第百三十三章 運営管理室 4.空回りドロップ品換装(その3)
「二つ目ですけど……後続のプレイヤーが彼の方式を真似したらどうします?」
「む……?」
「村を訪ねる途中で、モンスターを狩ってドロップ品を用意しておく――という事か?」
「あり得ない事ではないかと。……殊に、彼からここの話が広まれば」
「むぅ……」
ペンチャンの村に置ける人物評定は、ドロップ品の納品依頼に対してプレイヤーがどういう行動を採るかを、判断の基準にしている。金で済ませるか、手持ちの素材を提供するか……それとも態々ドロップ品回収の労を執るか――である。
依頼される素材はそれ程珍しいものではなく、プレイヤーたちの間でも数多く出廻っている。故に所持しているプレイヤーも多く、手持ちの素材を提出する者が多いだろうと考えられていた。この場合の評価としては〝可も無く不可も無し〟というところになるが、この場合は更に幾つかの依頼――あまり市場に出廻っていない素材の納品依頼――が追加で出されるようになり、その面倒を嫌って断るプレイヤーも出るだろうと思われていた。この時点で人物評価が終了する訳だ。
ただ……ここへ来る途中にモンスターを狩って素材を確保するとなると……
「しかし、肝心の評価基準は明らかにされないんだろう? 珍しい素材じゃないんだし、手持ちのものを差し出す方が早いと考えるんじゃないか?」
「評価の結果がその場で伝えられる訳ではないし、直ぐにフィードバックはされない筈だ」
「問題はだな、〝偶々その素材を持っていなかった〟プレイヤーがいた場合だろう。村へ着く前に確保しておこうと考えるかもしれんぞ?」
「単純にそっちの方が楽でもあるしな」
「う~む……」
資格審査の根本を危うくするような事態に、スタッフ一同頭を抱えるが、
「いや、そこまで気にする必要は無いだろう」
――と、懸念を払拭したのが木檜である。
「その可能性は開発段階でも取り上げられたらしくてな、モンスターとの邂逅率を下げる事で対処している。具体的に言うと、この辺りのモンスターは積極的にプレイヤーを襲わないようにしてあるんだ」
「あぁ……成る程」
「プレイヤーが素材を得ようと思ったら、積極的にモンスターを探し廻る必要がある訳ですか」
「目的地を目の前にして、そこまでするかという事ですね」
「時間をかけると、日暮れまでに村に着けるかどうかが怪しくなるし」
――成る程、これは巧い手である。上の連中も色々と考えているものだ。しかし……
「ですが『スキルコレクター』の彼は、豪く簡単にモンスターを見つけて狩っていましたが?」
「彼の場合は高い幸運値が仕事をしただけだろう」
「あぁ……それがありましたっけ」
・・・・・・・・
――という、語るも涙、聞くも涙の苦労話があったというのに……
「……ドロップとかそっちのけで、村での仕事を熟してるな……」
「スキルのレベルアップが目当てなんだろうが……」
「……いや……モックというプレイヤーの修行の事もあるし、村へ滞在してくれるのはありがたいんだが……」
「俺たちの苦労は何だったんだ……」




