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第百五十一章 ペンチャン村滞在記(八日目) 6.友だちに出会った

 いつの間にか妙なスキルを拾ってはいたが、そんなのはシュウイにとってデフォルトの事態であるからして、悩む事無くシュウイはブラブラと目的の場所へと歩を進める。そのついでに、今後重要になりそうなスキルのレベルアップや解放も忘れない。

 満腹度の実装に伴って食糧採集が問題化するという予測に(かんが)みれば、【採集の心得W】は積極的に育てていきたいし、食糧採取に影響しそうな【遠見】と【看破】も育てたいところだ。できれば【伐採】も解放したいところなのだが、



「村の近くの森で勝手に木を伐ったりすると、(まず)い事になりそうだしなぁ」



 村人たちの心象を悪くするのは勿論だが、伐った木材をどうするのかも問題になる。今のところは【伐採】を解放したいだけで、特に木材が必要な訳ではないのだ。木を伐るためにスキルを育てるのが本来の姿であり、当ても無いのに木を伐るというのは本末転倒の(そし)りを受けても仕方がない。SRO(スロウ)の運営がそれをよしとしない可能性は高いし、であれば何らかのペナルティが発生する危険もある。()(かつ)な真似はできないだろう。

 それに何より……



「長過ぎてアイテムバッグには入らない可能性もありそうなんだよね……」



 周りの木々を眺めてみるに、(いず)れも結構な高さである。一人でこんなものを伐った日には、収納にも運搬にも苦労するのが目に見えている。

 取り敢えず必要な、もしくは手頃な局面に出会うまでは、【伐採】はこのまま置いておく方が良いだろう。何より、木材以外にも採集すべきものは多いのだ。


 薬草――ブット()(そう)とカット()(そう)――の生育地から適当な量を採集した後、ワクワクの実と葉を採集に訪れる。【ろくろ首】で狙いを定めて【(つう)()】で実と葉を摘んでいくという、もはや手慣れたコンボを繰り出して、サクサクと収穫を進めていく。

 採れる限りの(ことごと)くを採ってしまいたいところであるが、それをやるとどこでどんな竹篦(しっぺ)(がえ)しを喰らうか解らないのがSRO(スロウ)である。一ヵ所で採る量は控え目にして、その分新たなワクワクの木を探した方が良いだろう。


 ――と、そんな感じで収穫を進めていたシュウイの耳に、



「相変わらずかっ飛ばしてんなー」



 ……という、呆れたような声がかけられた。上を見上げたシュウイの目に入ったのは、



「ムックル? 久し振りだね。元気にしてた?」

「おう。お蔭様でな」

「ズートの木は? 予後は大丈夫?」

「おう、あっちも元気だぜ。今日はそのズートに頼まれて来たんだ。シュウイのお蔭で元気になったから、お礼がしたいんだってよ」



 治療の謝礼と言われても、それは稀少素材を貰った事で片が付いている。ご丁寧にもポップしたウィンドウで、〝クリアー報酬として、ズートの若葉(無毒)とズートの(わくら)()を得た〟事が明記されていたではないか。



「それだけじゃ気が済まないんだってよ。何と言っても、命に関わる(なが)(わずら)いを治してもらった訳だかんな」

「う~ん……そこまでしてもらうのも気が引けるけど……折角のお招きを断るのも失礼だよね。何より、術後の容態を確認するのは大事だし」



 ――という判断の(もと)、シュウイはズートの木の見舞いと言うか(かい)()祝いと言うかに(おもむ)く事となった。

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― 新着の感想 ―
ズートの木の枝打ちフラグか?
壊れた町の建築資材用に間伐した木材は必要ないのか 木が密集してると強風で木同士がこすれて山火事もおこりうるんだろうが、ゲ-ムだしな 伐採の許可は必要だな 竹も伐採というな
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