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悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


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授業!

王子に学校に誘われて入学した私。今日から授業が始まるみたい

 ――学校

「ここでは水の魔力が適正です。ではガベットさん水の二段階発動の典型詠唱は」



「はい! ブレイトレータです」

 楽しい授業はあっという間に過ぎていく。しっかりと予習したし、他の魔法も知れて学びが増えていく。


 横にはスピリがいてうんうんと聞いていた。



「……ことがあります。しかし、魔法の種類には適性があり遺伝的に使えない場合があります。そのときはなにを応用しますか?ツーンリさん」


「はい。使いたい魔法用に作られた魔鉱石に自分の魔素をながし魔力として発火させます。」

「そうです。詠唱はよく耳にしますが実用的な話しは苦手な方が多いんです。ですがよく予習をしていますね」



 私には分からない問題を簡単に解いたスピリはすっと椅子に座った。まあ、魔素があれば大体カバー出来るってことかな。


 この分厚い書物の中に細かく書いてるけど、読む時間あるかな。



 ――昼食


「カラリア様は詠唱に詳しいんですか?」

「うん。詠唱だけはと思って覚えています」

 私は学食を食べ、スピリは弁当を食べていた。


 本当は弁当の方が安くすむけど、城で住んでいることを分からないようにしなければならない。



「私、詠唱が苦手なので良ければ教えてくださいませんか?」

「もちろん。じゃあ、実用的な知識を教えて貰ってもいい?」


「はい。もちろんです。」

 ご飯を食べたあと、昼休みに二人で勉強会をしていた。



「あのカラリア様。」

「なんでしょう?」

 後ろを振りむくと、前とは違う令嬢達がいた。



「私は創造魔法感服いたしました。もし出来ればご教授頂けませんか?」

「コツとかあったら聞きたいの」


「では、今日の放課後でどうですか?」

「今は駄目なのですか?」

「その子がいるからですか?」

 彼女がスピリに目をやった。確かにスピリが心狭い思いをしてはいけないとは考えていたけど……。


 誤魔化さないと。



「いえ、こういう人の多い所は私が創り出す子達は興奮してしまって。それに放課後の方が時間に縛られませんので。」

「なるほど」


「もしかして、予定とかありますか?」

「いえ、では是非お願いいたしますわ」

 令嬢達を説得させまた勉強会を再開した。



「すみません。私はカラリア様のような功績もないので嫌われていますし、きっと私を離そうとしたんです。迷惑をかけてしまってごめんなさい。」

 スピリは申し訳なさそうに頭を下げる。


「そんなことない!! 田舎同士で心強いし、功績なんてスピリは凄い魔法使えるから学校でいくらでもだせるよ」



「そうですか?」

「はい!」

 そう言うと、スピリはありがとうございます。と嬉しそうにうなづいた。



「そういえば、希望調査どうしましたか。」

「私は魔法工学にしました!」

「魔法工学……魔素を使って色んな人に合わせた役に立つアイテムを作ることですね」



「うん。誰でも魔力を使える道具を作ってこの国を豊かにするのが夢なんだ。まだ力及ばずだけど」

 ラナには無理だと言われたけど、挑戦するだけ挑戦して見たかった。そのほかにもバスプラの困ってることを題材にすれば良いアイデアがわくだろう。



「いい夢ですね。」

「ありがとう。スピリはどうしたの?」

「私は魔法の実践授業を。将来この力を使って、苦しんでいる人を沢山救いたいんです。」

「いいですね、応援しています」


 夢を持って語り合うなんて、バスプラの時には考えなかったのに。

 本当にここに来て良かっとスピリの嬉しそうな顔をみて思った。



 

 ――昼


「今から剣技の授業だ。苦手な奴もいるかもしれないが魔力を通して道具に宿すことが出来れば応用できるからな。」

 これはライバ王子がしているやつだ。


「これは魔力をこめた武器でしか切れない木材だ。これをより効率的に切れるかをこの授業で考えてもらう。」


 運悪く、この授業はスピリも王子もいない。でもやってみせる!


 もらった木刀に魔力をいれて


 ……。

「あれ」

 魔力は込めているはずなのに。どうして切れない?



 動け。命を宿れ。

 カッ


 木は傷1つなく、何もなかったかのように立っている。

「だめだ。難しい」



「ふん。だから田舎モンは。」

 横を見ると、ベルが木刀に炎を灯しながら立っていた。


「ベル様」

「魔素を魔力に変換させてから使うからだめなんだ。木刀といっても魔性品で魔素すらないから無理矢理出来た魔力をいれても発火しない。魔素をながしてから剣ごと魔力に変換させるんだ」


「――っ」

 魔素を変換させずに入れて、魔力として発火させる。


「そうだ、いけ」

 ガッ

 魔力を宿した木刀は木材を簡単に切り落とした。


「そのくらいできないと駄目だろ」

「そうですね。教えて頂きありがとうございます。」



「別にそんなんじゃない、ただ昨日のお詫びだ。わるかった。」

 ベルは照れくさそうにそっぽを向いた。



「大丈夫ですよ。それにしてもベル様は教えるの上手ですね」

「うるさい」

 ベルのおかげで私は、なんとか剣技の授業を終えることができた。少し感じが悪いと思ったけど、全然そんなことないしむしろ良い人かも。



 ――放課後

「ではカラリア様、ごきげんよう」

「バイバイ、スピリ!! 気をつけて帰ってね」

 私はスピリに手を振り令嬢の元へ言った。



「いいですか?まずは大体の形を作るんです。」

 私は小さな水の塊を作り出した。


「そこから削ったり、付け足したりするんです。例えば、私の相棒の子はこう耳をはやして」


「そんな繊細に!?」


「今回はみやすいようにしていますが、最初は大きめで練習するといいですよ。」

 そして、尻尾を出す。足と頭の輪郭に気を使いながら



「これで完成です。」

「おー!!」

 ワンコロの形をした水が手の平でクルクルと回る。


「そこから、私は命を宿せるので」

 魔力をこめたワンコロはスッと動き出し手から離れた。


「ワンワンっ!」

 人が沢山いるのを見て嬉しそうに走り回る。


「ワンコロ、知らない人がいて嬉しいのは分かるけど走り回ったらだめよ」

「ウー……ワン」


 ワンコロは私の傍でお座りをした。



「あの触っても?」

「もちろん」

 ワンコロは満更でもなさそうに顔を溶かしながら頬をすりつけていた。


「やはりカラリア様は素晴らしいですわ。」

「勉強になりますわ」


「よかったです。」

 私は令嬢達の言葉を聞いて自信になった。こんなに令嬢に認められているんだから、王子との婚約も上手くいきそうよね。


「あのカラリア様。」

「はい」


「これから、私達と行動しませんか?」

「えっ」

 私が驚いていると次々と令嬢が声を出す。


「スピリ様のことも素晴らしい方だと思いますが、あの方より私達の方がいいと思いますよ」

「貴方には私達の方がふさわしいですわよ」

「ランチにも誘いますし、美味しいスイーツも用意しますわ」


 スピリの言う通り嫌ってるのかな。

 あんなに良い子なのに……


 いや、ここはスピリを構わないと。令嬢相手でもしっかり言うんだ。



「お誘いありがとうございます。しかし、私はスピリ様に迷惑をかけているくらいお世話になっていますし、なによりあの方といる学校生活が楽しいんです。」


 はっきりと言葉に出すと、令嬢は「そうですね、ごめんなさい」と頭を下げた。



「カラリア様が言うなら仕方ないですね。」

「もっと教えて頂きたいのに」


「いつでも放課後は空いていますので、いつでも呼んでくださればどこへでもいきますから」


「はい。また教えてくださいね」

 令嬢達が帰っていくのを見送り、私はワンコロと帰っていく。



「私も田舎ものなんだけどな。もし、スピリがバスプラにいたら逆になっていたかも知れないなあ。」

「クーン」

 やっぱり貴族社会は厳しい。だからこそ、王様も慎重なんだろうな。



「ハッ!!」

「……っ走らないで! どうしたの?」

 私は急に走りだすワンコロを追いかけていた。いつも言うこと聞くのに。


 そういえば、前もあの獣を助けた時に走ってたよね。



「……お前か」

「ウェル様!?」

 ワンコロについていくと、そこにはウェルが大きな骨がついた肉を食べていた。


「お前も食うか?」

「結構です。というかなにしてたんですか?」

「食事だ」

「わ、分かってますよ。それはどこから?」

 ワンコロは興味津々そうに鼻を擦り付けている。



「もちろん、そこらへんの店で買った。俺は害がある獣しか食べない。」

「作用ですか」

 お肉しか食べないのかな。この人。栄養大丈夫?



「お前も食べるか?」

「へっへっ」

 ウェルはワンコロをなでながら、肉をちぎってあげていた。

 ワンコロは美味しそうに食べている。



「ちゃんと焼いている食中毒にはならない」

「お気遣いありがとうございます。」

 そういう問題じゃないような……素手だし油まみれだし。


 私は混乱している中、ワンコロとウェルは仲良く食べていた。食べ終わるとワンコロを撫でながら口を開いた。



「最初の時は悪かった。お前に似た奴を昔みてつい」

「大丈夫ですよ。でも、あの時ちゃんと話てくれなかったので怖かったです」


「それはわるかった。」

 ウェルはぺこりと頭を下げた。



「……っ。もう日が暗くなる。速く帰ったほうがいい。」

「そうですね。では失礼します。」

 言われるままに帰ったけど、あの人どこに住んでいるんだろ。




「遅い」

「すみません」

 私は待ちくたびれたラナに謝罪した。



「次から鳥を使って私に時間を届けるようにします。いいですね?」

「はい」





 ――数時間前

「貴方みたいな方がカラリア様と一緒にいるのはどかと思いますの」

「カラリア様は貴方のせいで交流できないの」

「離れてくださいっ!!」


「っう!」

 押しのけられた。


「私達は英雄のカラリア様から話しを聞きたいのに、貴方みたいな田舎モンがいるとカラリア様の手が患ってしまうでしょ?」


 そう令嬢が帰ると、スピリは制服の泥を払った。



「……っ。」

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