弥生のお仕事ベルトリア共和国編 ②
「エキドナ達が捕まった」
黒く刈り上げた髪を撫でながらクワイエットは簡潔に知りえた情報を弥生に伝えた。
「でしょうね」
遠い目をしながら弥生はそれに答える。
真司も文香も同じように虚空の果てを見ていた。
「クワイエットさん、なんでこうなったのかな?」
「そりゃあ、洞爺とエキドナが衛兵の詰め所で大暴れしたからだな……死人が出なかっただけマシとしか言いようがないなぁ」
ミルテアリアを経由してベルトリア共和国入りした弥生達が……現地の統括ギルド連絡員から伝えられたのはエキドナ達の牢屋入りだった。
即座にクワイエットさんが裏を取りに丸一日かけて奔走、分かったのはなんとエキドナと洞爺が本当にベルトリア共和国の衛兵さんを襲った事実。
「これってどうなるのかな?」
「エキドナおねーちゃん……怒られてるの?」
「そうねぇ……」
オルトリンデ御用達の宿はとても広かった。
弥生達が三人で泊まるだけではない……そもそも合流やキズナをかくまったりするのにも使うことを想定している。
「一度ウェイランドへ戻る事を提案する。場合によっては弥生、君らの安全が確保できないからだ」
「却下で」
「弥生!?」
「クワイエットさん、姉ちゃんが言い切ったらもう無理だよ。あきらめて一蓮托生かクワイエットさんだけ戻るしかないよ?」
「さすが弟、分かってるわね」
「おねーちゃん、文香どうすればいい?」
「文香は僕と一緒に姉ちゃんのお手伝い」
「はーい!」
そうと決まれば弥生の行動は速い、持ち込んだ紙を広いテーブルに出して即席の作業机とする。
躊躇いなくインク壺に愛用となったガラスペンを浸し、さらさらと何かを書きだし始めた。
その速度は隣で見ているクワイエットですら目で追うのがやっとなほどの筆記速度で今の問題点、解決方法とその期限、何が必要なのかをあっという間にまとめていく。
「真司君、文香ちゃん! 弥生秘書官!! だめだ、万が一の時には強制的に要人保護のため行動することも私には許可されている!! これは統括ギルドの決まりなんだ」
「クワイエットさん」
「何かね?」
「ごめんなさい、見逃してください」
「……それは卑怯じゃないかな? こんな所誰かに見られたら私が悪者だ。少女の土下座とか最大級の暴力だ」
――キラン!
真司と文香も即座に姉の両脇をかため、一糸乱れぬ土下座3きょうだい!!
「ちょ!?」
クワイエットはうろたえている!
「「「おねがいします!」」」
3きょうだいの土下座でお願いだ!
「ぐ、ぬぅ……」
効果は抜群だ!!
クワイエットはなやんでいる!!
「姉ちゃん!! 君に決めたっ!」
「何なら脱ぎます!!」
弥生の一肌脱ぎます! だ!!
「あ、それは良いんで。俺大きいのが好みなので」
クワイエットがスンっとした!
効果はなかった!(あってたまるか)
「じゃあどうすれば!?」
弥生は開き直った!
「いえ、もう何言っても無駄だと思うので自分頑張ります。はい」
クワイエットはこれ以上のダメージを負わないためにだきょうした!
「よし、じゃあ改めて作戦よ!!」
「さすが姉ちゃん、なし崩しに巻き込んだね」
「クワイエットおにー……おじさんありがとう!!」
3きょうだいは気持ちを切り替えた!
「おじさん……おじ……俺まだ20代……」
文香の効果は絶大だ!
クワイエットは四つん這いで人生を儚んでいる!
「で、どうしようか? フィヨルギュンさんは二日酔いでお昼まで起きてこないだろうし」
顎に手を添えうーんと考え込む弥生、まず実際の状況から推測するために合流するなり酒場で飲んだくれてしまったフィヨルギュンを放置して暴れた場所か。本人たちに面会に行こうと考えを口にする。
「姉ちゃん、エキドナ姉達に会いに行こうよ」
「文香も会いたい~」
なんだかんだと心配なのねと弥生がほっこりしていいわよ、と口にした瞬間。
「エキドナ姉の弱みゲット!」
「洞爺おじいちゃんにお菓子かってもらうのー!」
……ちょっと教育方針間違ったかな?
弥生もクワイエットの横で仲良く崩れ落ちたのだった。
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