表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

課題

 それから、しばらくの時が経った。


 私はスピリと学校生活を送り、放課後では講座のように令嬢達に魔法を教えていた。


 スピリは笑顔だったり曇っていたり…聞いてもあまり教えてくれない。それでも私のために色々なご飯や道具を教えてくれた。



 そんな生活の中、今の課題は


「前の授業では、アイデアを固めてそこからどうすれば可能になるのか枝分かれの図を使って考えてもらいました。」


 ルービリは今日も軽快に黒板を走らせ喋っていた。



「今日はついに実践です。私達には魔力という武器があります。あと、歴代の方が創ったレシピという近道もあります。様々なものからヒントを得ながら創っていきましょう。もし難しいと思ったら変えても構いません、相談も是非!」


 その時、生徒が手を挙げた。


「ルービリ先生、また一からするのは大変じゃないですか?」


「大丈夫です。これまで、皆さんが1つのアイデアを固めるため、実現するために考えた経験があるではないですか。ここまで来れば作り直したとしてもコツもある程度掴めているので一週間くらいです」

 ルービリの周りの先輩達がうんうんと頷いた。皆何回も作り直したのかな。



「私達も何度も失敗しているので失敗大歓迎です。ドンドン作りましょう」

「「はーい!!」」

 ルービリのおかげで皆がドンドンアイデアをだしていき話し合いが始まった。最初は自信なさそうな人もたくさんいたのにルービリの授業のおかげだろう。



 よーし、私も頑張るぞ。

 確か魔力が使えない人は魔素を身体に貯めることができない。なら、代わりに魔素を貯めるものを作らないと。



 身体の中に取り付ける?でも、身体に負荷がないようにやどこに置くかを考えると複雑になるかもしれない。できるだけ身体に近く身についているもの。


 その時、目の前のウェルがつけている指輪が目に入った。そうだ。ネックレスとか指輪とか身につけるものを作ろう。簡単につけれるし。



 最後の課題はどう魔素を貯めるか。



 ん、……そういえば。ウェルを見て少し前に言った事を思い出した。

『魔風獣は魔素が狂った獣だ。だから魔素を取り出した』


 魔素を取り出す。つまり魔素を貯めることが出来る!こんな近くにヒントがあるのになんで気づかなかったんだろう。



「これだっ!!」

 奇跡のように目の前にある指輪にはヒントがある。



「あのウェル様。」

「なんだ」

 ウェルは相変わらず考えているのか、考えていないのか分からない表情をしている。



「その指輪ってどこで手に入れたんですか?」

「知らん」


「どういう仕組みかは」

「分からん」

 嘘だ! せっかくいいヒントがあったのに。



「じゃあ、何故持っているのですか?」

「……気づいたら目の前にあった。ずっと暗闇で、身体に痛みが走りながら、もがいている時に気がついたら持っていた。」

「……」


 辛そうに語るなんて、昔に何かあったのかな。



「これがあると心が軽くなる。おそらく、魔風獣もこの指輪で魔素を整えてくれるから同じように楽になるだろう。俺は、不幸な獣が出ないようにこれを量産したい。」

 ……分かるような。分からないような。



「実は、それが魔素を吸う理由が知りたいのです」

「悪いな。今それを考えているのだが、力にはなれなさそうだ」

 もう少しなのに。こんなに良いヒントが目の前にあるのに。



「じゃあ、解析してみたらどうかな?」

「うわっ」

 考えこんでいると、後ろからルービリの声が聞こえ、飛び上がった。



「ごめんね。少し聞いてたんだけど、魔力の分析をしてそれの仕組みを調べてみようよ」

「……」

 ウェルは自分の指輪を見つめていた。もしかしたら、のけるのが不安なのかな。



「分かった」

 ウェルは覚悟を決めたように自分の指輪を外しルービリに渡した。よく見ると、石みたいな形になっている。魔鉱石の類いなのかな?


 ルービリはすぐに先生に相談し、研究室に行ったようだ。



「どうですか?身体の調子は」

「……丈夫だ。」

 そう言っているが、身体を震わせながら頭を抑えこんでいる。


 ウェルの隣に行き私は手を握った。出来ることはある。

(お願い、痛みを和らげて。)

「……っ」


 彼は動揺したが、すぐに目をつぶった。


「…………やっぱりお前が助けてくれたのか」

「どうしました?」



「いやなんでもない。もう大丈夫だ、助かった。」

 ウェルが手を離したので、様子を見ながらデザインを考えていた。


 石だとすると、透明な球体に石をいれるのがおしゃれだと思う。でも壊れやすい?


 なら、透明な球体に中に水をいれて空洞をつくらない。とかはどうだろう。もし、バリエーションを増やすなら平べったいのもいい。


 そんなことを考える一方で、ウェルはただ紙を見つめていた。そういえば、量産したいって言ってたな。



「あのウェル様。あの指輪を造りたいいんですよね。」

「あぁ。」

 なら、やることは一緒だ。



「では共同開発をしませんか?」

「共同?」


「一緒に知恵を出し合って作るんです。私もあの指輪をつくりたいので」


「わかった」

 ウェルはすんなりとうなづいた



「では一緒に考えましょう。」

 しかし、考えてもあまり案は出ない。仕組みが分からないとなあ。ウェルは歴代のものを見ているがピンと来るものがないらしい。



「二人とも終わったよ」

 そんな時に、ルービリが現れた。なんとかなるかも。


「行きましょうウェル様。」

「あぁ。」

 研究室に行くと、先輩達が困った表情で解析結果をみていた。なになに……測定不能?



「先生にやってもらったんだけど、中の魔素が3つくらい混ざっちゃってわかんなかったんだ。」


「3つですか」

「うん。ちなみにこの指にはめるところは水の魔素みたい。」

 数ある中で3つを見つけるのは難しそうだ。この指輪の形だけを水で作るなら出来るけど。



「んー難しいね。良い研究だと思うけど、これと平行で他のも作ってみるといいよ。」

 とりあえず1個は作らないといけないからかルービリは保険をつくる事を勧めてくれた。でも、それじゃ私の夢は。



「ありがとうございました。」

 やっぱりほぼ不可能なのかな。



「どうしますか?」

「俺は作る。これがあれば獣は苦しまない。」


「分かりました。私もやります。」

「だが……」


「いいんですよ。私も一番これを創りたいんですから。その代わり手伝ってください。」

 そう言うとウェルは強く頷いた。


「任せろ。」

「ありがとうございます。では今日の放課後に図書室へいきましょう」

 私はウェルと約束を交わし昼食を食べた。



「おーい、スピリ」

「カラリア様っ」

 スピリは私の声に反応して顔を出した。


「今日はこれです。」

「これはなに?」


「スクランブルエッグです」

 聞いた事はないけど、美味しそう!!


 パクッ

「ん、やっぱりスピリの料理は新しくてすっごく美味しい!!」

「日々、色々と考えているんです。喜んで貰ってなによりですね。」

 スピリは令嬢からのあたりが酷くなっているため、日々こっそり会ってご飯を食べている。


 もちろん朝も会うし、ここで勉強もしているから仲がわるいわけではない。



「ここ覚えましたか?」

「あっ、まだ!」

「では今日はここの勉強をしましょう」

 私はスピリの発明した道具を役立てていた。


 例えば、この小さな紙。下がくっつく小さな紙切れを本にはさむことで、いつでもそのページを開ける優れものだ。メモも出来るし。



「この詠唱は?」

「分かりますよ、カラリア様。ブレイト・プラットですね」


「正解!!」

 やっぱりこの日常が一番楽しいな。私が婚約者だと発表されれば令嬢に強く言えるようになる。それまで、私はスピリと一緒に頑張らないと。


「あっもう授業ですね」

「行きましょう!」

 今日の授業は、剣技について。剣技は振る速さや美しさだけでなく、魔法を使い周りを熱狂させる表現力、構造も必要になる。


 とりあえず造った水に対して剣を振って水を切る!水は抑えていた透明な箱から飛び出し水が飛び散った。


「流石カラリア様!! 剣技も上手くなっていますわ。」

「なんでもできるなんて羨ましい。」

 授業中に令嬢の声が響き渡る。前より私に入り浸っているような気が?


 ラナの話しだと、伝説の英雄を自分の元に来させたいから仲良くしているのではないか?来てもらえば、妨害をする輩がビビって接してこないとか。


 そんな上手くいくもんかな?


 とりあえず、将来の仕事先に来てもらう事を狙っているらしいけど行く気なんてない。


 婚約が無くなってしまったら町に帰るって決めてるし。



「……っ」

 相変わらず、スピリと王子は授業中に技を教えあっている。何話しているんだろう。


 んーもう。ちゃんと言ったのに。教えてるだけって分かっててもモヤモヤする。


 私は分からない気持ちを剣に乗せ、もっと大きく華やかに魅せる。



「ライバ王子のおかげで上手くなりました」

「それは良かったです。スピリ様」


「……」

「どうしましたか?」

 スピリは羨ましそうにカラリアを見ていた。


「いえ、カラリア様は令嬢達に愛されているなって。私はカラリア様にとって邪魔みたいですし。」

「まだそんな事を。カラリア嬢はそんな人ではありませんよ」


「なら……良かったんですけど」




 ――放課後

「ウェル様、少しでも手がかりを探しましょう」

「分かった。」

 そんな訳で、図書室で本を読んでいた。魔法基礎学。魔法を使うには?魔素がたまらない人。これも、あれも。

 きっかけになりそうなものはしっかり読まないと。



「なになに、魔素は器。つまり魔力に変換できる器が大きい人ほど吸収率がいい」

 それはそうだよね。



「魔力がたまらない人は光りの加護がない。そんな貴方にこの宗教を……」

「ウェル様それはただの宗教勧誘です」


「そうか。」



 三時間ほど粘っているが中々見つからない。でも、1冊だけ。

「1つヒントになった歴史がありました。魔物に取り付かれた無能力者が、癒やす力によって使えるようになった方がいたようです」



「その名は、ゲシュタ・ガベット。ん?」

「お前と同じだな。」


「……確か、おじいさんかな。」

 少しだけお父さんから聞いた事がある。でも、あんまり町のみんなから聞かなかったし分からない。


「おじいさんは昔、龍と戦った英雄だとか何とか。」

「龍か」

 おじさんに関係してそうな本を探し、読んでいくと1冊だけ詳しく書かれてた本があった。



 ……龍は地や水、人すらも腐らした。そんな時に現れたのが光を操る女神と言われるほどに慈愛深い者。しかし、癒しを願う力は腐と相対しきり、成されたのは1人の人間を元にもどしたという奇跡だけだった。


 龍は光に呑まれたものの、腐った大地が広がったままだった。奇跡により、目が覚めた彼は全てを塗り替える為に力を使った。死も生も全てを塗り替え新しい地へと戻す。


 簡単な絵本のような本にはおじいさんの事が詳しく書かれていた。でも、最後の方のページが破れている。



「……こんな事初めて聞いたわ。」

「俺もだ。英雄と言われているが有名でもないようだ。それに、何故後のページが無くなっている?」


「それは分からない。でも、おじいさんはおばあさんを大事にしていたって聞いたわ。」

 おじいさんのおかげで魔力が使えてるのかも?でも、分かった事はそれだけだった。



 日が暗くなったので、ウェルは私を送ってくれた。

「ガベット。」

「なんでしょうか」



「少し未来が見えた。感謝する。」

「こちらこそ、貴方の指輪のおかげで少し希望が見えたんです」

「そうか」

 そう呟くと、沈黙の後に私の顔を見た。



「……ガベット。気をつけろ」

「えっ?」


「お前に対して何かを起こそうとしている奴がいる。気をつけろ」

 こんなまじめな顔をみるのは初めてかもしれない。でも、誰がするの?


「そうですか。ありがとうございます。」

 分からないけど、気をつけなきゃ。何か分からないから対処出来ないけど。




「すみません、こう毎日送っていただいて。」

「いえ、遠くからきて心細いでしょう。私で良ければ力になります」


「やっぱり王子は学校の誰よりも優しいのですね。」



 スピリはニコッとして王子に礼をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ