第二十五章 篠ノ目学園高校(水曜日) 1.昼休み
定例となった屋上での昼休みのお食事会、今日の参加者は僕を含めた四人、フルメンバーだ。要ちゃんも参加している。
「それで、皆の方は何か面白い事はなかったの?」
毎回僕ばっかり槍玉に挙げられるのは納得がいかない。たまには三人の方の状況を聞かせて貰わなきゃね。
「いやぁ……別に特記事項はないぞ?」
「普通に依頼と狩りをこなしてただけだよ~?」
「その普通って、どういうのさ?」
「あぁ、蒐君は普通のプレイって解らないかもしれないわね」
「……何が言いたいのさ? 要ちゃん」
思わずジト目で睨んだ僕は悪くないよね?
「まぁ……俺たち『マックス』は、昨日は討伐依頼を受けて、マーブルボアを狩ってたな」
「あ~、ボア系のモンスターは、突撃を躱した後で脚を引っかけてやると盛大にすっ転ぶから、火力さえあれば美味しいよね~」
そう言ったら、なぜか三人とも微妙な顔をした。僕、間違ってないよね?
「間違ってはないかもしれないけど……」
「蒐、普通はマーブルボアをつっ転ばすなんてやらないからな?」
そうなの?
「皆が皆、蒐君みたいなスキルを持ってる訳じゃないから」
え? ……【土転び】が無くても、丈夫な杖とか網とかを足下に放り投げてやればよくない?
「いや……そこまで接近するのは大変だから」
「放っておいても向こうが勝手に寄って来るじゃん。引きつけておいて身を躱せば傍を通り過ぎていくし……簡単だよ?」
「いや、簡単じゃねぇって! 特にマーブルボアは範囲攻撃(小)を持ってるだろ? 突進を躱しても衝撃波で跳ね飛ばされるから」
「あ~、だからか。【虫の知らせ】がヤバいって教えたから、【反復横跳び】で躱したんだよね」
「【反復横跳び】……」
「そんなスキルがあるんだ……」
「うん。サイドステップで身を躱せるようになる。結構重宝してるよ?」
「そうなんだ……」
まぁ、三人が呆れたような顔をするのも解る。僕だってこんなスキルが役に立つとは思わなかったけど、ことサイドステップに関する限り、【反復横跳び】での回避能力は高いんだよ。
「……で、茜ちゃんと要ちゃんは?」
「あ、うん。あたしたちも同じような感じ」
「薬草の採集依頼を受けたんだけど……生育地が沼地だったのよ……」
「毒虫とか毒蛇とか毒蛙とか……」
「SAN値を削られながら何とか採集したわ……」
「もうあの依頼は嫌!」
「あ~……ゴッタ沼の採集依頼か」
「ゴッタ沼?」
「あぁ。二人が言ったとおりの場所で、皆が嫌がって依頼を受けない事で有名だ」
ふぅん……
「何処にあるの?」
「行く気かよ……ナンの町の西のフィールドだな。南のフィールドほどじゃないが、結構ヤバいモンスターが出る」
「蒐君、行くの~?」
「う~ん……毒には興味があるけど……」
「「「やっぱり」」」
「ちょっ! 素材としての興味だよ?」
「素材って……蒐、錬金術か調薬、使えるようになったんか?」
「うん、まだ駆け出しだけどね」
話を続けようとしたところで予鈴が鳴った。
「じゃあ、この話は放課後に」
要ちゃんと別れて、僕たちは教室に戻った。




