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第百五十七章 篠ノ目学園高校 1.放課後@ファミリーレストラン「ファミリア」~開幕~

 教室に居残っての補習ばかりじゃ息が詰まる――と、(あかね)(たくみ)が言い立てたため、本日は試験勉強を済ませた後に、久々にファミレスへとやって来ている四人組。

 慣れぬ勉強のストレスを食事で発散しているのだろうが、それが精神の安定に寄与しているのなら安いものだ。どうせ払うのは本人だし。


 夕食前にモリモリと健啖(けんたん)ぶりを発揮した事には誰も触れず、食後の優雅なドリンクタイムの中で、(しゅう)(いち)に対する喚問……もとい、事情聴取が幕を開ける。

 とは言っても、最初は(たくみ)(かなめ)が前座を務めて、ナンの町の状況報告から始まるのだが。



「へぇ~、王都の商人たち、温和(おとな)しくしてるんだ?」

「あぁ、今のところは――だけどな」

「さすがに復興支援を(おろそ)かにまでして、素材供給者の()(じょう)を嗅ぎ廻るのは、体裁(ていさい)が悪過ぎると考えたんでしょうね」

「本音はどうあれ建前(たてまえ)は、復興支援の先遣隊だもんね」



 「マックス」と「ワイルドフラワー」だけでなく、シュウイの事情をそれとなく察している冒険者ギルドの職員や、「黙示録(アポカリプス)」の要請を受けた「ラビット・パーティ(うさぎさんチーム)」と「ハンティング・フォック(きつねさんチーム)ス」も、()()()く目を配ってくれているらしい。

 もしも王都勢が訊き込みに動き出すようなら、これらに加えてタコ平(あそびにん)が情報の攪乱に動く予定になっていると聞いては、蒐一(シュウイ)としても恐縮・感謝するしか無い。



「気にすんなって。(しゅう)はその分、情報の提供を頑張ってくれりゃいいからよ」

「そうね。幸か不幸か(しゅう)君の情報は、攻略に直接関係するようなものでもないみたいだし、(おおやけ)になっても反撥(はんぱつ)は、そこまで大きくないでしょうね」

「だといいんだけど……」



 この後に「ペンチャン村の特殊ポータル機能」などという、チートなのかそうでないのか判断しにくいネタを明かさねばならない身としては、(いささ)か肩身が狭いのも事実である。



「ま、要らん面倒を背負(しょ)い込むつもりは無いから、俺たち『マックス』は予定どおり、新食材の開拓に出かけるつもりだけどな。『ワイルドフラワー(そっち)』はどうすんだ?」

「一度に消えたら示し合わせていたみたいで不自然でしょう? 余計な関心を引きたくないし、治療所からももう少し滞在してほしいって言われてるから、少し間を開けて移動するつもりよ」



 下手にナンの町に居残っていたら、「幻の素材採集人(シュウイ)」の正体を曝くのに血道を上げる王都勢に絡まれる(おそれ)がある。面倒を避けるためにも、さっさとナンの町を離れようというのが既定の方針であったのだが、



「あ、それちょっと待って」



 ――などと、当の蒐一(シュウイ)が口を挟んだものだから、その場の雰囲気は(にわか)に緊迫感を(はら)んだものとなる。



「あ、いや……出発の予定を変更する必要は無いんだけど……あ~……詳しくは後で話すから」

「お、おぅ……」

「お行儀良く待っていた方が良さそうね……」

「ワクワク♪」



 どこか(ひる)んだ様子の(たくみ)、憂いを秘めた溜息を漏らす(かなめ)、そして期待に顔を輝かせる(あかね)――と、三者三様の反応を浮かべつつ、(しゅう)(いち)の説明開始を待つのであった。

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