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激闘! VSちょんぱさん 第二ラウンド ①

「ならぬ、この先は私が委任したウェイランドの有志のみで制圧を行う」


 首相のライゼンは憔悴しつつも議会の正面玄関で衛兵たちを止めていた。

 黒い着物を着た夜音は玄関までライゼンを運んで、本来面会に来るはずだったウェイランドの秘書官。弥生と少し話した後忽然と姿を消してしまった。


 その後は弥生が今回の黒幕である金髪の青年、ちょんぱさんを倒して捕縛するために精鋭を揃えて人払いをしたことを話したのだ。


「しかしこのままでは!」


 衛兵の一人がライゼンに食い下がる。

 先ほどから響く轟音と議員会館から吹き上がる炎と黒煙を見て言いたい事をライゼンは分かっていた。


「議員会館が崩壊しますよ!?」

「わかっている!! だが、相手はウェイランドで多大な犠牲を出した死霊使いだ! 建物などくれてやれ! 見よ、ウェイランドの監理官であるオルトリンデ監理官とその次席、ここにいる秘書官の弥生殿の連名で議員会館、王城の被害を補填するとの書状だ!」


 ばっと弥生がライゼンに渡した書状には『確かに壊れてもこっちが直しますのでちょっと大暴れしても許してね?』(要約)が明記されている。

 それに死霊使いは周りの死体から際限なく手駒を増やせるので少数精鋭が最も適していた。


「えっと、いっそ新築でも良いですか?」


 それまでライゼンに衛兵たちの相手を任せていた弥生が急に発言する。

 その視線の先には夜音に背負われてぐったりしている精鋭の一人、牡丹だった。


「……何をするのか聞いておいてもよろしいかな? 弥生書記官」


 ライゼンが嫌な予感を感じて弥生に問いかけると……


「ちょっと手強いっぽくて、建物ごと焼き払う計画です」


 にぱぁっと満開の花束のような笑顔で弥生が断言した。

 混じりっ気無しの本気がそこにはあった。


「誰か一人でも離脱するようだったら三連続の『魔法』『邪竜族のちょっと本気ブレス』『魔法大国ミルテアリアの最強魔法士の全力魔法』が来ます」

「うそん」


 衛兵も、ライゼンも、周りに集まりつつあった自警団も……みんなみんな静かになる。


「夜音ちゃーん! どんな感じ?」


 ぱたぱたと草履を鳴らして牡丹を背負った夜音が駆け寄ってきた。

 牡丹の状態は結構ボロボロではあるがすぅ、すぅ……と穏やかな寝息を立てている。これなら大丈夫かと弥生はちょっとだけ安心する。


「無理無駄無意味ね……あのちょんぱ、改名してゾンビちょんぱになったからよろしく」

「語呂は良くなったけど、やっぱり焼き払う?」

「もうちょい洞爺とエキドナ、キズナンが粘るって……真司に怪我を治してもらったら牡丹も戦線復帰するから連れてけって」

「大丈夫なの?」

「さあ? どう考えても50回くらい死んでるような状態なのにピンピンしてるからそろそろGZ(ごき〇りゾンビ)ちょんぱって再改名しそう」


 うーん、と腕組みをしながら弥生は悩む。

 現場指揮はエキドナが行っている。それは正しいのだが……今回の作戦を一から十まで組み立てたのは実は弥生である。

 絶対に深追いしない、万が一の時は夜音の怪異で逃げたりなど。何重にも及び安全策を講じて今回戦うことを決めた。


「んーとりあえず牡丹さんが復帰したらみんなに伝えてほしいかな。これ以上の深入りはダメ絶対。プランZやっちゃいますって」

「……決断早いね弥生」

「なんか無理っぽいし、そろそろ集中力切れるかもしれないし、一発ドカンと」


 建物に思い入れがある人には悪いけど。

 と前置きして弥生さん両手を天に向けてぱっと開く。


「おっけー、んじゃあ私牡丹を真司の所に連れていくね」

「はーい。あ、ライゼン首相。この中に回復できる魔法や手当てができる方はいませんか?」

「居る事には居るが……気休め程度にしかならぬかと」


 そうライゼンが言うと周りの衛兵が一斉にライゼンに注目する。

 実はちょっとした回復魔法が使えるライゼンだった。


「お願いしてもいいですか?」

「ああ、構わない」


 夜音がライゼンのほうへ進むといきなり牡丹が目を覚ます。そのままライゼンを一瞥して……。


「……却下、若い子が良いわ」


 そしてまたぱたんと脱力して寝息を立てた。


「弥生、このまま上に牡丹連れてって良い? 元気よこいつ」

「い、一応怪我人だから」


 ほわほわと右手に魔力を貯めて光らせているライゼンがちょっと可哀そうになった衛兵さん達は一斉に「ライゼン様はお優しい!!」とか、「いやあ、寝不足とここまで走ったせいで足がつらいんです。回復していただけないでしょうか!!」等とまあ、慰め始める。


「じゃあ、これ真司の所に連れていくね」

「うん、真司の所にはルミナスが居るから送りは任せていいと思う」

「らじゃ、あ、分体やられた……」

「夜音ちゃんの方が心配になりそうだよ……」

「私はほら、一応人外だしこれくらい平気平気」


 夜が深まるにつれて夜音は調子が上向きになっていく。

 怪異という位だから夜に向けて強くなると全員で感心したものだが、本当の理由は……


「基本ネトゲのために夜型だからとか言ってたよね?」

「体が分けられるのは強みね」

「はいはい……と、そろそろかな」


 もうじき追加投入される戦力は今空の上だった。


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