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短編小説

タイミング

作者: とり
掲載日:2020/08/01

 




(あ。電車(でんしゃ)来た)


 F(エフ)田(た)さんは、椅子(いす)で待とうとしてやめた。

 プラットホームにある、四(よっ)つ連結(れんけつ)しているタイプの待合用(まちあいよう)の座席で、となりにはもう一人、若い男が座っていた。


 朝の【快速急行(かいそくきゅうこう)】に乗って、大学に向かう。

 冬(ふゆ)の寒(さむ)さは、ぎゅうぎゅう詰めの車内に入(はい)るなり消えた。


 授業を終(お)えて、F田さんは自宅に帰ってきた。

 リビングのテレビを点(つ)けて、夕方(ゆうがた)のニュースを見る。


 通学に使っている駅(えき)が映(うつ)っていた。

 現場(げんば)には血の跡(あと)がビシャリと付(つ)いている。


 殺人(さつじん)事件があったらしい。

 犯人(はんにん)は既(すで)に捕まっていて、それは今朝方(けさがた)、F(エフ)田(た)さんのちょうど隣(となり)にいた男だった。


 彼は犯行(はんこう)の動機について、こう語(かた)っている。


 『次に自分(じぶん)の横(よこ)に座った人を、刺そうと思っていたんです』





 ※この物語(ものがたり)はフィクションです。


 読(よ)んでいただき、ありがとうございました。



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