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第二十八章 トンの町 3.オーク

 さて、どうやって狩ろうか。今の僕なら多分、一対一(サシ)の戦いで負ける事は無い。けど、五匹に連携されたら正直言って面倒だ。やつらが離れた位置にいるうちに、数を減らすのが正解だよね。なら、初手はクロスボウだ。五匹の中の一匹だけが、武器ではなく杖を持っている。雰囲気的に魔法持ちじゃないかな? なら、あいつを先に片付けよう。その後は……近寄られる前に投石紐(スリング)で順に(たお)すか。


「シル、魔法持ちらしいのをクロスボウで狙うけど、仕留め損なったら防御の方をよろしくね」


 そう言うと、シルは任せろと言うように(うなず)いた。……シル、【聴耳(ききみみ)()(きん)】を貰ったんだから、(しゃべ)ってくれてもいいんだよ?


 どうやら無口な性格らしいシルに守りを頼んで、僕は杖持ちのオークに狙いを付ける。充分に射程内だし、位置取りもいい。急所の延髄(えんずい)が丸見えだ。


 クロスボウのボルトは狙い(たが)わず延髄(えんずい)に命中し、杖持ちのオークは光となって消えた。何かインフォが来たみたいだけど、構っている暇はない。すぐに投石紐(スリング)を取り出して、混乱しているオークの一匹に狙いを付ける。……今度も頭に命中して、二匹目のオークも光に変わった。


 さすがに立て続けに二匹も片付けるとこちらの居場所もばれたみたいで、何か喚きながら残った三匹がこっちに駆けてくるけど……遅いな。もう一匹やれるかな?


 三匹目どころか四匹目にも投石を当てる事ができたけど、クリティカルにはならなかったみたいだ。ダメージを与える事はできたけど、まだ生きている。ま、(うずくま)ってるみたいだし、当座の戦闘能力は奪ったかな?


 真っ赤になって頭から湯気を立てて向かってくる残り一匹に対して、【ウェイトコントロール】を発動させて杖を構える。投石一発で沈む相手だから【ウェイトコントロール】で体重を増やす必要は無いかもしれないけど、念のためだ。


 剣を振りかぶって何か(わめ)きながら迫ってくるオークの間合いの外から、二倍になった体重を乗せた突きを喉笛に撃ち込んでやると、あっさりと光になって消えていった。さて、残る二匹を片付けるか。別に近づく必要もないので、遠間からクロスボウで留めを刺して終わりにする。警戒スキルで周囲を探るけど、他にオークがいる気配はない。さて、ドロップ品を回収するか。


 オークたちのドロップ品と冒険者の遺品である槍を回収して先に進む。オークたちが(たむろ)していた場所まで来たけど……オークが狩ったスラストボアの屍体はそのまま残るのかぁ……。これも一応回収だね。さて。


「依頼は北のフィールドの状況調査だけど、オークがいるのを確認しただけじゃ依頼達成にならないよね。もう少し先に行くけど、いいね? シル」



 懐の中で悠然と構えているシルから同意を得た後で、シュウイは先に進む。ちなみに住民(NPC)の冒険者なら、ここで迷わず撤退したであろう。何しろ自分が死んだ場合には、オークに関する情報をギルドへ知らせる事ができなくなる。万一を考えると分の悪い賭であった。しかし、死に戻りという形で町へ最速で帰還できる「異邦人(プレイヤー)」にとっては、先へ進む事こそ正解である。ギルドマスターはこのような点も考慮した上で、調査隊を「異邦人(プレイヤー)」主体で編成していた。



・・・・・・・・



「オークの村……というには規模が小さいかな? 駐屯地って感じだね」



 警戒系のスキルを最大限に上げて草原をゆっくりと進んでいたシュウイであったが、スキルが森の方に何かあることを報せてきたため、そちらへ進んでいった。そこでシュウイが目にしたのは、二、三十匹程度のオークが(たむろ)する居留地であった。ただし、そこにいるのは武器を持った成体ばかりで、子供の姿は見えない。住居と言うにはお粗末な掘っ立て小屋しか無いところを見ると、出来て間もない(きょう)(とう)()という感じだろうか。



 シュウイは拠点の様子をしっかりと記憶すると、座標をマップ上に記録した上で、静かに撤退を決めた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 軽く違和感があって調べてみたけど、延髄が丸見えってどういう状況? ゾンビみたいに肌の一部が爛れ落ちてるってこと?
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