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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十七章 二度目の温泉郷

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スノウデーン王国、二度目の冬⑨/模型作り

 さて、あのクソ長い階段を苦労して降りるには?

 まあ誰もがわかる……エレベーターと、エスカレーターである。

 俺は、素材置き場から鉄板をいくつか用意し、箱、滑車を作り、ひもを用意した。

 それらを見て、トーラスとテッサは首を傾げた。


「あの師匠、これは?」

「階段いらずの秘策そのいち……エレベーターだ」

「エレベーター? アツコが言っていたような……」


 まず、大きな箱の天井部分に滑車を付けて紐を通し箱に固定。箱の反対側に重りを付け、箱と釣り合うようにする。


「構造はこんな感じだ。仕組みは滑車とロープ、それから釣り合い重り。この三つが心臓部だ。ロープの片方に『かご』を、もう片方に『重り』をつける。滑車に『回転』の魔石を付けて、巻き取るようにすれば……」


 箱は上に動き、重りをゆっくり落とすと下へ行く。

 まあ、科学の実験でもやる内容と同じだ。


「これは模型だけど、もっと大型にして、人が乗れるくらいの大きさにする……こっちのかごに人が乗って、地下へ一気に……」


 俺は模型のはこを下へ。


「こんな感じで、下への移動が速やかになるようにする魔道具だ。構造はこれでいいとして、重さとか大きさの設計は、ここの専門家に任せるか。テッサ、構造は理解できたか?」

「はい!! 師匠、すごいです……こんなものを思いつくなんて」

「まあ、俺が考えたものじゃない。先人の知恵ってやつだ。じゃあテッサ、この模型をもっと精錬させて、完成させてくれ」

「お任せください!!」

「私も手伝うわ。面白そう」


 テッサ、トーラスは模型作りを開始。

 俺はその間、もう一つの移動法……エスカレーターについて考えた。

 

「エスカレーター。修理業者のヘルプで同行して修理したことあるけど……」


 動く階段。

 あれ、ローラーの付いた踏み段が回転してるんだよな。

 いつもお世話になってる『回転』の魔石を使って、踏み段を……確か、段差の付いたやつか。これをいくつも作って、斜面に沿ってあるガイドレールの中を通って回り、階段となる。

 言葉じゃわかりにくい。でも、エスカレーターがあればあの長い階段も苦労することなく登れる。


「けっこうめんどくさいな……あのデカくて長い階段を半分カットして、登りと下りが三か所ずつあれば移動も楽になるかな……けっこう人がいたし、一か所ずつじゃ厳しいか」


 図面を書きながら考えていると、テッサが言う。


「師匠、模型のチェックお願いします!!」

「ん、ああ。って……すごいな」


 模型は完璧な『エレベーター』だった。

 しかも、箱には花柄の彫刻までされてるし、なぜか台には鉄で作ったウォンバット……じゃなくて、テプロドトンが何匹も集まって遊んでいる光景があった。

 器用すぎる。模型作りをお願いして二時間くらいなのに。


「ま、まあいいんじゃないか? というか、このテプロドトンは……」

「えへへ。かわいかったので作りました」


 確かに可愛かったけどな。まあいいか。

 するとテッサ、俺の手元の図面をのぞき込む。


「師匠、これは……」

「エスカレーター。動く階段の図面だけど、ちょっと悩んでてな」

「なるほど……ふむ、じゃあここをこうすればどうですか?」

「お? おお、確かに……じゃあ、これだとどうだ?」

「いいですね!! さすが師匠です!!」


 悩んでいた個所を、テッサの提案通りに修正してみたら、かなりいい感じになった。


「じゃあ、必要な部品を作ってみますね」

「ああ、頼む」

「テッサ。難しいところは指示をちょうだい、私も手伝うわ」


 三人で模型作りを開始した。

 エスカレーター、ガイドレールと踏み段の組み合わせにかなり苦労したが、完成した模型のガイドレールを回転させると、ちゃんとエスカレーターとなって動いた。


「わああ!! 階段が動いてます。すごいです!!」

「驚きね……これが、動く階段?」

「いやー苦労した。模型はこんなもんでいいか。あとはこれをエアリーズに渡して、施設の改良をすれば移動問題は解決だ」


 改善案その一、『エレベーターとエスカレーター』はクリアだ。

 さて、次の問題は。


「温泉の移動ですよね……確かに、広すぎて移動が大変です。何キロも裸で歩くのって疲れるし恥ずかしいですし」

「まあ、それは簡単だ。トロッコでも作ればいい」

「トロッコ?」

「ああ。温泉内に線路を引いて、それに乗って移動するんだ。いちおう模型作るか」


 これは簡単にできた。

 線路を敷き、箱に滑車をつけて線路の上に乗せるだけ。あとは『回転』の力で滑車を回転させれば目的地まで行ける。

 温泉気分を出したいのなら、箱を温泉で満たすとか、箱に『温熱』や『浄化』の魔石を仕込んできれいなお湯を張って、トロッコ温泉にするとかすればいい。


「トロッコ温泉!! なんだかおもしろそうですね~!!」

「今思いついたけど、俺も面白そうだって思った。いけるなこのアイデア……」

「移動を兼ねた新しい温泉ね……いいじゃない」


 テッサやエアリーズにも好評だ。

 とりあえず改善案その二、『トロッコ温泉』の完成だ。


「ヘドロスライム問題……確か、源泉の一つが汚染されてるんだったか」

「そうね。お姉ちゃん、『最悪の場合、露天風呂の源泉を封鎖するしかない。湯量は減るが別の源泉から湯を引っ張る』ってさ」

「それもありっちゃありだが……そうだな、ヘドロスライムの実物が欲しい」


 いくつか考えがあったので、試してみることにした。


 ◇◇◇◇◇◇


 さて、トーラスが持ってきた『ヘドロスライム』が、木桶の中にいる。

 薄紫のドロドロだ。スライムっていうが、これは生きてるのだろうか?

 ってか……く、くっさ。


「師匠、臭いです……」

「……わかってるよ」


 ヘドロに硫黄を混ぜて放置したような臭いする……最悪。

 こんなのが源泉に住み着いて、お湯がこの匂いになるのは最悪すぎる。しかも源泉そのものが餌なので死ぬこともないし、ずっと増え続ける。

 

「師匠、どうするんですか?」

「とりあえず……こいつを使ってみるか」


 俺は、『メッシュスパイダー』という蜘蛛の糸で作ったフィルターに魔石をくっつけ、そこにヘドロスライムを流してみた。

 すると……おお、予想通り。


「あれれ? 師匠、これ……ドロドロが、さらさらになってます!!」

「思った通り。ヘドロスライムは『浄化』の魔石で浄化できる」

「……このスライム、すごいわね」


 トーラスは、ヘドロスライムだったものに触れる。


「汚れや臭みが完全に浄化されてるわ。しかも、スライムそのものは残ってるし、生きている……もしかしたらこれ、利用できるかも」

「利用?」

「ええ。さっき言ったわよね? フォボス森国……そこにはダークエルフが住んでいるけど、彼女たちは化粧品にスライムを使うの」

「す、スライムを化粧に……ですか?」

「ええ。純粋なスライムに薬草や香料などを食べさせて、『ビューティフルスライム』に育てるの。その子たちを樽に詰めて、その中に入ると、スライムたちが身体の汚れを吸収して、薬効成分で肌がきれいになるのよ」

「わあ、すごそうです。やってみたいですね」

「……それもアイデアとして使えるかもしれん」

 

 スライム風呂。

 薬草などを食わせたスライムを湯船に浮かべる……物珍しさからウケるかも。

 

「よし、浄化フィルターを作って、温泉パイプに設置するか。これで問題の三つめもクリアかな」


 問題その三の改善案、ヘドロスライムの浄化もこれでクリアだ。

 浄化フィルターの試作をいくつか作り、全ての準備物が完成した。


「よーし。これで準備完成だ。エアリーズのところに行って、改善案の説明に行くぞ!! そのあとは酒でも飲みに行くか!!」

「はーい!! いやあ、いい仕事しましたねー」

「なかなか楽しかったわ。あと、お姉ちゃんの説得、忘れないでよね」


 こうして、三つの問題点についての改善案が完成した。

 あとはここの職人さんたちにお任せして、俺はレレドレにある自分の別荘に行きたいぜ!!

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