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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~  作者: さとう
第十五章 海の国ザナドゥ~二度目のバカンス~
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二度目のザナドゥはマリンスポーツと共に

 さて……早朝になった。


「…………」


 現在、俺は椅子に座り朝日を浴びている。

 隣にはハボリム。そして、どんよりした目をするサンドローネ。

 そう、俺は貫徹した。昨日からずっと飲み続け、今に至る。

 周りを見ると、みんなけっこう起きていた。


「おっさん……う~飲み過ぎたぁ」

「……おうロッソ。悪い、今日はボート出せんかも」

「だよね。おっさん、なんかすんごいどんよりしてるよ。おーいブランシュー!!」


 と、ロッソがブランシュを呼ぶ。

 ブランシュはしっかり寝たのか、すでに着替えをしてシャワーを浴びたようなさわやかさだ。


「おはようございます、おじさま。昨日はとても楽しかったですわね」

「……おお」


 周りの惨状は悲惨だけどな。

 大量に転がった瓶、なぜか横倒しになってるバーベキューコンロ、テーブルには食べかけの料理が並び、砂浜にはティガーさんやドギーさん、そしてリーンベルが並んで倒れている。

 砂浜のテントでは、ケモミミチルドレンが仲良くテント泊して、お供の動物たちも一緒にいる。

 別のテントでは奥様方が子供たちの見張りとして寝ているみたいだ。ここにいないメンバーは、たぶん別荘のベッドで寝てるんだろう。

 すると、ブランシュが俺に手を向け、淡い光で包んでくれた。


「おほぉぉぉ~……すっげえ癒されるぅぅぅぅ」

「ふふ。飲み過ぎたロッソにもこうして魔法治療しますのよ」

「ぁぁぁぁぁ……」


 すんげえとろける。

 治療を終えると、ブランシュは微動だにしないサンドローネ、そしてグースカ寝ているハボリムにも光を当てた。

 サンドローネが頭を押さえて起きる。


「うぅぅ……すごく気持ちのいい光が」

「それ、ブランシュな。ようサンドローネ、お疲れさん」

「……今後、あなたにお願いするときは慎重に検討を重ねるわ。正直、二度とごめんよ」


 まあ、メチャクチャ大変な給仕だったしな。

 というか……サンドローネ、忘れていないだろうな。


「くくく。まだ片付けが残ってるぜ。それに別荘の掃除もな!!」

「…………わかってるわよ」

「ははは。おいハボリム、起きろよ。おい」

「む……おうゲントク」


 ハボリムを起こすと、周りの人たちも起き始めた。

 さて、今日は……まあ、さすがにお休みかなあ。


 ◇◇◇◇◇◇


 と、思っていたが……みんな元気だった。


 まず、ティガーさん、ドギーさん一家は別荘へ帰った。

 そろそろ帰ることも考えないといけないし、別荘の掃除や従業員のお土産、家族でゆっくり過ごす時間などに充てるそうだ。


 ハボリムは、ラスラヌフと帰るかと思いきや、『パラセーリングやらせろ』だの『ダイビングも潜水艦も乗せろ』と言うので乗せてやった。ブランシュの魔法のおかげで疲労感はないし、約束もしたから遊ばせてやらないとな。

 二人はザナドゥを上空から見たり、海底でアオの魔法アシストを受けなかがらのダイビングを満喫。ザナドゥを上空から見たのは初めてで興奮したり、ザナドゥの海の美しさを改めて知ったそうだ。


 ロッソたち、バレンたちもハボリムに付き合って遊んだあと、拠点へ戻った。

 そろそろ帰ることを伝えたら『じゃあ帰り支度する』と帰ったのだ。まあ、みんな連結馬車で来た以上、帰る足並みはそろえないといけないしな。


 そして、サンドローネ。

 みんな帰ったあと、ちゃんと掃除をやらせたぜ。

 ソワソワするリヒターを押さえつけ、イェランと俺が見守るなか、別荘の掃除をやらせた。

 トイレ掃除するサンドローネ……こんな貴重な絵はない。スマホのカメラ機能でしっかり撮影しておいたぜ。プリンターあれば印刷してサンドローネに渡していたぞ。

 

 と、いうわけで……ザナドゥでのイベントは全て終わったのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日の夜。

 今日は俺、サンドローネ、イェラン、リヒターの四人で繁華街の居酒屋へ。

 頑張ったサンドローネにご褒美をと、俺の奢りで雑酒を飲める店に来たのだ。

 料理はもちろん海鮮。雑酒を飲んで満足し、話をする。


「帰る日、どうする?」

「そうね……マリンスポーツ大会が終わった以上、もう用事もないわ。バカンスも満喫できたし、エーデルシュタイン王国に帰って仕事を再開しないとね」

「だな。俺もそろそろのんびり仕事をしたいぜ」

「アタシはちょっと残って仕事するよ。忙しくなるなー……ザナドゥの技術者に潜水艦について教えないといけないし」


 ちなみに潜水艦、『高速回転』や『超硬化』のオーバースペックの魔石は取り外しておいた。もしこれが普通に流通することになれば、来年のマリンスポーツ大会が地獄になるかもしれん……どんだけ攻撃しても壊れないボートとか、爆速のボートとか。

 まあ、パラセーリングやダイビング関係のは残しておいた。


「ゲントクさん。アレキサンドライト商会のザナドゥ観光事業部の新企画で、『パラセーリング体験』や『ダイビング体験』を行うことになりました。明日以降、大々的に宣伝を開始する予定です」

「おお、そりゃいいな」

「ええ。ゲントクさんが事前にパラセーリングをやったので、地元の人や観光客が『あれはなんだ』と何度も聞きに来られたようですよ」

「はっはっは。まあ、目立ってたしな。でも、ダイビングはコツがいるから気を付けろよ」

「そっちはアタシが指導するよ。なんだっけ……いん、いん」

「インストラクターな。ちゃんと指導するんだぞ」


 ザナドゥの観光事業に、パラセーリングとダイビングが追加された。

 こりゃ、来年も来るしかないな。わくわくするぜ。


「あ、そうだサンドローネ」

「なに?」

「まだお前にパラセーリング体験してもらってないな。なあリヒター」

「え、ええ……お嬢、やりますか?」

「……そうね。やってみてもいいわ」

「じゃあお姉様!! アタシが一緒に乗ります!!」

「では、私がボートの運転を」

「俺が補助だ。よし、じゃあ明日はみんなでパラセーリング、ついでにダイビングでもするか!!」


 帰り支度はあるけど……今は、楽しくみんなで遊ぶとしますかね。


 ◇◇◇◇◇◇


 数日経過。

 さて、今日は帰る日だ。

 俺の別荘に前には連結馬車が止まり、みんながすでに乗り込んでいる。

 俺は、不動産ギルドのクリスティナさんに別荘の鍵を渡した。


「じゃあ、お願いします」

「はい。ではゲントク様、またのお越しをお待ちしております」


 クリスティナさんがペコっと頭を下げて帰って行く。

 そして、見送りにはラスラヌフ……それと、意外も意外。


「おま、ハボリム」

「よう。見送りに来たぜ、ほれ」


 と、ハボリムは高級そうな酒瓶を俺に渡す。


「もってけ。城の酒蔵から持って来た秘蔵の酒だ」

「おおお……なんか悪いな」

「気にすんな。お前には、ザナドゥの発展に貢献してもらった恩があるしな」

「大袈裟だな……まあ、来年はもっと楽しくなると思ってるよ」

「違いねえ」


 ハボリムと拳をコツンと合わせると、ラスラヌフが言う。


「ゲントク。そう言えば言ってなかったが……」

「待った!!」


 ラスラヌフを止める。

 非常に嫌な予感……だがラスラヌフは俺の手をどけて言う。


「近々、パルテノスがお前の元へ挨拶に行くと言っておったぞ」

「ああああ……で、誰だそれ」

「パルテノス・ヴァルゴ。『乙女座の魔女』じゃ。なんでも、お前に頼みがあるとか」

「……まあ、仕方ないな」


 十二星座の魔女か……あれ、そういえば。


「そういや、クレープスがアツコさんの墓参りに俺を誘うとか言ってたけど、いつになる?」

「まだ先じゃ。まあ、そう遠くない日じゃな」

「そうか……エルフの国だっけ。日帰りで行けるみたいだし、ちょっと楽しみでもある」

「うむ。とにかく、今はパルテノスのことを頼むぞ」

「……ちなみに、そのパルテノスって何をした人?」

「あやつは『聖母』じゃ。まあ、そのうちわかる」

「…………」


 聖母ねえ……まあ、今は気にしてもしょうがないか。


「さて、そろそろ行くよ。ラスラヌフ、ハボリム、元気でな」

「おう。こっち来たら行きつけの居酒屋来い。会えるかもな」

「ふふ、ワシもいるかもしれんぞ」

「ああ、その時は奢ってくれよ。じゃあな」


 連結馬車に乗り、エーデルシュタイン王国に向かって走り出す。

 二度目のザナドゥ、マリンスポーツ大会に、パラセーリングやダイビングと、遊んでばかりの夏だった……実に最高な夏休みだったぜ!!

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独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~(1)
レーベル:マンガボックス
著者:比内ハツ
原著:さとう
発売日:2025年 6月 30日
定価 726円(税込み)

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
月を斬る剣聖の神刃~剣は時代遅れと言われた剣聖、月を斬る夢を追い続ける~
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― 新着の感想 ―
決まらなかったのか 潰す店はw
潜水艦じゃなくて潜水艇じゃないのかな?武装してないし
何処の商会が解体されたのだろうか?
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