目が覚めるとそこには知らない……
身体がやけに重い……ここはどこだろうか。
ゆっくりと目をあけると知らない天井が広がっている。
ベットに寝かされているのか、柔らかくて、なんとも寝にくい。
顔の上にあるのは……プラスが僕の顔に抱き着くように寝ていた。
僕の身体の上には……なぜかノエルの足が乗っていた。
こんなことがあった前の時は橋の下だったな。
なんでこんな広いベットの上にノエルがいるのだろうか?
足をゆっくりとどかし、身体を起こすとちょうどドアが開き、カムロンが入ってくるところだった。
「起きたのか? もう少し寝ていた方がいいぞ」
「カムロン、あれからどうなったんだ?」
「あぁ無事にガフィルの悪事が暴かれた。聖女様もこの国に戻って来られることになった」
「聖女様?」
「あぁそうだ……お前の母さん……の親友だ」
「母さんの親友? 聖女様が?」
「詳しくは母さんから聞け」
「カムロンは本当に第三王子なのか? それなのになんでボットムに?」
「あぁ。俺が襲われている時にテルの母さんに救われたんだ。それで母さんは視力を失った」
「第三王子ならもっといい食事持ってきてくれれば良かったのに」
「テルの母さんに止められたんだよ」
「母さんに?」
「詳しくは母さんから聞け」
「そればっかりだな」
「いくら兄だと言ってもなぁ家族の問題に立ち入れないこともある」
カムロンはそれ以上話をする気はないようだが、僕のために果物の皮をむき僕に渡してくれた。本当に第三王子なのか?
それに、僕にはまだ疑問がたくさん残っていた。
「なんで僕に盗賊団のリーダーなんて言ったんだ?」
「どう考えても盗賊だろ? 俺はこの国の王子だが、税金だと言って街の人間から無理矢理金を奪い、貴族は贅沢な暮らししかしない。この国のために使われる金なんてほんの一握りだ。これを盗賊と言わずになんていうんだ?」
「だから……」
「そう、この国で一番の盗賊団だろ?」
カムロンは今までと同じような笑みを浮かべた。
「頼むぞ、魔法騎士様」
「へ?」
「これからは俺のため、この国のために戦ってもらうからな」
「俺が? 騎士はもうクビになったんじゃないの?」
「あぁそうだな。秘密の入り口を使って忍び込んできたわけだからな」
僕はラキの情報から城の中に入る隠し通路を知った。
なぜそれをカムロンは知っているのだろう?
「それは……たまたま見つけて……」
「たまたまねぇ。まぁそういうことにしておくか。それはそうと、命の恩人の俺にお兄ちゃん助けてくれてありがとうって可愛く呼んでくれてもいいからな」
カムロンはいつものふざけた調子で言ってきた。
なんとも、僕はこの豪華な部屋が気になっていつもと同じようには返せなかった。
「誰もそんなの呼ばないよ。この……バカ兄貴」
「えっ? 今なんて言った? ちょっと、もう一回」
「あぁーなんも言ってない」
「いいだろ? 減るもんでもない。もう一回、バカ兄貴でいいから」
「あぁーもうしつこい。それより母さんはどこにいるの?」
「母さんは……今聖女様と会ってるよ。そのうち会えるさ。おっと、まだ楽しくふざけていたいけどそろそろ時間だ。お兄ちゃんって練習しておくんだぞ」
「絶対いや。ありがとう……カムロン」
「おう!」
それから僕たちはまた日常へと戻っていった。
ソレーヌの教会は新しく立て直させられた。
母さんは聖女様の魔法で視力を回復させてもらった。
どうやら本当に親友らしいけど……昔はあれほど、騎士団の話をしてくれたのに、急に話をしてくれなくなった。どこまで母さんの話が本当なのかはわからないけど、僕の母さんは母さんだ。
ノエルは王国騎士団をそのまま辞めてしまい、なぜかうちで居候して母さんと毎日剣の修行をしている。
カムロンは自分の騎士団を作り……そして僕は……