表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/26

相談!?

学校に誘われてから数日が立った。

今は、ウェルと魔法工学という授業に励んでいる。

 デートの次の日


「あーもうだめだー」

「お前が諦めてどうする」

 他の人が魔工学の作品を作り上げている頃、私達は立ち止まっていた。



「指輪の形は簡単に出来る。でも、中がどう頑張ってもできない」

「今、こうして試しているが手がかりがないしな。」


 私達は様々な魔鉱石を使い互いに魔法を使いあった。

 時に真ん中に魔鉱石置いて3つを重ねようとしたが上手くいかない。



 30は軽く超えただろう。お互い、自分が使える魔力以外だと弱いので被害は出ていないけど、得意なものを使うと爆発を起こしてしまいルービリが慌てて障壁を出していた。



 キーンキーン


「もうお昼だな」

「速いですね。あっという間に終わってしまう。」

 今日はこのくらいかな。用事いっぱいあるし。



「他にも作ったけどあまりピンと来ません。」

「時間がないが俺達にはコレが必要なんだ。隙間を見つけてでもやろう。」


 仕方ない。

 私は、ウェルと別れてスピリに会いに行った。たくさんの具材が入った弁当を食べた後、スピリは何かを入れた入れ物を取りだした。



「今日のデザートはフレンチトーストです。」

「フレっと?す?」

 スピリは私の目の前で器から卵がかかったパンを取り出し、魔鉱石を使って火を操り炙っていく。



「はい、どうぞ」

 凄く香ばしい匂いがする。私は1口に切って口に入れた。


「んっ!!!!!!」

 なんだこれは。甘すぎない、まったり口に広がって、なんと言ってもあの硬いパンがふんわりしている!



「美味しい!! 何これ、え、魔法使ったの!?」

 こんな物がお店に出たらとんでもなく繁盛しそう。


「ふふっ。ただの趣味なんですがそこまで喜んでくれると嬉しいです。」

 スピリは私の反応に驚くようにしていた。



「あ、あの」

「なに!?」


「いえ……それを食べたら少し相談したいんです。」

「……」

 スピリは何が悩んでいるようだ。

 私はすぐに堪能し終わり、スピリの隣に座った。



「あ、あの。馬鹿らしい……恋愛相談を聞いて欲しいなって」



「れ、れんあい!? え、私でいいの?」

「はい。こんな話カラリア様しか話せる人いませんので」

 こんな深刻そうな顔するなんて。信頼出来るから私に話してくれるんだよね。


「じゃあ聞く」

「実は」


「王子の事が好きなんです」



 (……っ!?)

「えっ?」


 ダメだ。「でも貴族と~」なんて言えるはずがない。自分が違うし。


 でも、私は仮だけど婚約者。応援できない。

 言ったら傷つくかもしれない。



「どうしたらいいのでしょうか。昨日、一緒に居らしたので縁があるのかなと」

「私は……ただ魔力があるから呼ばれただけたので。」


 うーん、どうしよう。



 ラナに相談しても

「適当に泳がせていればいいんですよ。もし、裏切り者!と言われたら絶縁から逃れませんし、目をつぶって諦めるしかありません。」

 とか言いそう。



「あの……」

 とりあえず、


「では、少し令嬢様達に聞いてみる。何か有益なことを聞いたら教えるね。」

「本当ですか?ありがとうございます。」


 とても頼られている視線が痛い。

 …………どうしよう。



 授業中

「ガベット様?」

「あ、あ、すみません。えっと何すればいいの出したっけ?」


 私はすぐに剣に魔素を入れ発火させる。



「違う。今日は魔鉱石を使いこなす訓練だ。剣はその後使う。」

「す、すみません。」


 私はすぐに魔鉱石を発火させて、標的にぶつけた。

 先生はよし。と言って次に行った。



「おい」

「あっベル様」

 振り向くと、相変わらず不機嫌そうな表情をしていた。


「どうしたんだよ。いつもは張り切ってるだろ」

「えっと……」



 ――っ!

 ガンッ


 私は反射的に剣を逸らした。

「なにするんですか」

「本当に聞いてないな。今から模擬戦だ。模擬。」


 周りをみたら確かに不傷の結界が貼ってあり、剣や弓……など競い合っている。


「俺嫌われてるのは分かるだろ。速く相手しろ」

「わ、わかりました。」



 私は剣を握った。


「……フレルドっ!!」

 ベルは炎を巻き上げながら振り上げる。


 ―――!! キッ!

 剣を逸らす事で精一杯。


 この目、ベルは本気だ。猛攻が続き、剣が思うように動かせなくなっていく。


 カッ!

 その瞬間、剣が私の手から飛び上がり地面に突き刺さった。



「俺の勝ちだな」

「……っ」

 初めて負けたかもしれない。


「全くいつもの様子じゃないな。勝ったから言う事でも聞いて貰おうか」

「えっ……あ、はい。いいですよ」



 そう言うと、

「先生、俺達は疲れた。少し休んでいいだろ」

「ああ。」



 ベルは端の方で座りにいき、私も座れと言われたので座る。


「で、何悩んでるんだ。話してみろ」

「えっ」

 バレてたの。


「分かるだろ。いつもの様子と全然違くて気持ち悪い。で、なんだ?金か?取り立てでもきたか?」

「ち、違います!」


「なら話せ」

 話していいのかな。少し伏せて話そう。



「実は友達に言わなきゃいけない事があって。でも、それを言ったら傷つけそうだし、言わなくても、いつかばれるのも分かってて」

「なるほど」

 ベルはふむ。と呟きながら考えこみ



「言えよ。言わなくてもバレるなら先に言った方がいいだろ。」

「……」



「で、その時に迷ってたけどって今思っている事言えばいいだろう。」

「傷ついたら」

 スピリ、今も大変そうなのに。



「気持ちを分かってくれるってそいつを信頼しろ。バレて憎まれるような事だったら尚更言った方がいい。」



「友達だと思うなら信頼しろよ。後でバレる方が傷つくと俺が言い切ってやる。もし、その友がお前を許さないと言ったら切ってやる。」

 ベル……



「うん、私信じて言ってみます。」

「さっさと言ってくれ。そんなんじゃ調子じゃ勝った気がしない。」


「ありがとうございます。優しいんですね。」

「あーもう」

 授業が終わり、ベルは焦るように私の剣を取ると先生に返しに行ってくれた。



 よし。



 ――放課後

「どうしたんですか、カラリア様?今日はあの方々とお話が」


「ごめんなさい!!!」

 私は深く頭を下げた。



「私、王子と婚約しているの! 言っちゃダメなんだけど、スピリに言わなきゃって。スピリを応援したいけど、ごめんなさい!」

 私はただ頭を下げるしかなかった。



「あーなるほど。ふふっ。最初から何か仲良いなと思っていましたよ。顔をあげてください。」

「……」



「わかりました。教えてくれてありがとうございます。このままだとカラリア様も私も不幸になるところでしたね。」

 スピリは清々しそうな表情をしていた。



「なら応援しています。でも、もし婚約がなくなったら私が取るかもしれないので頑張ってくださいね。」


「が、がんばるよ」

 冗談にびっくりしながらもスピリと和解することができた。案外、あっさりなんとかなった。ベルの言う通りだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ