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僕は魔法剣士になれますか?

「テル、あなたには魔法の才能があるわ」

「ノエル、お世辞を言ったからって部屋の修理代まけてあげないからね」


 僕はあれから魔法を使いまくり、そこら中をきれいにしていった。

 途中で川の水もきれいにしようかと思ったけど、どんなに頑張っても上流が汚れているせいで無理だったので諦めた。


「ねぇノエル? 僕ってもしかして魔法も使える剣士になれたりするのかな?」

「魔法剣士ってこと?」


「そう! それ! 魔法も使える剣士ってとてもカッコいいと思うんだ。僕にはできないことが多いから色々なことができる、魔法剣士に憧れるんだ」


「テルには魔法の才能はあると思うわ。でも騎士になるためには剣の修行も必要よ。憧れを現実に落とし込んで努力することが大切よ。まずは剣の腕を磨くことかしらね」


「それならよかった。僕は剣だってそれなりなんだからね!」

「テルは剣もね……」

 ノエルはあまり信じてはいないようだった。


 僕が剣を使えると言ったからか、ノエルが近くに置いてあってボロボロの剣を持ち、立ちあがったがすぐにフラフラとよろけてしまった。


「大丈夫!?」

「まだ本調子じゃないみたい。手の握力も戻ってなくて。いつもなら、すぐに回復するのが私の取柄なんだけど」

 ノエルはそのまま両手を握ったり、開いたりして何かを確認している。


「無理は良くないよ」

「また別の出会い方なら、私がしっかりと教えてあげられたのに残念ね。テルなら魔法の才能があるから今からだって魔法剣士だって目指せたと思うのに」


「母さん、ノエルが僕の剣の修行を見てくれる代わりに家の修理代値切ろうとしてるよ」

「本当ねぇ。テルが可愛いのは認めるけど、いくら褒めたところで安くはできないわね」


「そういうつもりじゃないですよ、ちゃんと家も修理します」

 僕たちはみんなで顔を見ながら笑いあった。


「そうだ、教会へ行く前に少し買い物に行っても大丈夫ですか? 護身用に自分の剣が欲しくて……」

「いいわよ。どうせボットムの人間たちは他人に興味なんてないんだからね。ただ、できるだけ目立たずに早めに帰ってきなさいね。テル護衛としてついて行ってあげなさい」


 そう言った後に母さんはノエルに聞こえるように小声でこういった。

「ノエルが逃げないようにしっかり見張るのよ」

 そう言ってウィンクしてきた。


「わかったよ」

 母さんは僕と二人だけの時よりも、かなり元気になった。

 いつも家の中で寝ていることが多かったが、こうやって昼間に外にでているだけで僕は嬉しかった。


「逃げませんから!」

 母さんの笑顔を見たのはいつぶりだろう。

 久しぶりに僕たちの顔に笑顔が戻ったのが嬉しくて仕方がなかった。


「わかっているって。あっノエル、このローブ使って。カムロンがノエルにって置いていったんだ」

「ありがとう。これなら目立たずにすみそうね」


 彼女はその場でローブを羽織ると一気にボットムの住民らしくなってしまった。

 これでフードをかぶっていれば、王国騎士団にでも出くわさなければ見つかることはないだろう。


 僕はそのローブもクリーンの魔法をかけてやる。 

 先ほどまでうす汚れていたのが、一瞬で新品のような手触りに変わった。

 元々の製品としてもいい素材を使っていたようだ。


「テル、ありがとう。それじゃ買い物へ行きましょうか」

 僕は普段、あまり買い物をしたことがないので非常に楽しみだった。

 今日はどうどうと商品を見ることができる。

テル「僕……魔法少女に……」

ノエル「それは色々な意味で違うと思う」



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