表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

様々な世界・世界の詩

音楽に満ちた世界

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その世界は、様々な音楽に満ちた世界だった。


 自然の音、生き物の鳴き声。人の歌声。


 音楽はそこら中にあった。


 だからその世界の者達は、音楽を愛して、想像し、創造して、奏でていた。


 歌を歌ったり、楽器で演奏したり。


 音楽は日々を彩るのに欠かせないものとなっていた。






 しかし、ある時。


 その世界から音楽が消え去ってしまった。


 それは音楽の神様が、悲しみに暮れたためだった。


 歌の神様や、楽器の神様と喧嘩したためだ。


 多くの者達は、どうにか音楽を取り戻そうと頑張った。


 しかし頑張れば頑張るほど、神様に怒られた。


「私の事よりも音楽の方が大事なのね」


 頑張れば頑張るほど、音楽の神様は、かたくなになっていく。


「あなた達に音楽を返したりはしないわ」


 しまいには、音の通過しない洞窟の中にこもってしまった。


 そのため、こんどは歌の神様や、楽器の神様を説得する事にした。


 彼等から歩み寄ってほしいと言ったが。


 しかし「私達は悪くないわ」と言うばかりだった。






 万策尽きた。


 そう思ったその世界の住民達はほとほりがさめるまで、大人しく音楽のない生活を過ごす事にした。


 しかしやはり不便だった。


 音のない環境は、音を知っている者達にとって地獄のようだった。


 とても長く過ごせるものではなかった。


 音楽どころか音もないため、生き物達は徐々に頭を狂わせていった。


 そんな中、初めから音のない世界で生きていた者達が、神様の元へ訪れた。


 彼等は、神様がなかなおりしても、音楽の恩恵に預かる事はできない。


 しかし、友人や知人や家族から音楽がなくなる事がどれだけ大変な事であるか知っていた。


「どうか音楽をこの世界にもどしてください」


 彼らの訴えに心をうたれた音楽の神様は、他の神様と仲直りして、再び世界に音楽を満たした。


「自分では味わえない世界なのに、どうしてそこまでできるの?」


 音楽の神様は元通りになった世界で、音を感じられない者達へ問いただした。


「それは音楽がすばらしいものだからです。音楽がすばらしいものだと、私の好きな人達が知っているからです。たとえ私がそれを知らなくても、素晴らしいものは世界から奪われてはいけないからです」


 それ以来音楽の神様は、他の神様と喧嘩する事はなくなったのだった。


 そして、音楽がその世界から消える事もなくなった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ