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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十八章 乙女座の頼み事

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『乙女座の魔女』パルテノス・ヴァルゴ

 さて、目の前にいる二メートル近い女性……いやはや、とにかくデカい。

 身長もだけど、俺の視界いっぱいには胸があった。巨乳……いや爆乳。スノウさんよりデカい。

 

「あの~」

「はっ……あ、ああすんません。えーと、パルテノス、ヴァルゴ……だっけ」

「ええ。ふふ、や~っとゲントクちゃんに会えたわ~」


 なんかほわほわした人だな。

 糸目というか、ずっとニコニコしてる。ロングウェーブの長い髪がふわふわ揺れ、不思議な甘い香り……なんか嗅いだことあるな……ああそっかこれ、ベビーパウダーみたいな香りなんだ。

 パルテノスは、ニコニコしながら言う。


「あのねぇ、ゲントクちゃんにお願いが……」

「「「おじちゃーん!!」」」


 と、久しぶりに聴く声が割り込んできた。

 そっちを見ると、三輪車をキコキコ漕ぐケモミミチルドレン……ケモチルの三人だ。

 クロハちゃん、リーサちゃん、シアちゃんが俺の前で停車。三輪車から降りて足にしがみつく。


「がうー、ひさしぶりだぞ」

「きゅうー、おじちゃん」

「わうう、あそびにきた」

「ははは。みんな久しぶりだな、元気にしてたか?」


 俺はしゃがみ込み、三人の頭を順番に撫でる。

 三人は尻尾をブンブン振り、耳をピコピコ動かした。そして、お供の動物たちも傍にいる。

 クロハちゃんの黒いオオカミ、リーサちゃんの黄金色のキツネ、シアちゃんの……あれ?


『ワウウウ』

「わうー、ジロ、おじちゃんにごあいさつ」


 灰色の柴犬、しかも子犬だった。

 初めて見たけど、シアちゃんにもお供のペットができたのか?

 シアちゃんは、灰色の子犬を抱っこして俺に見せてきた。


「わうう、わたしのおともだちなの」

「へえ、可愛いね。この子、どうしたんだい?」

「あのね、ウングおにいさんがくれたの。雪のくにで、拾ったんだって。ヒコロクと同じいぬなんだって。お世話できないから、わたしが世話してって」

「なんと」


 ウングがくれたオータムパディードックか……雪国ってことはスノウデーン王国? そこで見つけたオータムパディードックを拾って、シアちゃんにくれたのか。

 なんか意外な展開だ。ウングがねえ……とりあえず撫でる。


『くぅぅん』

「わうー、ジロ、よろこんでる」

「はは、ジロか。いい名前だな」

「がうう、くろ助もいるぞ」

「わたしのサリーも」


 おお、オオカミのくろ助、キツネのサリーが撫でろと言わんばかりに近づいてきた。うん、もふもふは可愛いぜ。

 と、忘れてた。


「おっとスマン、パルテノス。この子たちは知り合いの子供でな、いつも公園で遊んでて……」

「あぁぁぁぁん!! かわいいわねぇ~」


 次の瞬間、パルテノスは俺を押しのけてしゃがみ、子供たちを撫で始めた。


「こんにちはぁ~、ふふ、みんな可愛いわねぇ。お姉さんと遊ぼっか」

「がう? あそんでくれるの?」

「きゅううん、あそびたい」

「わふぅ、あそぼう」

「ふふふ。じゃあ遊ぼっか。さ、公園に行きましょうね~」

「にゃああー!!」


 と、ここで聞き覚えのある声。

 スノウさん、そしてこちらに走って来るユキちゃん、白玉、そしてウォンバット……じゃなくて、テプロドトンのエリザベスが来た。

 ユキちゃんは急停止し、久しぶりに再会する友達に挨拶をする。


「にゃああ。みんな、久しぶりー!!」

「がうー、ユキだ!!」

「きゅう、げんきにしてた?」

「わうう、一緒にあそぶぞ!! わう……? ユキ、それなに?」


 と、シアちゃんはエリザベスを指差す。

 エリザベスを抱っこし、ユキちゃんは自慢するように見せつけた。


「ふわふわなの。新しいともだちなの!! ブランシュおねえちゃんが、みんなと遊ばせてって、つれてきたの!!」

『もあぁぁぁ』

「がうー、なんだこいつ」

「きゅう、ふわふわー」

「くぅん、抱っこさせて」


 エリザベスは子供たちに抱っこされ、撫でられ、すぐに人気になった。

 そこにパルテノスも混ざり、子供たちと一緒に笑っている。

 というか……用事あったんじゃないのかな。


「ゲントクさん、こんにちは」

「どうも、スノウさん」


 スノウさんは、手荷物を持っていた。

 聞くと、子供たちにお土産やおやつを持って来たようだ。ユキちゃんじゃ重くて持てないし、今日は仕事も休みなので一緒に来たらしい。

 スノウさんは微笑み、パルテノスに気付く。


「あら……あちらのお方は?」

「いやぁ、なんと言えばいいのか……子供好きみたいなんですけど」

「そう、なんですか?」


 困惑するスノウさん。申し訳ない……俺もよくわからん。

 パルテノスは東屋に行くと、子供たちと座る。

 そして、ポケットから糸束を取り出し、適当な長さに切って輪を作る。


「見ててね~……こうして、こう、こうすると……はい、箒」

「「「「おおー!!」」」」


 なんと、パルテノスはあやとりを始めた。

 箒、星、東京タワーに、俺も知らない形を糸で作る。

 この世界にあやとり……いや、たぶんアツコさんから教えてもらったのかな。

 他にも、折り紙、おはじきやお絵描き、お手玉などを始めた。身体を動かすような遊びじゃない、どこか女の子っぽい遊びだ。

 ユキちゃんたちも、知らない遊びなのか楽しんでいる。

 俺はスノウさんに言う。


「任せて大丈夫そうだ。スノウさん、お菓子とか子供たちにあげるなら、事務所の空き部屋使っていいですよ。たぶん、昼飯もそこで食うと思うんで」

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」


 さて……俺もパルテノスのところに行ってみるか。


 ◇◇◇◇◇◇


 結局、お昼まで子供たちはパルテノスと遊んでいた。

 そして、事務所のキッチンでスノウさんが昼飯を作り、そのあとはお菓子を食べたりして、今はお昼寝をしている。

 俺、そしてスノウさん、パルテノスは事務所のソファに座り、お茶を飲んでいた。


「ふう、子供たちは可愛いわぁ。この世界の宝ねぇ」

「それには同意するけどよ、お前……俺に用事あるんじゃないのか?」

「あ、そうだったわぁ。ごめんなさいねぇ、わたし、子供が大好きなの。だから、小さい子供を見ると、ついお世話したり、一緒に遊びたくなったりしちゃうのよねぇ」


 うーん、パルテノスだから許されるセリフだな。

 もし俺が「俺、子供大好きでな……小さい子を見るとお世話したくなったり、遊びたくなっちゃうんだよねぇ」なんて言ったらドン引き、サンドローネに聞かれたら衛兵呼ばれてそのまま牢屋行きだ。

 スノウさんが言う。


「パルテノスさん、子供たちも楽しんでいました。ありがとうございます」

「いいのいいの。ふふ、あなたもお母さんなのねぇ」

「はい……あら? あなたも、ということは」

「ふふ、そうなの。わたしもお母さんなの」

「え、マジ?」


 ちょっと驚いた。これまでにも十二星座の魔女には会ったけど、既婚者はいなかった。

 驚いていると、パルテノスは続ける。


「お母さんといっても、わたしはエルフだからね……旦那様は必ず先立っちゃうし、子供もすっかり大きくなって自立して……旦那様のところへ行った子も多いわ」

「「…………」」


 こ、コメントしづらい。

 スノウさんも、恋愛結婚というか獣人としての結婚だから、なんといえばいいのかわからないようだ。

 ちなみに獣人は重婚可能で、嫁が多ければ多いほど、オスとして優れているという認識らしい。


「あ、そんなに悲しまないで? ちゃんとお別れはできてるし、旦那様、子供たちと過ごした日々は決して忘れないわぁ」

「お、おう……ちなみに、その……何人くらい、旦那様が?」

「ふふ、内緒」


 パルテノスはクスっと微笑んだ。

 うーん、未亡人……スノウさんもだけど、タイプが違うなあ。

 と、まあ別にそれはいい。


「こほん。ところで、俺に用事って何だ? アツコさんの遺品修理か?」

「それもあるけどねぇ。アイデアが欲しいのよ。ゲントクちゃんは、アツコちゃんと同じ世界の子だから、きっと素敵なことを教えてくれると思ってね」

「まあ、地球の知識にはお世話になってるけどな。で、パルテノスはどんな偉業を?」

「ふふ、わたしのお仕事はね~」


 俺、スノウさんはその『仕事』を聞いた。

 そして……今回ばかりは、俺にもどうすればいいのか、わからないのだった。

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― 新着の感想 ―
千年生きた魔法使いと真逆ですね。 この世界のハーフエルフがどんな立場なのかも気になります。
 あやとりとは懐かしいな、発祥は知らんけど紐一つで遊べることに驚かれて外国でも流行ったりしたな。
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