表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話 生まれ変わったら、友達が欲しい……

新作を書いてみました!

他にも、『無限の魔女様、世界を旅する』を執筆しているので、そちらが完結するまで、ゆっくり目に書いていきます。( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧

 

 

 ――なんでなんでなんで!

 なんで私ばっかりこんな目に!

 

 現在、私、姉帯(あねたい)友愛(ゆあ)は、何人かの黒服に追われている。

 

 事の始まりは、怪しい話に乗ってしまったことだ。

 両親は典型的なクズで、遊ぶ金欲しさに、私の体を知らない男性に売る日々。

 そんな生活から逃げたいと思った私を、一体誰が責められようか。

 

 要は、お金があればいいのだろう?

 

「この鍵で、あそこのロッカーから荷物を取ってくるだけでいい。

 報酬は10万だよ。やる?」

 

 怪しいとは思った。

 でも10万円、それだけあれば二回か三回は春売から逃げられる。

 

「や、ります」

 

 この鍵さえ受け取らなければ、こんなに怖い思いをすることは無かっただろうに……

 

 ロッカーの中身は箱だった。

 中身が何かなんて、知りたくもない。

 ただ、言われた通りに動き、言われた通りの場所に運んだ。

 そうしたら、本当に10万円が貰えた。

 

「やった……こんな、簡単に」

 

 予定通りなら、まだまだ()()の最中だろう。

 帰るまでに時間はある。

 お札を一枚だけ取り分け、ファーストフード店に入る。

 親から投げ渡される、冷えてパサパサになったものでは無い、出来たての熱々なポテト。

 他にも色々、ジュースだって頼んでしまった。

 

「……美味しい。

 暖かいだけで、こんなに違うんだ……」

 

 暖かな食事はいつぶりか、自然と涙が零れ落ちる。

 

「普通の暮らし、したいなぁ……」

 

 ポロッと口から出た言葉は、喧騒にかき消される。

 美味しい食事はものの数分で無くなり、時間を潰すため、ゲームセンターに寄ることにした。

 外から見たことがあるだけの、別世界への入口。

 自動ドアをくぐれば、耳が痛くなるような音が聞こえてくる。

 

「うるさ……」

 

 そんな不快だった音も、すぐに慣れてしまい、両替してもらった小銭を手に、知らない機械で遊ぶ。

 クレーンゲームとか、レーシングゲームとか、シューティングゲームとか。

 全部が新鮮で、楽しい。

 ただ一つだけ、魔王と勇者が戦うゲームは少し嫌な気分になった。


 ――なんでこの魔物っていう生き物は、人間に殺されてばっかりなんだろう。可哀想……


 殆どのゲームは上手に出来なかったが、時間を忘れて熱中するほどに、強烈な体験となって脳裏に焼き付く。

 

 ――時間……時間!?

「ヤバっ!」

 

 辺りはもう真っ暗。

 高校生が出歩いていい時間では無い。

 

「こんな遅くなってたなんて……なんて説明しよう」

 

 真っ暗な道を若い女性が走っていたら、当然声をかけてくる人がいる訳で。

 

「君、高校生?

 こんな時間に出歩いてちゃダメだよ。

 ほら、家まで送るから乗って」

 

 ――警察……どうしよう、両親にバレたら後で何されるか……

 

 走っていた時以上に息が荒くなり、顔から血の気が引いていくのが分かる。

 

 ――助けてって言ったら、どうなる?

 注意するだけとかだったら、殺されるかも……

 息が、苦しい。

 

 喉からヒューヒューという、聞いたことがない音がしている。

 

「ちょっと、大丈夫!?

 とにかく座って、ゆっくり、そう。

 ゆっくり呼吸して」

 

 ――……パトカーに乗せられてしまった。

 もう逃げられない……このまま家に戻るのだけはダメだ。

  

 苦しかった息も整ったのだが、友愛はパトカーに載せられ、警察は無線で何やら喋っている。

 

「家まで送るから、場所、教えてくれる?」

「…………」

 ――ダメだダメだ、殺される。

 

 友愛がこんなに怯えるのには、理由がある。

 昔、客との行為が長引いて、帰りが夜遅くなったことがある。

 その時も、今日のように警察が家まで送ってくれたのだが、その後、両親から殺されるような目にあった。

 

 その時のトラウマが、根強く残っているのだ。

 抵抗できずに、暴行される恐怖が……

 

「家に帰りたくないの?」

「…………」

「親御さんから、何か酷いこととかされてるの?」

「……あ、の。

 わ、私のこと……守って、くれますか?」

「ッ!任せて、それが警察官の役目だからね」

 

 ――言って、やった!言ってやった!

 これでもう、嫌な目に合わなくて済む!

 

 開放された安堵とは裏腹に、涙で濡れた顔は、未だ恐怖に囚われているようだ。

 しばらく街中を走り、交番に到着すると、氏名や住所、両親に何をされたか等、矢継ぎ早に質問されるが、早く助かりたい友愛は全て正直に答えていった。

 

 そんな時だ。

 交番の外から、車が止まる音が聞こえる。

 親は車など持っていないのだから心配する必要など無いのだが、内心は、恐怖で冷や汗が止まらない。

 そして現実は、もっと酷いものだ。

 

「おー、やっぱここにいたか」

 

 交番に、四人の黒服の男が入ってくる。

 その瞬間、昼間にやった仕事(・・)のことを思い出す。

 

 ――で、でも、ここには警察がいるし……

 

 だが、頼みの警察官は、助けてくれると言った時の頼もしさは消え去り、酷く小さく見える。

 

「ね、ねぇ。助けてくれるんだよね?」

「…………」

「よく分かってんじゃん。

 この街で俺らに逆らう事が、どれだけヤバいかって」

 

 警察官は、俯いたまま一言も話さない。

 

「何でよ!?助けてくれるって言ったじゃん!!」

「さぁ、行こうかお嬢ちゃん。

 お前のせいでこちとら大損害なんだわ」

「ンッー!?」

 

 口を塞がれ、全身を押さえつけられて黒い車に放り込まれる。

 

 ――ウソつきウソつきウソつき!!

 助けてくれるって言ったのに!

 警察官の役目だって言ったのに!

 

 そんな悲痛な叫びは、ただの呻き声に変換され、誰にも届かない。

 そのまま黒服たちに囲まれ、車で知らぬ場所まで運ばれて行く。



 そして、現在に至る。

 このままだと死ぬより酷い目に遭う事は明らかなので、運転手に思い切り頭突きをかましてやった。

 

 車は壁に突っ込み大破。

 友愛は右脚を骨折したり、至ることろから血を流しているが、死に物狂いで何とか逃げている。

 今は赤黒く腫れている脚を擦りながら、どこか分からない建物の陰に隠れている。

 

 ――これからどうしよう。

 どこか病院。9万円も残ってるし、何とか


「みぃつけた……」

「ヒッ!?」

「逃げんなら、ちゃんと血の跡隠さなきゃなぁ」

 

 そしてまた、捕まった。

 もう動くとすらできないように、ロープとテープでぐるぐる巻きにされ、袋に詰められる。

 大破した物とは別の車に乗せられて、知らない街を進んでゆく。

 

 その後がどうなったか?

 言わなきゃダメ?分かるでしょ?

 ヤバいやつらに目をつけられて、捕まって……

 

 ちゃんと殺されたよ、お約束通り。

 でもまぁ、ちょっと死ねて良かったって思ってる自分もいるんだよね。

 あのまま生きてても、どうせ碌な人生にはならなかったと思うし……

 

 もし、生まれ変わりとかあるなら、次は友達と遊んだりできる、普通の人生がいいなぁ。

 あ、でも、もう人間は嫌だな。

 虎とかライオンとか、後は……なんだろ。

 とにかく人間とは無縁の生活がしたいな。

 ほんと、

 

 ――人間なんて滅んじゃえばいいのに……

 

『承認しました。

 最優先目標を、人間の殲滅に設定。

 魔物の製造を始めます』

 ――え?何、誰?

『おはようございます、マスター。

 製造する魔物の種類を選んでください』

 

 死んだと思ったら、頭の中に、変なことを言う変なのがいた。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ