表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
872/894

第百五十六章 ペンチャン村滞在記(十日目) 2.村の婚礼(その2)

 気を取り直したらしきモックを連れて、シュウイたちは宴会の場に向かった。振る舞い料理に舌鼓を打ちつつ廻っていると、幾つかの露店に人が(たか)っているのが見える。見れば店主は村人ではなく、カンチャン村からやって来た本職の(てき)()だという。訊いてみれば彼らだけでなく、婚礼というので近在からも祝い客がやって来ている(よし)

 ちなみにカンチャン村からは、好い機会だというので原石の買い入れ担当者も来村しているという。



「へぇ、そうなんですか」

「あぁ。こう言っちゃ何だが、婚礼なんてのは騒ぐための恰好(かっこう)のネタだからな」



 ――などと身も蓋も無い事情もあれど、新婚の二人を祝う心情に偽りは無いそうで、これくらいは神様も大目に見て下さるのだという。



(「まぁ、地域経済の活性化にも役立ってるみたいですし」)

(「その辺りも呑み込んだ上での、古くからの慣習なんだろうね」)



 ――と、まぁそんな感じで、縁日と言うには小規模なそれを熟々(つらつら)眺めていると、射的や球転がしなどに交じって(くじ)()きの露店があった。子供向けの玩具(おもちゃ)ばかりかと思っていたら、豈図(あにはか)らんや、



(「大人向け……と言うか、玩具(おもちゃ)以外の(くじ)もあるんですね」)

(「あ、大当たりは結構値打ち物みたいですよ」)

(「どうせ当たんないんだろうけど……記念にやってみる?」)



 当たり外れは別にして、この手の(くじ)にワクワクさせられるのは、古今東西リアルとヴァーチャルを問わず世の常、いや真理である。



(「ガチャ要素が無いっていう声もありましたけど……」)

(「こんな形で実装されてたんですねー」)

(「いや……プレイヤーが期待してるガチャって、スキルとかアイテムとかが落ちるやつじゃないの? 幾ら何でも……」)



 子供の遊びみたいな(くじ)()きで、スキルだのアイテムだのが落ちたら大事(おおごと)だろう。流石(さすが)にこれは違うと思うが、



(「でも、こんな形でガチャ要素が実装されてる可能性はあるんじゃないですか?」)

(「高級ガチャとか、他のどこかにはあるかもしれませんし」)

(「まぁねぇ……」)



 何はともあれ、ここは一つ運試しをしてみるべきか。

 まぁ、(はた)で見ている限り、景品は微妙なものばかりのようだが。



(「お守りの蹄鉄って……あるんですねぇ……」)

(「だけど、ちょっと大きくない? アレ」)

(「模造品なのか、それとも実際に、あんなデカい蹄鉄を着ける馬がいるのか……」)

(「軍馬とか、(じゅう)(ばん)()とか?」)

(「ちょっと気にはなりますね……」)



 程良く好奇心と射幸心(しゃこうしん)(あお)られた事だし、各人一回くらいはやってみようと話が(まと)まる。シュウイも態々(わざわざ)ジョブを「遊び人」に変えて挑戦してみる事にした。

 その結果、シュウイとモックが引き当てたのは、



「……サルノコシカケ……かな?」

「僕のは鳥の羽根みたいですね。……綺麗ではあるんですけど」



 まぁ、別に厄介物という訳でもないし、話の種にはなりそうだ。エンジュは何を引き当てたのかと見れば……



「……何だろこれ? (ふる)()けた地図みたいな……『鈴の谷』……?」

「「――鈴?」」


 「鈴」と言われて()ぐに「()(すい)の鈴」を連想するくらいには、モックもシュウイもその単語を気に留めている。なのでこの時も即座にエンジュの傍へ寄って、脇からその「地図」を(のぞ)き込んでみたのだが、



「……確かに『鈴の谷』って書いてあるね。……標題かな?」

「地形図ですよね。……『磐座(いわくら)』って書いてある下に×印がありますけど……」



 見れば見るほど「宝の地図」に見えてくるが……これは()供騙(どもだま)しのネタ商品なのか?



「そうは見えませんけど……本当に古いもののようですし……」



 これは店主に訊くのが早道だろうと訊ねてみたが、返って来た答えは――



「……あ? 宝の地図ってやつじゃねぇのか?」



 ――という、(こころ)(もと)()いとも心強いとも判じかねるものだった。

 店主の宣言するところでは、どこで手に入れたかは定かでないが、少なくとも自分がでっち上げた(まが)いものではないという。



「覚え書きってぇか覚え描きってぇか……そこに何かがあんのは確かなんだろうよ」

「ただ、〝それ〟が何なのかは判らない――と」

「そういうこった」


作品違いながらご報告を。

1巻発売中のコミカライズ版『転生者は世間知らず』ですが、電子単行本2巻の発売日に関しまして確認がとれましたのでご報告いたします。

10月17日(金)から先行配信、11月14日(金)から全書店配信となるようです。

どうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
舌ではなく舌鼓を打ったのではないかと……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ