺がメシに誘う前にさっさと帰っちまったんだよ。まあ、オダ屋で丼メシでも豪快に食うんじゃないか?」


 同期で「メシ食うか!」ってテンション上がってるのに、上司が「オレも行くぜ」なんて言ったら断るわけにもいかんし、気を遣う。そういうのってめちゃくちゃ嫌だしな。

 まあ、ヒトによりけりだろうけど……俺は絶対嫌だ。ていうか会社勤めしたことないけど。


「まあいい。じゃあ、みんなでメシと酒だ!! フーシェラさん、マンボウさんもいいですか?」

「はい、もちろん。仕事は終わりましたので、飲みましょう」

「わ、わたしもぜひ。ゲントク様とはお話してみたかったので」


 フーシェラさんは眼鏡をきらっと輝かせ、マンボウさんは汗をタオルで拭く。

 シーモアさん……もうシーモアでいいか。シーモアはリヒターと肩を組んだ。


「うっし、おいリヒター、お前らがいつも行ってる店に案内しろよ。イェラン、お前も知ってるんだろ?」

「もち。フーシェラも、仕事終わったなら普通にしていいよ。ゲントクもいいよね?」

「おう。むしろ、そういうところ見たいな。あ、シーモアって呼び捨てしていいか?」

「いいっすよ。あ、敬語は使うけど、カッチリした感じじゃなくていいっすか?」

「いいね、親しみやすいぜ。マンボウさんも、気軽に行きましょうぜ」

「は、はい。すみません、こういう性格なので、うまくはいかないかと……」


 というわけで、俺、リヒター、イェラン、シーモア、フーシェラさん、マンボウさんと、アレキサンドライト商会の幹部連中と一緒に酒を飲むことにするのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 向かったのは、いつもの個室居酒屋だ。

 今日は人数も多いので、いつも借りてる部屋より少し広めにし、料理もいつもの場合以上を注文。酒もサイドテーブルにボトルで用意した。

 俺はジョッキを手に言う。


「じゃあ、アレキサンドライト商会の幹部諸君!! 今日は俺の奢りなので遠慮なく飲め飲め!! かんぱーい!!」

「「かんぱーい!!」」

「え……リヒター、いいの?」

「ええ。ゲントクさんはこういうヒトなので……」

「い、いただきます。はい」


 イェラン、シーモアは大喜びで乾杯したが、フーシェラさんたちはちょっと戸惑っていた……まあ、俺って人に奢るのけっこう好きだし、やらせて欲しい。

 エールを飲み、串焼きや炒め物を食べながら馬鹿笑いしたり、酒のおかげでみんなの緊張もほぐれてきた。

 シーモアは、リヒターと肩を組んで言う。


「おいリヒター、お前、いい人見つかったとか聞いたぜ? 結婚しねーのか?」

「な、何をいきなり……というか、誰がそんな」

「あ、ごめん。アタシでーす」

「い、イェランさん……スノウさんとはそういう関係じゃ」


 リヒターが言うと、フーシェラさんがニヤッとする。


「スノウさん、ね。ふふ……真面目、堅物のリヒターにも春が来たのねぇ」

「フーシェラ……いや、自分のことはいい。それより、お前たちはどうなんだ」

「お前たち?」


 リヒターがシーモア、フーシェラを見るので俺が首を傾げると、イェランが言う。


「この二人、恋人同士なのよ。ま、お互いに仕事忙しくて、恋人っぽくないけどね」

「マジで!?」


 超驚いた……するとシーモア、フーシェラの肩を抱く。


「ま、オレらは愛で繋がってるからな。一緒に住んでるし」

「お~……マンボウさん、知ってました?」

「え、ええ。フーシェラさんは、私の妻とも仲がいいので」


 マンボウさん、汗を拭いながら言う。

 そう言えば思ったけど……マンボウさんって。


「あの、マンボウさんって何歳ですか?」

「えと、三十二歳です。はい」


 な、なんと……俺より年下だった。ていうか、普通に年上かと思ってた……俺、マンボウさんに失礼なことしか言ってないし思ってない。マジ反省。

 俺はサイドテーブルに向かい、ウイスキーを作ってマンボウさんに差しだした。


「え、えと……?」

「どうぞ、お納めください」

「は、はい。恐縮です」


 今度、二人で飲みに行きましょう……奢らせていただきます。

 さて、フーシェラさんとシーモアを見て思った。


「なあ、二人って結婚してるのか?」

「いや、まだだ。互いに忙しいし、都合が合わないからな」

「結婚の儀はまだ済ませていません。まあ、してもしなくてもいいんですけど」

「ちょいフーシェラぁ、そういうこと言わないの。アンタら、結婚式の事業やるのにさぁ」

「う……まあ確かにそうね」


 フーシェラさんはエールを飲み干しおかわりを注文。この人、俺たちの誰よりも飲んでるのに全く顔に出ないし酔ってるようにも見えないな。


「待てよ? なあリヒター、結婚式のアイデアがまとまったらさ、どうするんだ?」

「そうですね。やはり、試験運用は必要だと思います。費用面などから、結婚式については貴族に対する商品になると思いますので」

「貴族かあ。まあ、お金かかるアイデアだしねぇ」

「……庶民でもできるアイデアもあるぞ? まあ、金はかかるけど、それでも抑えることはできる」


 そして、思いついた。


「あ、そうだ。いいこと考えた」

「「「「「???」」」」」


 俺は、シーモアとフーシェラさんを見て言う。


「結婚式の試験運用、シーモアとフーシェラさんにお願いしようぜ」

「「えっ」」

「あ、それいいじゃん!! ゲントク、ナイスアイディア!!」

「……確かに。試験運用をやるにしても、結婚は神聖な儀式。これから結婚を迎えるカップルに『新しい結婚式を考えたのでぜひやってくれ』と頼むのも……ですが、アレキサンドライト商会の社員、しかも幹部なら……イヤとは言わなよな、シーモア」


 リヒター、ちょい悪い顔してる。こういうリヒターを見るのも新鮮な感じだ。

 マンボウさん、氷水をガブガブ飲みながら言う。


「素晴らしいアイディアですな。ゲントク様、わたしにできることがあれば何でもしますので」

「あざす!! でもまあ、本人の気持ち次第かな。シーモア、フーシェラさん、どうすか?」


 リヒターが「やるよな?」という圧を掛け、イェランがワクワクし、マンボウさんは氷水をガブガブ飲む。シーモアとフーシェラさんは互いに顔を見合わせる。

 シーモアは、ニヤリと笑った。


「オレはいいぜ。アレキサンドライト商会のウェディングプラン、第一号になれるのは光栄だ。フーシェラ、お前は?」

「……商会のために、一肌脱ぎましょう」

「んふふ、フーシェラぁ、顔嬉しそうだけど?」

「い、イェラン。こっちを見ないでください。まったくもう」


 というわけで、アレキサンドライト商会のウェディングプラン……第一号は、シーモアとフーシェラさんだ!!

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