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悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


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急な転落

 ――制作発表から3ヶ月前

 私達はとんでもない焦りをみながら研究に研究を重ねていた。


「やっぱり創造にはそこまでの力はないわ」

「俺の力を限界まで使っても駄目か」

 まだ有力な情報はない。



 新しい発見といえばウェルの能力の仕組みについてだった。どうやら魔素を奪い崩壊させる力があるらしい。


「触ったものは崩壊だけでなく分離させられる」

 その通りに光るワンコロを光りと水に分離させていた。ちなみに石もやってみたが出来なかった。壊れるよりはいいかもだけど。



「うーん」

「とりあえあずこれらの作品はだせる」

 水で体積を埋めたクワは軽さがあり重心が変わるため使いやすい。あとは、水で作り上げた馬車(持って数分だけど)獣を追い出す機会(声を聞くと、水が揺らめいてピカッと光る。)



 あと、雨が降った瞬間に特定のものを守る傘とか。

 なにか物にいれれば水も長い間保てるけど、私から離れるとなるとあまり使い道がない。



 ウェルとずっとこもって考えているが思いつかなかった。

「カラリア」

「どうしましたか?」

 何故か手が震えているように見える。



「こんな時だが、ずっとお前だけには話したかった事がある。」

 そう言いながら片目を覆った布を外した。


「――っ!」

 この目……あの時の。


「覚えているか」

「え、えぇ。」



「1つ、お前に言いたい事がある。お前が前に手を握ってくれた時にぼんやりと思い出した事だ。」


 ――その時だった。



「カラリア様っ来てください!」

 ドアが思いっきり開き、知らない令嬢が私を呼びに来た。



「……。後で話す」

「わかりました。な、なんでしょうか」

 そう呼ばれついていくと見覚えのある姿があった。



「――っスピリ!!」

 しかし、いつもとは違ってスピリは水を被ったようにビショビショに濡れた姿になっている。



「どういうことですか」

「それはこちらの台詞だ」


 その声は

 スピリの背後から王子が強ばった表情でみていた。



「なにやっているんだカラリア。お前は」

「ま、待ってください!! 私はなにもしていません。」

 ライバ王子の威圧的な表情は初めてだった。完全に敵として捉えている目に私は怖気付く。



「待て、カラリアは俺といたんだ。何が起きたのかくらい説明してやれ。」

「そうです。最初から教えてください。分かりません。」

 ウェルは後を追うように着いてきて、王子を睨みつけた。



「嘘つかないでください! こんな水を一気に出せるのなんて貴方しかいないもの!!」

「えっ!!」

 そして、スピリは立ち上がった。



「その令嬢は言っていたわっ!!カラリア様のために私を排除するって!!」

 何言って。



「スピリと言ったな。カラリアに言いがかりをするな」

「口裏合わせをした男は黙っていてください。」

 ウェルは唸るように歯を噛み締めながら私の前に立っていた。



「カラリア、ずっと信じていました。いつから貴方はそんな田舎者を見下す立場になったのですか?あの時は明るく前向きな女性だったのに。」



「昼食の時も影ながらいじめていたと聞いています。嘘だと信じていましたが。」

「なんでそうなるのですかっ!!??」

 意味が分からない。

 なんで私がそんな目に合わないといけないんだ。



 まさかスピリが。ずっと居て話してたのは。



「カラリア様、貴方が王子の婚約をしていますよね?さ貴方は考えたんです。婚約して王族の権利を取れば、私くらい消せるって。私に優しく接するキャラは楽しかったですか?」

「貴方まさか……」



「でも、残念。私はちゃんと上に声をあげるひとなんです。王子は優しく私を毎日送ってくださいました。貴方の影なんて私の傍になかった」

 スピリは悲劇のヒロインのように王子に涙を見せる。



「それは、令嬢達と会っていたからで」

 もしかして、スピリは王子の事を諦めてなんていないの?

 王子と2人でいた時から全部スピリがこの時を狙って。



「王子、私のことをずっと見ていましたよね。何故信じてくれないんですか!? 好きだって……」


「人は場所が変れば人格が変る方もいます。スピリ嬢の話しを聞いて、最初は疑っていましたが令嬢にチヤホヤされて喜ぶだけでスピリを助けない。」



「そして、その令嬢は貴方のためだとスピリをいじめているんです。」

「それは身分で強く言えないからっ」



「自分の立場を盾にしないで!! 嘘つき!!」

 なんでそんな事言うの?

 信じていたから婚約も話したのに。友達だと思っていたから。



「では、聞いてみましょう。貴方達は何故こんなことを」

 王子は令嬢達に問い詰める。


「カラリア様のためにしました。」

「カラリア様の邪魔だったからです」

「英雄にすりよる田舎者が許せませんでした。」

 嘘っ……



「カラリア、この事は学校だけでは済まない」

 その瞬間に沢山の人が私達を取り囲んだ。



「待って!」

「ライバ……ッ、貴様」


「貴方さえいなければ、その令嬢達もなにもしなかったでしょう。」

「私は命令されていました。」

「私達は彼女の魔力が怖かった」

「無実です」

 おかしい。

 いつもならそんな事を言わずに否定してくれるはずなのに。ただ淡々と言うなんて目の光りもないようだし。



「捕らえろ」

「……俺が相手になる。カラリアは逃げろ」


「待って」


 駄目だ。

 魔法を使ったら抵抗したことになる。ウェルに無実の罪をつけてしまう。

 ……バスプラにも迷惑がかかる。



 私はウェルを止め、言われるがままについて行った。なんでこんなことが起きるのか意味が分からない。急にこんな事。



「ひどいよスピリ。王子もなんで。」

 私はただ檻の中で泣くしか出来なかった。

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