デート
「王子!」
「カラリア、制服はしっかり着てきましたね。」
今日は久しぶりに王子とデートの日だ。そして、今回は初めて外に出る。ラナがちゃんとしたデートを。と心配して提案を王子にしてくれたらしい。
「私達はあくまで友達として歩けばいいんですよね。」
「はい。」
私達が最初に向かったのは本屋さんだ。
勉強で一緒にいると見せるためだけど、王子も私も本に興味があるので2人とも有益な時間だった。
「みてください、カラリアの事が書かれているようですよ」
なになに……とある少女と風魔獣!ちいさな街を救った英雄とは!?
「や、やめてください。恥ずかしい」
「いいではありませんか。私は誇らしいですよ」
王子はいたずらっぽく笑っている。
「王子だっていっぱい書かれているのに」
「私は王家です。あれはただ、これまでの歴史をかいているだけで私を見るものではありませんよ?」
言われて開いてみると確かにそうだ。でも、王子の写真が沢山描かれている。
「でも、カッコ良い写真がいっぱいあるではありませんか」
「そうですか?あぁ、カラリアには私の姿どれも良く見えているだけではないですか?」
「そ、そんな事は」
王子はニヤニヤと私の顔を伺っていた。
私は顔を振ってそっぽを向いた。話を切り替えよう。そうそう、あの話を聞いてみようかな。
「話が変わりますけど、昔、龍から街を救った英雄の話を知りませんか?」
「……そうですね。神獣の話なら聞きますが、龍が街を襲う話は初めてききました。」
王子でも知らないか。
おじいちゃんどこにいるんだろ?お父さんは昔話を話すように語ってて、死んだみたいな扱いだったけど。
「どうしました?」
「いえ、少し聞いたので気になってたんです。」
「そうですか。カラリアは伝記とかが好きなのですか?」
「いえ、好きなのは……えっと、恋愛ものです」
こんな話し誰にもしてなかったな。小さい頃、妖精と女の子の物語が大好きで読んでいたのが懐かしい。
「いいですね。そこにはカッコイイ人がいて中には本に恋する人がいると聞きますが、カラリアはそう思うことがありましたか?」
「いえ! 王子に会うまで現実と離して恋愛を楽しみながら読んでいました。でも、会ってから夢みたいな事が本当になってしまって」
「私が夢にみえますか?」
「見えません!」
咄嗟に否定した私に王子はハハッと楽しそうに笑っていた。
次に来た場所は花屋だ。
「カラリア、好きな花を選んでください。持って帰って飾りましょう」
「いいんですか?」
「はい。いつも創ったものを飾っているようですが、たまにはこういう花も良いと思いますよ」
たまには良いかも。うーん、どんな花がいいかな。この小さい白い花が下に向いたものが可愛いかも。
「じゃあこれで」
「雪フレクですね。カラリアに似合っていると思います。じゃあ少し私がアレンジを」
王子はそれに他の花を組み合わせて私に渡してくれた。ちょっと派手かもしれないけど、王子のセンスに感動して抱きしめた。
その時
「えっ」
「スピリ!?」
私達の声を聞いて買い物をしていたらしい服装のスピリが固まっていた。まさか鉢合わせするなんて。
「お、お2人が一緒なんて珍しいですね。」
「スピリ嬢ではありませんか。……実は母上に特別なものをあげたくて。創造ができる彼女に力を貸してもらっていたのです。」
王子はすぐに私をカバーした。言い訳はしたくないけど、隠さなきゃだめなんだよね。
「そうなんです。この花をアレンジして欲しいと言われまして。」
心が痛いけど仕方ない。
「そ、そうなんですね。い、良いプレゼントが出来たらいいですね。それではまた。」
スピリは申し訳なさそうにスタスタ帰っていく。悪いことしちゃったな。
「すみません、カラリア。合わない時間帯を狙ったのですが。それに嘘までつかせてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ」
スピリの顔色悪かったし大丈夫かな。
「じゃあ最後に紅茶でも飲みませんか?王族しか入れないので誰にも会うことはないですよ」
「あっはい!」
王子は少し困ったような顔をしながらも橋を渡り、花が看板や柱に巻きついた華やかな店に連れて行ってくれた。
「紅茶を2つ。あと、あそこのケーキを2つお願いします。」
そう言うと王子はふぅと息をついて手袋を脱いだ。
「ありがとうございます。あんな高そうなケーキが食べられるなんて」
「ふふっ。カラリアはいつも頑張っていますから。美味しいケーキでも食べてゆっくり休みましょう。」
王子は気を緩めるように紅茶を飲んでいた。ここだと肩肘張らずに出来るからかリラックスしていてサマになるなあ。
「そういえば、スピリ嬢とは仲良くしてますか?」
「はい、でも最近元気が無さそうで……」
「カラリアにも悩みがあるんですね」
「あ、ありますよ!」
そういえば相談したの初めてかも。ずっと狭い関係の人としか関わらなかったからなあ。
「確かにスピリ嬢は他の令嬢にあまり良いように思われていないと思われる場面を見ますね」
「とても良い子なんです。魔法も凄くて道具も作れて、料理も上手なんです!」
私にもっと力があれば。
「今の私にできるのは一緒にいるくらいしかできなくて」
「それで十分心強いと思いますよ。」
王子の言葉は確信を持ったように頷いた。
「なぜなら、カラリアが傍にいると考え事をしていても明るい気持ちになれますから。私がそうですし。」
「あ、ありがとうございます。」
そんな風に言われたら照れちゃうな。
「本当に表情がコロコロ変わって可愛らしいです。……カラリアという良い友達がいるのに、何故私を頼るのでしょうか?」
「そうなんですか?」
可愛らしいに照れてる場合じゃない。
「いえ、気のせいだと思います。距離感や多少の問題は学校あるあるですから。カラリアの相談ならいつでも力になるので言ってくださいね。」
王子の笑顔は心強いな。
「はい!」
「カラリアはまだ婚約者になってはいませんが、王族になる身として恥じない行動をこれからもしてください。」
「もちろんです。」
飲み終わると城に戻り庭園を歩いた。急に王子は何かを思い出したかのように、
「1つ知りたいのですが、私はウェル様に何かしたでしょうか?」
「してないと思いますよ?」
「実は、よく睨まれるような気がするのです。」
睨むかな?ウェルはいい人だと思うんだけど。
「あの人、目つきが少し鋭いので見間違いじゃないですか?」
「そうですね。気のせいでしょう。」
王子は言い聞かせるようにうなづいた。
「……最近、よく彼と話しているそうですが婚約者の私がいることを忘れないでくださいね。」
「も、もちろんです」
「ならいいんです。そうだ。ここなら誰もいないですし」
王子は私が手を握った。
「――!」
「こんな事で驚かないでくださいよ。カラリアったら」
「わ、笑わないでください!」
どうしよ。顔が真っ赤だ。
こんな事って言われても意識して手を繋ぐことなんてないもん。
「聞きましたよ。魔法工学頑張っているようですね。応援していますから」
「あ、あ、ありがとうございます」
王子はクスッと笑った。王子がこんなに笑うなんて。
新しい1面がみれたかも。




