夢
初投稿しました。完全な素人なので拙い文章ですが、思うままに書いてみました。
徐々に更新していきたいと思います。
第1章 俺という人間とは
1章 俺という人間とは
[1]日常
何時からか、不思議な夢を見るようになった。
それは、どこか懐かしく、何かに包まれる様な安心感ある。
しかし、はっきりとその夢の内容は覚えていない。ただ、何となく覚えているのは
どこかの田舎の古い神社の境内、そして涙を湛えながら微笑む人。
その人は何かを言っているが、その言葉は覚えていない。
その人が俺の手を取った瞬間に目が覚めるのだ。
朝6時。天気は曇り空、寒さが堪える。俺は今日も出勤の身支度をする。
憂鬱な気分に苛まれながら電車に揺られながら、仕事現場へ向かう。車内はまだ出勤ラッシュの時間帯ではないので、人もまばらだ。いつもの同じ光景、浮かない周りの人の表情までも同じだ。現場へ着くと作業着に着替えて早速業務を開始する。
俺は警備会社に所属していて、都市部の有料駐輪場の見回りと清掃作業を行う。
一日に都市部の何カ所もの駐輪場を回り、同じ作業を行う。仕事としては単調な作業で 一日歩き回るので、仕事が終わるころにはかなりの疲労を感じる。アルバイトという立場なので、正直給料も安い。 だが、唯一この仕事の良いと思うところは、人とかかわらず 一人で仕事がほぼ完結するからだ。その点は俺の性格からして合っている。
俺は、昔から人付き合いというのが苦手で一人を好んできた。人の接触をなるべく避けようとする ものだから、コミュニケーションというものが上手くいかない。そういった事もあり、正社員の仕事や非正規の仕事にも中々ありつけなかった。その中でやっと就けたのが今の仕事だ。安定を求めて自分に合う正社員の仕事を今も探しているが、全く見つからない。友人も恋人もいたことが無い。日々、同じサイクルを繰り返し、孤独に生きている。「寂しいー・・・。」「つまらない・・・。」と呟きながら時間を浪費し、年を重ねていく。 それが俺という人間なのだ。
仕事が休みの日は唯一の趣味である歴史探訪をする。子供の頃から何がきっかけか忘れたが、歴史にどっぷりハマってきた。歴史探訪というのは、城跡や合戦場跡、神社、寺、その他歴史的建造物を巡るというものだ。何故、これが好きかというと過去と自分が繋がる感覚がするからだ。「歴史ロマン」というのだろうか。高揚と共に切なさや懐かしさを感じる。俺はこの感覚に魅了されている。それを探訪日記をブログに自由気ままに書き記す。ほぼ、誰にも見られていないブログであるが、同じ様な事を趣味とする人からの書き込みはちらほらとある。その書き込みに返信をし、やり取りするのが俺が人とコミュニケーションを取る時である。これが俺の楽しみだ。
[2]匿名さん
ある日の休日、いつものように歴史探訪のあと、ブログを更新した。3時間後にいくつかの 同志(同じ趣味の人達)からいくつかコメントが投稿されていた。 その中に一つ気になるコメントがあった。「匿名 あなたを探している」。
「何だこれ。気味が悪いな・・・。」と思わず独り言がこぼれた。ブログの記事には全く関係のない、他とは異質なそのコメントに寒気を感じた。 勿論、本名や住所、俺自身の写真は公開していないので特定される心配は無いが、そのコメントがしばらくその後気がかりだった。その後もいくつかブログを更新したがそういった異質なコメントの投稿は無く、そのコントの件は徐々に頭の隅に追いやられていった。
本格的な冬を迎えて、外仕事である俺には厳しい時期になった。冬の間は寒さと一日歩き回る仕事の疲労もあってか体調を崩しがちになり、趣味どころではなかった。体調を崩している時は一層「こんな時誰かがいてくれたらな・・・。」と寂しさ増すのだ。しばらく、ブログの更新も停止していた。
そして、冬が終わり春を迎えたころ、再び趣味に興じるようになった。今回は、福井県敦賀市にある金ヶ崎城跡を探訪することにした。ここは、度々歴史の舞台となった ところである。詳細は省くが南北朝時代、南朝方勢力が恒良親王と尊良親王を奉じてこの城に 落ち延びたが、北朝方勢力の足利氏によって攻め落とされた。その際、尊良親王は自害し、恒良親王は北朝方勢力に捕縛され、城兵300名も自害したという惨劇があった所である。そして、ここは戦国時代にも登場する。織田信長が越前の朝倉氏を攻め際、妹婿の浅井長政が、朝倉方に加勢し、挟み撃ちの危機に信長が陥った。配下の木下藤吉郎がここを拠点に殿を務めて撤退戦を展開したのだ。
駐車場から城の本丸を目指し、どんどん登っていく。 道は整備されているがはやり山なので 次第に息がきれていく。明るい陽射しの中、額に汗しながら、頂上の本丸跡に着くと絶景が広がっていた。 下は海と絶壁で、空が良く見える場所だった。ここは月見御殿といわれる建物があったらしくここから、非業の死を遂げた親王や兵士も月を見ていたのかもしれないと思いを馳せた。その展望を望める場以外は木々が生い茂っており、陽射しが遮られるので少し暗く感じた。いつものように高揚と切なさ、そして懐かしさである。この感情はがいつも沸々と湧き上がる。ただ、俺にもわからないのが懐かしさの正体である。この感情は一体・・・。本丸の少し下には金崎宮という神社があり、二人の親王を祀っている。俺は、本丸を下りこの神社も訪れてみた。いつも神社には深遠な空気が流れているように感じる・・・。ここは一層強くそういった同じような空気が漂っているように感じた。暫く、神社を見物しているとある女性がやって来た。服装からみるに20代前半に見える。だが、顔がはっきり見えないのだ。何故かその女性の顔が霞んで見える。「あれ・・・おかしいな」と目を擦ってみるがはやり霞んでいる。そして、女性が近づいてくると徐々に意識が薄らいでいく・・・。「あなた・・・・ます。」薄らぐ意識の中で女性が俺に何か呼びかけているのが聞こえたが、そのまま俺はその場で失神してしまった。
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