悲劇
私は婚約者として学校で毎日をすごしていた、
そんな時、友達のスピリに裏切られて罪を付けられてしまい檻に入れられた。
「……嘘ですよね」
「本当だ。」
その日の夜、ラナはカラリアが帰ってこない事を王子に問い詰めていた。
「あの人はそんな事をするはずがありません。」
「しかし、実害が出ているんだ。陰湿な方法で」
ラナは唇を噛み締めた。
「もういいです。どうせ、婚約が嫌になったんじゃないんですか?これからどうするつもりですか?そこら辺の婚約者を適当に選ぶつもりですか?」
「スピリという方と婚約する予定です。」
ラナは言葉を失った。
「私はここを出ていきます。呆れました。カラリア様の事を何も見ていない」
「それはっ、少し待ってください。」
準備をしていたかのように荷造りを運び王子の手を払って城を出て行った。
「お兄さん」
「ラナ。こんな形でおかえりを言いたくないんだけどね。」
次の日の学校
「おい、よくも平常心でノコノコ来れたもんだな」
「なんですかベル。彼女は私の婚約者でした。これは私達の問題です」
「あんな片一方しか聞かないで何が婚約者だ。で、あの女と婚約するって?見る目がないな。」
ベルはライバを睨みつけると、荒いため息を吐いた。
「皆に好かれているからこそ、公平に見るべきなんだ。」
「せいぜい後で後悔しろ。俺が無実を証明してやる」
ベルが言葉を吐いて置いていき歩いていく。そんな彼の前に男がいた。
「おい」
「……お前は。確かウェルと言ったな。なんだその態度は。俺は貴族だぞ?」
「そんな事今はどうでもいい。力を貸せ。」
「は?」
そんな事なんて知らず、ただ私は暗い檻の中にいた。無理やり罪をつけられるなんて。
「まだ作品があるのに。もう作れないのかな。」
目の前に出されたご飯はゴミのような見た目だし食べる気もない。魔力も使えないし、いつも傍にいてくれたワンコロさえ居てくれない。
どんどん私の心に、悲しみよりも許せないという気持ちがあった。信じていたのにスピリに王子すら……
少し時が立つと、目の前には門番の担当が来ている。罪の確認らしい。
「……で、お前は彼女に心身の苦痛を与えたな?」
「そんな事していません!!」
「……」
「痛い!」
その瞬間に、手足についた器具から電流が流れた。
「正直に言った方がいいぞ」
「やってないって言ってるじゃないですか」
ここで言ったらダメだ。絶対に首を縦に振るもんか。私はそんな人間じゃない。
痛みに耐える時に不意に思い出したのはバスプラの事だった。
「皆に会いたいよ」
痛みが落ち着いた時に不意に言葉が出ていた。もう嫌だ。セルディアなんて来るんじゃなかった。ずっとバスプラで生きていけば良かった。もう嫌だ。
舌打ちをして帰っていくと、また足音が聞こえてきた。
「……スピリ」
「そんな顔しないでよ。怖い怖い」
まるで別人のように笑う女はもはや違う生物に見える。
「どういうつもり?」
「貴方はこの世界に要らないの。だから、ここで死んでもらうわ。あぁ、もう国中に貴方の噂が広がってるから。」
「っ……」
「これで私は王子と結婚できる。やっと正しいシナリオが出来るわ。」
「何言ってるの?」
スピリは目を光らせ口を横におおきく開いた。
「貴方は悪役になったの。分かりなさいよ」
悪役?
「……そっか。この世界に悪役令嬢ものなんてないか。でもさ、私が結婚するには悪役が必要なの。悪役は王子の婚約者って決まってるでしょ?」
「何言っているのよ!!」
「貴方の存在は驚いたけど。ばいばい、私の悪徳令嬢さん」
「――っ!」
私は無意識に檻を鳴らした。何故かは分からないけど、彼女をこのままにするのは駄目だ。
そんな気がする。
必死に引き留めようとしても彼女は楽しそうにスキップをして消えていった。私はこんな狭い檻にいるのに。
「……っ」
何よ悪役って、それは貴方じゃない! こんな事して裏切ってあざ笑うなんて。
ただ冷たい場所で私は悔しがるしか出来なかった。あと何日したら楽になれるかな。誰か、無実って言ってよ。
「……おい! カラリア!!」
誰かの声が聞こえる。
「……っ」
懐かしい声を聞いたのは、数週間後だった。




