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第百五十一章 ペンチャン村滞在記(八日目) 1.或る日森の中

「或~る日或る日~森の中~♪」



 ――と、()(たら)()な鼻唄を調(ちょう)()(ぱず)れに口遊(くちずさ)みながら、ペンチャン村近くの森の中を、ノンビリ歩いているのはシュウイである。

 この日は酒に目の(くら)んだ連中が総出で――それこそ鍛冶師のボルマンまでもが動員されて――酒造原料の(やぶ)イチゴを採りに遠出しているため、自動的にシュウイも放免となっているのであった。まぁ、イチゴ狩りに同行を誘われたのだが、それは(てい)(ちょう)にお断りして、独り――と言うか、使役獣たちと四名連れ――で、森へとやって来ている次第である。


 シュウイの狙いは第一にワクワクの実、酒造原料にも喉飴(のどあめ)の原料にもなるという優秀素材の確保にある。

 それに加えて薬草――ブット()(そう)とカット()(そう)――の事もある。回復薬の調剤成功率がまだ低い現在、充分な数の回復ポーションを自前で用意しようと思ったら、原料となる薬草は幾らでも確保しておきたい。


 既に前回の森歩きで、それらが生えている場所は確認している。あとは頑張って集めるだけ、なのだが……



「……満腹度の実装に伴って、食糧確保の難易度が変化する可能性がある――って、(たくみ)たちも言ってたからなぁ……」



 その懸念をそのまま()(えん)するならば、食材の「(しゅん)」すなわち採集時期というものまで実装される可能性もある。いや、季節性の導入にまでは至らないとしても、野生動物に食べられて無くなる――という可能性は捨て切れないではないか。

 それ故にこそシュウイも、前回からあまり間が空かないうち採集に来たかった訳で、それがためにイチゴ狩りという村人との交流の機会を諦めた訳だ。



「……これで、現場に行ったらワクワクの実は無い、村人との交流の機会は自分から捨てた――っていうんじゃ、それこそ〝泣きっ面に蜂〟なんだけど……」



 もしも万一そんな羽目になっても泣かないように、今回はワクワクの実以外にも目的を設定している――未使用スキルのお試しである。


 何しろシュウイは【スキルコレクター】の御利(ごり)(やく)だか(たた)りだかのせいで、レアでアレなスキルが溜まっていく運命にある。解放するより速いペースでスキルが溜まっていった結果、未使用のままのスキルが山と積み上がっているのである。

 人目のある村の中では使いにくいスキルもあるので、それらをこの機に解放しようというのがシュウイの(もく)論見(ろみ)であった。



「まぁ(もっと)も、優先すべきは飽くまでワクワクの実なんだけどね」



 そこへ(おもむ)く途中々々に、使えるスキルは使っておきたい。

 【ダンジョンアタックの心得】【爆発】【消臭(デオドラント)】【あっち向いてホイ】など、森の中では使いように困る、或いは()(かつ)に使いづらいスキルもあるが、【猿飛】【腕渡り(ブラキエーション)】【慣性制禦(イナーシャルコントロール)】などは移動の際に使えるだろうし、



「モックとエンジュが食糧採集系のスキルを拾ったって言ってたからなぁ……発見とか採集に関わりそうなスキルは、この機に解放しておいた方が良いかもね」



 未解放スキルの中では、【伐採】や【遠見】がそれに当たるだろうし、警戒系のスキルでもある【看破】も積極的に育てていきたい。

 あとは……



「技芸神の領域に入ってる事を考えると、芸能系のスキルも育てておいた方が良いのかもしれないしなぁ……」



 未解放スキルの中で該当しそうなのは、【水芸】【口笛】【踊り念仏】それに【お絵かき】くらいだろうか。解放済みのスキルの中でも、【デュエット】【歌舞の心得】【腹話術】くらいは育てておいても良いかもしれぬ。



 そんな事をつらつら考えつつ歩いていると、少し遠くでガサリという音がした。

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