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悪徳令嬢に仕立てあげられた少女は、この世界に抗い生きる。  作者: 大井 芽茜


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始まり

 ――ここはとある国

 中心首都セルディアから遠く離れた田舎町バスプラでとある少女はのんびりと暮らしていた。


「おはよう、おばあちゃん!!」

「あら、カラリア。また、来てくれたのねぇ」

「もちろんよっ、今日はなにをしたらいい?」

 私の名前は、カラリア・ガベット。

 普通の家で生まれ、普通の家庭で育った私は、いつも町の皆のためにある仕事をするのが日課だった。


 ――それは

「ぎゃふっ!!」

「クーン!」

「もう、こんな事をしたら駄目だからね?」

 大きな獣はゆらゆらと動きながら畑を荒らす獣を驚かせる。次第に、形は溶けていき水になって蒸発した。


「ありがとうカラルト。助かったよ。」

「いえ、困った時はお互い様ですよ」

 普通の家庭で育ったにも関わらず、私は魔力に恵まれていた。その恩恵を自分だけでなく、皆のために使うのが私にとって喜びだった。


 本来、魔力は高貴なものとされ、魔力を持ったもの同士の婚約により血は受け継がれていく。そして、セルディアに集まり貴族として生きていく。


 なぜ、魔力があったらセルディアに集まるのか?というと、魔力があればとある学習施設で研究や実技など自分の学を深め、成果を出す事で魔力を持っているものにしかできない価値のある仕事にありつける事が出来るからだ。


 例えば、国の護衛や研究所、国が持っている施設の運用など、どの仕事も安泰で暮らせるのが大きいんだと思う。でも、実力がない者は、仕事がないセルディアから出て行くしかなく町の長や探検者として生きる者も多いんだとか。

 よって、セルディアには強い魔力を持った実力者で、裕福な者しか集まらない場所になっている。


「ま、行くきなんて全くないんだけどね」

 私は、そう呟きながら畑から出ていった。


 私はたまたまお父さんの祖先に魔力を持った人がいたらしく、運良く使えるってだけだし。ちなみにお父さんは使えないから、本当に薄い血がたまたま出てきただけだろうな。


「これはトロル!? こんなに良いんですか?」

「えぇ。是非食べてちょうだい。助けてばかりじゃ申し訳ないしね」

「じゃあ、頂きます!!」

 私は、カゴに入ったしっかりと赤くて綺麗な丸の形をしたトロルを沢山貰って帰った。


「貴族になるより、こうやって生きるのが私には合ってる!!」


 私は手で小さな獣を作ってちょんとつつくとぶるぶると毛を振った。

「かわいいね、ワンコロ~」

「ワンっ」


 そして、手から離れてよちよちとついてきているのが私の相棒のワンコロだ。ワン!と鳴いてコロコロとした可愛さからつけた名前だ。

 小さいころに水から創造していると次第に心が宿り吠えるようになってしまった。


 どうやら私は、水と回復が出来るだけでなく、触れたものに心が宿るように動かせる力があるらしい。

 でも、数分触らないとその動きはなくなってしまうんだけど。



 この力は中々ないらしく、お父さんとお母さんは珍しそうに歴史の本をめくりながら「ない、ない!」と興奮していた。


「ただいまー」

「お帰り!! カラリア、もう外暗いでしょ?怖い思いしてない?」

「大丈夫だよ。お母さん。ワンコロと歩いていたから」

「ワンっ!」


 ワンコロは、お母さんの足元で頬を擦り付けている。

「カラリアをありがとうね、ワンコロ~よしよし。後でご飯あげるからね!」

「ワンっ!」


 嬉しそうに中に入るワンコロを見送り、今日もらったものをお母さんに手渡した。


「また、こんなにもらっちゃて~流石私の子ね。」

「えへへ。ね、ね。このトロルめっちゃ食べごろだよ」

「ま、本当にきれいね。よし、じゃあごはん作るから手伝って」

「はーい」


 私は、グツグツと煮込んだスープに切ったトロルなどのお肉や野菜などのもらい物を入れていく。


「ただいまー」

「お帰り、お父さん。ごはん出来るから座って座って!」

「ありがとうな~、いやー今日もくたびれたよ」


 お父さんの仕事は、この町に足りないものやこの地に売っていないものを他の地域から馬車で運ぶ仕事をしている。

 他の町には、場所を瞬時に移動できる人がいるけど、あいにくこんな田舎町にはそんな人はおらず、人力に頼るしかない。


「また、こんなに貰ったのか。」

「本当ね。おかげでお母さん、あまり買い物に行かなくてもいいし、どこに行ってもお礼言われるし、おまけ沢山貰えるし本当にありがたいわ。


「もう、その話聞き飽きたよ。早く食べようよ」

「そうね。」

 いつものように、おいしいごはんにありつける。それが私にとっての一番の幸せだった。



「なぁ、カラリア」

「なーに、お父さん」

 そういうと、お父さんは気まずそうにスプーンを置いた。


「二人で話し合ったんだけどさ、やっぱりカラリアはセルディアに行くべきだと思うんだ」

「えっ」

「私達もさみしいけど、カラリアの事を考えたらこの町から出て行った方が幸せなんじゃないかなって。もう15歳で魔力もあるんだし」


「いやだなぁ。二人とも、私はここがいいの。それに、町をでたら私なんてそこらへんの葉っぱみたいに弱いと思うよ。師匠とかもいないし。そんな世界でバチバチするより、私はここで暮らす方が安泰だと思うの。この町が好きだし」

「そう……?」


「それに、私の夢はお父さんの仕事を次ぐことだもん!!」

「カラリア……本当に良いのか?お金ならあるんだぞ?」

「そんなんじゃないよ。私はここがいいの!」

 そういうと、二人は静かにうなずきあった。



「なら、カラリアの意志を尊重するわ」

「あぁ、こんな事言って悪かったな」

「うん!」

 私は、片付けを終わらせると部屋の中に入ってベットにもたれこむ。


「はぁ、行くわけないじゃん。ここがいいのにな。どうせ行ったら田舎から来たと馬鹿にされるし、もし婚約とかされても困るし。都会行ったら何でもいいってわけじゃないじゃん」

 それに


 私は、ニヤニヤしながら水で作った箱に目を通す。

 4足歩行にクリクリした目、そしてこの小さな腕。トカビも相変わらずかわいいな。

 虫を小さな木の棒につけて渡すと小さな手で美味しそうに食べている。


「はぁ……最高っ。お母さんは怖がってたけど、こんなにかわいいのにな。きっと都会に行ったら女なのに~とか、はしたない~とか言われそうだし。自由に自然に囲まれていきるのが一番!」

「ワン!」

 そう。それが私にとっての一番の幸せなのだと私は強く思う事になる。

 もう戻れないのに。帰りたいのに。


 ――こんな事になるなんて

「おい、首都から王子達が来たぞ!!」

「……っ?」

 全てはあの日、あの人に出会った時から狂っていった。

読んでいただきありがとうございます。悪役令嬢ものは初めてなので少し粗があると思いますがこれから頑張ります。

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