第二十三章 篠ノ目学園高校(火曜日) 1.昼休み
少し短いです。
今日も今日とて、いつものように屋上で弁当を食べている訳だけど、今日は要ちゃんも参加できて四人だ。相変わらず僕一人が三人からイビられている。もう虐めだよ、これ。
「いやいや蒐君、これをイジメだなんて言ったら、昨日のPvPは何だったのかっていう話になるから」
「え? ……運営の監視下で公正に行なわれた、単なる試合だよ?」
「どの口が言うかな~、そーゆー事」
「殺試合の間違いじゃないの?」
「蒐、一般人の感覚では、あれこそが虐めだからな?」
「何でだよ!? PvP売ってきたのは向こうじゃん!」
「確かにそうなんだけど……」
「高く買い過ぎだっての」
「公正取引委員会から苦情が来るよ?」
「掲示板も大荒れだったからな?」
掲示板?
「掲示板って?」
「あ~、やっぱり」
「気付いてなかったみたいね」
「蒐君、噂の中心だよ?」
どういう意味!?
「荒れてるのは有名人スレとスキルスレ、それに武器スレだっけ?」
「二つ名スレも加速してたな」
「……加速?」
「書き込みが多くて、スレが凄い勢いで埋まっていったって事」
「まぁ、あの虐殺ぶりをみたら盛り上がるわな」
「体術やバグ・ナクの話題で大荒れだったわよ」
「真面目な話、少しは考えろよ、蒐。リアルの身元がバレかねんぞ」
「うん……気を付けたいけど……僕のせいじゃないよね?」
「まぁ……一応は被害者なんだがな……」
「目立つのは駄目」
「出る杭は打たれるって言うし」
うん……リアルでごちゃごちゃ言われると面倒なんだよね。
「けどまぁ、これで蒐に絡むやつも少しは減るだろ」
「命あっての物種だもんね~」
「人を殺人鬼みたいに言わないでよ、茜ちゃん……」
「ま、今後は少しくらい手加減しろよ?」
「そもそも蒐君、戦闘スキルを取れないから、当座は大人しくしてるような事を言ってなかった?」
「僕は今でもそのつもりだよ? けど、向こうが突っ掛かってくるんなら正当防衛じゃん?」
「……絡まれないようにアピールした方がいいのかしら……」
「黄色と黒の縞模様とかか?」
「スズメバチかヒョウモンダコみたいじゃん……嫌だよ」
「……そこで虎とか豹が出てこないのはなぜだ?」
「蒐君は牙より毒かぁ~」
「身近な生き物が先に思い浮かんだだけだよ!」
……そりゃ、毒にはちょっと興味があるけどさ。
「要はトレードマークがあればいいのよね」
「……要ちゃん、黒い笑いはやめてよ……」
「あら、蒐君は乙女の微笑みを悪し様に言うの?」
あれはそんな可愛いもんじゃないよ。要ちゃん、絶対何か企んでる。




