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悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


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10/26

始まる学校生活!

「行ってらっしゃいませ。お嬢様」

「うん行ってきます!!」

 私は少し遠くの場所で馬車を降ろしてもらい、学校に向かって走り出した。



(どんなことが学べるのかな。どんな人が待っているんだろう!!)

 お母さんお父さん、シグルにエルマ、町の皆のためにも頑張らないと!

 私はそんな気持ちで学校の門をこえた。


「ここは、魔法の術式を一回解体する必要がありますわ」

「今日の朝稽古はばっちりだ。」

 中に入ると、何人もの人を引きつけて歩く令嬢や屈強な男性、王子みたいな人など皆がキラキラしていてまぶしい。


「みて、あの人がライバ王子よっ」

「かっこいい!!」

「有名な画家が描いた写し絵より何百倍も美形ですこと!!」


 黄色い歓声の先で王子は優しさにあふれた笑顔を振りまきながら歩いていた。私、本当に婚約者なのかな。


「婚約者はまだいませんのよね?」

「噂によればいるとか、いないとか……」

「でも交流をしっかりすれば」

そっか。私にことは隠しているから今王子の事情を知る人は少ないのか。でも取られないようにしなきゃ。帰ったらしっかり関わらないと。



 そう考えていると、一瞬王子と目があった。王子は少し口元を緩まし歩いて行った。


 あれはわかりにくい。流石王子だ。


「あの子がバスプラから来た子?」

 ……令嬢が私のことを話しているようだ。



「どんな田舎者かと思ったけど身なりは良いわね」

「町の危機を救った英雄なんでしょ?」

 ラナのおかげで服装に気を使ってるからそこまで嫌われていないかも。

 不安だったけど少し安心だ。



 校舎に入ると1回生の人達が召集された。

「よく我が校へ来てくださいました。我が校では魔力や学力を中心に身分にとらわれない教育をしています。なぜならこの世界は実力主義。将来は、自分の力で身分など上にも下にもいけますのでね。今回は他の国からも来ています。争いが多い世の中ですがここではそれも関係なく力を競い合ってください」

 副学長は白いひげを伸ばしながらほっほほと笑った。良い人な雰囲気だ。



「では、明日からの授業をお楽しみに。ではシステムの説明から」

 その後、3期生の人から私達は学校について説明を聞いていた。必須のものもあるが、学びたい項目に自由に行くことができる仕組みがあるらしい。


「では、皆さんの未来が飛躍することを願っています」



 そういうと、次は代表者の挨拶でライバ王子が出てきた。

「このセルディアで学べる事、様々な方と学び会えることに喜びを持って共に学業へ励みましょう」


 その後も、ライバ王子の素晴らしい挨拶が終わり拍手が聞こえ会が終わった。



「では、交流も兼ねてパーティーを開きます。先輩もいますので聞きたいことがあれば聞いてくださいね」

 ラナに言われた通り授業もせずにパーティーが始まった。美味しそうなご馳走やケーキが並び、軽快な音楽が鳴らされる。


 皆楽しそうに話しているが田舎からきたことになっているから少し話しかけにくい。

 なにいわれるか怖いし。でも、友達を作りたいなあ


「ね、貴方」

 私は声がする方に顔を向けた。



「バスプラから来た子ですよね。私も遠く離れたところから来たんです」

「本当!?」

「はい。」

 肩まで伸びた黄色の髪をふわっとさせるような女性は嬉しそうに頷いた。


「私の名前はスピリ・ツーンリと申します」

「私はカラリア・ガベットです。」


「田舎者どうし仲良くしましょう」

 私は彼女と握手した。


「カラリア様、もしかして貴方はバスプラの英雄さんですか?」

「はい。」

「やはりそうですか。遠く離れていても、バスプラの英雄の話は有名ですよ。」

 王子も他の国まで広がるって言ってたけど、みんな知っているんだな。


「でも、この学園に来るのは知りませんでした。大体の生徒は把握していたのですが……あっ、魔法をまた見せてくれませんか?」

「えぇ、もちろん」

 私達はそれぞれの町の話しや世間話など長い間会話をしていた。出来るか不安だったけど友達が出来て良かったな。


彼女は生徒の名前や出身をほぼ暗記しているらしい。そんな事考えた事なかったな。



「あのガベット様ですか?」

 ご飯を見ながら歩いていると、令嬢達に声をかけられた。


「そうですけど」

「あの伝説のガベット様!? 魔風獣を倒した話しを是非お聞きしたいです」

「セルディアの暮らしはどうですか?不安なことはないですか?」

「バスプラから遠かったでしょう?」

 私の名前を聞いた途端、令嬢達の目が代わり質問攻めをしてくる。そんなに有名なの知らないんだけど。でも皆田舎の私にも優しくしてくれるし良い人だな。



「おいお前達」

 そのとき、低い声が響いた。


「貴方は、上級貴族の……」

「そんな話しを信じるなんて馬鹿らしい。どうせ田舎者が造って名をあげようとしているだけだろ」

 赤髪の男は私に睨みつける。


「で、嘘だろ。正直に言え」

「あの、本当に襲われましたよ。私は援軍が来る前に倒しました」

「バスプラみたいな町で生まれたお前になにができる」

「信じてもらえないなら構いません。しかし、バスプラのことを悪く言うのはやめてください」

 私も言いかえし、険悪な空気が流れていた。


「やめるんだ。二人とも。」

「……ライバ王子」

「チッ」

 間にライバ王子が入ってくる。


「ベル、ここは学校だ。その言葉の意味が分かるな?」

「なんだよ。はっ、どうせ田舎もんがどんなに頑張っても上級貴族なんてなれないんだから精々頑張ればいいさ」

 赤髪は吐き捨てるようにしながら逃げていった。


「はぁ……大丈夫ですかお嬢様」

「いえ、助けていただきありがとうございます」

 私も王子の目を見ながらお礼を言い見事に他人を演じる。

 婚約者なんて誰にも分からないだろう。



「では、私はこれで。良き一日を」

 ライバ王子はそう言うと、また大きな円の中に入っていった。遠くからでもしっかりと見てくれているんだな。



「流石ライバ王子ですわ」

「それより、先ほどの話しをもっと」

「わ、分かりました」

 バスプラの事を話すと驚きや関心を込めた目でみてくれてうんうんと頷いている。このまま頑張れば交流を深められるかな。


「バスプラにはそんな愉快な方がいらっしゃるのね」

「田舎の方には行ったことがないので行ってみたいですわ」

「是非、案内しますよ」

 思ったより上手くいっている。

 しかし、交流する良い機会だったのにもう終わりの時間が来てしまった。



「とても楽しいお話でした。」

「また聞かせてください」

「こちらこそ、セルディアで分からないことがあったら教えてくださると嬉しいです。」

「えぇもちろんよ」


「ではご機嫌よう。」

 令嬢達に手を振ったあと、私は一人で馬車がある場所まで歩いていた。



「……?」

 なにか、茂みから視線を感じる。しかし、掻き分けてもなにもいない。


 そのとき

「……」

 静かに視線を送ってくる青年が後ろにいた。この人、確かパーティに。



「1回生の人ですか?」

 黒髪に片目を布で隠した男は静かに頷いて口を開く。


「お前の名は」



「私ですか?私はカラリア・ガベットです」

 そう言うと


「ガベット。」

「はい」

 男はそう呟くとすぐに去っていった。


「……??」

 なんだったんだろうあの人。不思議な人だ。

 名前も聞けて無かったし。


 ま、また会えるよね!



「ただいま!!」

「お帰りなさいませカラリア様」

 すぐに馬車に乗ると私は椅子に倒れこんだ。


「はしたないですよ」

「だって疲れたもん」

「はぁ、私だけで良かったですね。」

 ラナは目をつぶってくれたので、ゴロゴロと休むことが出来た。


 ――城

「今日は災難でしたね。」

「はい、ライバ王子がいなければ大変なことになっていたかもしれません。」

 王子は私が帰ってくるとすぐに駆けつけてくれた。



「あのベルって方は変にプライドが高いので気をつけてください。」

「知り合いなんですか?」


「はい、小さい頃はよく遊んでいましたよ」

 ベルは上級貴族だと言ってたから、王族との関わりもあるのか。



「まぁ、貴方の力を見ればきっと本物だと思ってこなくなりますよ。」

「そうですかね。」


「そうですよ。きっと皆さんもカラリアに惹かれるはずです。」

 ライバ王子は自信満々に言い切った。



「でも、渡す気はありませんから」

「っ……」

 学校であんなにキャーキャー言われたくせに、それはこっちの台詞だよ。


 でも、私のことをよく考えてくれるのはよく伝わってくる。



「では、また明日。例のものを楽しみにしてます。」

「はい」


 明日は自己紹介と自分の技術を見せるパフォーマンスの場がある。そこで私は半年練習したあれを見せるんだ。


 私はこの武器で学校を生き残ってやるんだから。

「よし!頑張ろうね皆」

「ワンッ!!」

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