第1話 生まれ変わったら、友達が欲しい……
新作を書いてみました!
他にも、『無限の魔女様、世界を旅する』を執筆しているので、そちらが完結するまで、ゆっくり目に書いていきます。( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧
――なんでなんでなんで!
なんで私ばっかりこんな目に!
現在、私、姉帯友愛は、何人かの黒服に追われている。
事の始まりは、怪しい話に乗ってしまったことだ。
両親は典型的なクズで、遊ぶ金欲しさに、私の体を知らない男性に売る日々。
そんな生活から逃げたいと思った私を、一体誰が責められようか。
要は、お金があればいいのだろう?
「この鍵で、あそこのロッカーから荷物を取ってくるだけでいい。
報酬は10万だよ。やる?」
怪しいとは思った。
でも10万円、それだけあれば二回か三回は春売から逃げられる。
「や、ります」
この鍵さえ受け取らなければ、こんなに怖い思いをすることは無かっただろうに……
ロッカーの中身は箱だった。
中身が何かなんて、知りたくもない。
ただ、言われた通りに動き、言われた通りの場所に運んだ。
そうしたら、本当に10万円が貰えた。
「やった……こんな、簡単に」
予定通りなら、まだまだ行為の最中だろう。
帰るまでに時間はある。
お札を一枚だけ取り分け、ファーストフード店に入る。
親から投げ渡される、冷えてパサパサになったものでは無い、出来たての熱々なポテト。
他にも色々、ジュースだって頼んでしまった。
「……美味しい。
暖かいだけで、こんなに違うんだ……」
暖かな食事はいつぶりか、自然と涙が零れ落ちる。
「普通の暮らし、したいなぁ……」
ポロッと口から出た言葉は、喧騒にかき消される。
美味しい食事はものの数分で無くなり、時間を潰すため、ゲームセンターに寄ることにした。
外から見たことがあるだけの、別世界への入口。
自動ドアをくぐれば、耳が痛くなるような音が聞こえてくる。
「うるさ……」
そんな不快だった音も、すぐに慣れてしまい、両替してもらった小銭を手に、知らない機械で遊ぶ。
クレーンゲームとか、レーシングゲームとか、シューティングゲームとか。
全部が新鮮で、楽しい。
ただ一つだけ、魔王と勇者が戦うゲームは少し嫌な気分になった。
――なんでこの魔物っていう生き物は、人間に殺されてばっかりなんだろう。可哀想……
殆どのゲームは上手に出来なかったが、時間を忘れて熱中するほどに、強烈な体験となって脳裏に焼き付く。
――時間……時間!?
「ヤバっ!」
辺りはもう真っ暗。
高校生が出歩いていい時間では無い。
「こんな遅くなってたなんて……なんて説明しよう」
真っ暗な道を若い女性が走っていたら、当然声をかけてくる人がいる訳で。
「君、高校生?
こんな時間に出歩いてちゃダメだよ。
ほら、家まで送るから乗って」
――警察……どうしよう、両親にバレたら後で何されるか……
走っていた時以上に息が荒くなり、顔から血の気が引いていくのが分かる。
――助けてって言ったら、どうなる?
注意するだけとかだったら、殺されるかも……
息が、苦しい。
喉からヒューヒューという、聞いたことがない音がしている。
「ちょっと、大丈夫!?
とにかく座って、ゆっくり、そう。
ゆっくり呼吸して」
――……パトカーに乗せられてしまった。
もう逃げられない……このまま家に戻るのだけはダメだ。
苦しかった息も整ったのだが、友愛はパトカーに載せられ、警察は無線で何やら喋っている。
「家まで送るから、場所、教えてくれる?」
「…………」
――ダメだダメだ、殺される。
友愛がこんなに怯えるのには、理由がある。
昔、客との行為が長引いて、帰りが夜遅くなったことがある。
その時も、今日のように警察が家まで送ってくれたのだが、その後、両親から殺されるような目にあった。
その時のトラウマが、根強く残っているのだ。
抵抗できずに、暴行される恐怖が……
「家に帰りたくないの?」
「…………」
「親御さんから、何か酷いこととかされてるの?」
「……あ、の。
わ、私のこと……守って、くれますか?」
「ッ!任せて、それが警察官の役目だからね」
――言って、やった!言ってやった!
これでもう、嫌な目に合わなくて済む!
開放された安堵とは裏腹に、涙で濡れた顔は、未だ恐怖に囚われているようだ。
しばらく街中を走り、交番に到着すると、氏名や住所、両親に何をされたか等、矢継ぎ早に質問されるが、早く助かりたい友愛は全て正直に答えていった。
そんな時だ。
交番の外から、車が止まる音が聞こえる。
親は車など持っていないのだから心配する必要など無いのだが、内心は、恐怖で冷や汗が止まらない。
そして現実は、もっと酷いものだ。
「おー、やっぱここにいたか」
交番に、四人の黒服の男が入ってくる。
その瞬間、昼間にやった仕事のことを思い出す。
――で、でも、ここには警察がいるし……
だが、頼みの警察官は、助けてくれると言った時の頼もしさは消え去り、酷く小さく見える。
「ね、ねぇ。助けてくれるんだよね?」
「…………」
「よく分かってんじゃん。
この街で俺らに逆らう事が、どれだけヤバいかって」
警察官は、俯いたまま一言も話さない。
「何でよ!?助けてくれるって言ったじゃん!!」
「さぁ、行こうかお嬢ちゃん。
お前のせいでこちとら大損害なんだわ」
「ンッー!?」
口を塞がれ、全身を押さえつけられて黒い車に放り込まれる。
――ウソつきウソつきウソつき!!
助けてくれるって言ったのに!
警察官の役目だって言ったのに!
そんな悲痛な叫びは、ただの呻き声に変換され、誰にも届かない。
そのまま黒服たちに囲まれ、車で知らぬ場所まで運ばれて行く。
そして、現在に至る。
このままだと死ぬより酷い目に遭う事は明らかなので、運転手に思い切り頭突きをかましてやった。
車は壁に突っ込み大破。
友愛は右脚を骨折したり、至ることろから血を流しているが、死に物狂いで何とか逃げている。
今は赤黒く腫れている脚を擦りながら、どこか分からない建物の陰に隠れている。
――これからどうしよう。
どこか病院。9万円も残ってるし、何とか
「みぃつけた……」
「ヒッ!?」
「逃げんなら、ちゃんと血の跡隠さなきゃなぁ」
そしてまた、捕まった。
もう動くとすらできないように、ロープとテープでぐるぐる巻きにされ、袋に詰められる。
大破した物とは別の車に乗せられて、知らない街を進んでゆく。
その後がどうなったか?
言わなきゃダメ?分かるでしょ?
ヤバいやつらに目をつけられて、捕まって……
ちゃんと殺されたよ、お約束通り。
でもまぁ、ちょっと死ねて良かったって思ってる自分もいるんだよね。
あのまま生きてても、どうせ碌な人生にはならなかったと思うし……
もし、生まれ変わりとかあるなら、次は友達と遊んだりできる、普通の人生がいいなぁ。
あ、でも、もう人間は嫌だな。
虎とかライオンとか、後は……なんだろ。
とにかく人間とは無縁の生活がしたいな。
ほんと、
――人間なんて滅んじゃえばいいのに……
『承認しました。
最優先目標を、人間の殲滅に設定。
魔物の製造を始めます』
――え?何、誰?
『おはようございます、マスター。
製造する魔物の種類を選んでください』
死んだと思ったら、頭の中に、変なことを言う変なのがいた。




