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第百三十一章 市内(文化祭代休) 5.ファミリーレストラン「ファミリア」(その4)

 (かつ)(タクマ)たち「マックス」の面々が、似たような課題をクリアーした事があった。あれはギルドからの依頼となっていた事もあって、今回のような称号とジョブは得られず、代わりに拠点解放の実績となっていた。

 そういった違いはあれど、特別なターゲットを狩って特別な報酬を得たという点に関しては、確かに共通していると言えなくもない。

 ただ……あの時の賞金首は確かNPCだった筈。だとすると、シュウイが今回狩ったという〝PK〟も、実はクエスト用のNPCだったとか?



「いえ、そこなんだけど、MPK(モンスターPK)で収監中のプレイヤーが脱獄して、その後()ぐに再逮捕されたって告知があったでしょう?」

「あ……そう言やぁ……」

「あったね、そんな話」

「あったの、そんな話?」



 いつの間にか会話に復帰していた(しゅう)(いち)が、不思議そうに訊ねてくる。さすがにペンチャンの村にまでは、告知も届いていなかったようだ。しかも、



「あれも脱獄犯が逮捕されたってアナウンスが流れただけで、逮捕の状況までは言ってなかったからなぁ」

「詳しい事が知りたければ、自分で調べろっていう事なんでしょうね」



 なので幼馴染みたちも、まさか――馬鹿正直に――デフォルトの復活地点に死に戻ったところを再逮捕したとは、夢にも思わなかったらしい。()してやその死因にシュウイが関わっているなどとは。



「それはともかく、アレがコレに関係しているんじゃないかと思うのよ」

「「「う~ん」」」



 成る程、脱獄中の手配犯(プレイヤー)となれば、確かに追捕クエストのターゲットにも相応(ふさわ)しい。称号とジョブを授けられるのも(うなず)ける。要は単なるPK如きでは、このクエストのターゲットとして不足だったという事か……?



「けどよ(かなめ)、これがクエストだったってんなら、それ用の賞金首(NPC)が用意してあったんじゃないのか?」

「そこは私にも解らないけど……何かの手違い(・・・)があったのかもしれないわね」

「あぁ……そういう事か……」



 SRO(ゲーム)内でおかしな騒ぎばかり引き起こしている元凶(ゆうじん)の方をチラリと見遣(みや)って、(たくみ)(あかね)は何か納得したようだ。当の(しゅう)(いち)は複雑な表情で、無実と濡れ衣を訴えているが。

 実際に〝手違い〟の件については濡れ衣なのであるが、これまでの実績が災いして、信じてもらえないのが哀れである。



「あ、あとちょっと気になったんだけどよ、(しゅう)が貰った称号ってそれだけか?」

「え? ……そう言えば、『ナンの町の復興者』って称号も貰ってるけど?」

「『復興者』? 『防衛者』じゃなくてか?」

「え?」

「〝防衛者〟?」

「どういう事? (たくみ)君」

「お、おぅ?」



 一転攻守ところを変えて、今度は(たくみ)が追及される側に廻る。



「……つまり、(たくみ)君たちが貰ったのは、『ナンの町の防衛者』という称号なのね?」

「あぁ。んで、気になったのは前にあった『トンの町の防衛戦』の事なんだ。あん時は称号なんか無かったんだろ?」

「あぁ……」

「そう言えば……」



 ――少し裏事情を説明しておこう。


 実は(かつ)てのトンの町防衛戦の時も、称号は一応用意していたのだが……当初の予定と違って秘密クエストになったため、参加したプレイヤーが極端に少なくなった。そんな状況で称号を与えると、不参加のプレイヤーたちとの軋轢(あつれき)が酷い事になりはしないか。ゲーム開始の早々から、そんなトラブルを抱え込みたくはない……

 ――という運営サイドの判断で、称号の件はナイナイされる事になった。その埋め合わせに、参加したプレイヤーには称号の代わりにスキルポイントが貰えるように取り計らったのだが……実は、プレイヤー中最大の殊勲者とも言えるシュウイは、「トリックスター」の制約のせいでSPが貰えなくなっていた。後になってその事に気が付いて、運営サイドが青くなったのだが……幸か不幸か蒐一(シュウイ)はその事に気付かなかったし、他の参加者――具体的には「黙示録(アポカリプス)」とナント――は、SPの代わりにドロップが豪華になったのかと思っていた。

 そして肝心の運営側がこの件に気付いたのはずっと後の事で、今更昔の不手際を穿(ほじく)り返すのが躊躇(ためら)われた結果、()(くず)しになぁなぁになってしまい……シュウイの知らぬところで運営側が罪悪感と引け目をずっと抱き続けるという結果になっているのであった。


 そしてもう一つ、(タクマ)たち「マックス」が「ナンの町の防衛者」の称号を貰い、(カナ)(セン)たち「ワイルドフラワー」と蒐一(シュウイ)が「ナンの町の復興者」の称号を貰った件であるが、



「……多分だけどクエストが、防衛と復興の部分に分かれているんじゃないかしら」

「あぁ……そう言えばあたしたちって、戦闘には参加してなかったっけ」

「僕も……来た時には戦闘は終わってて、その後は()ぐに治療に廻されたから」

「あー……俺たちは一応、防衛戦の終盤には参加できたし、その後も復興より、護衛とか討伐系の依頼が中心だったからなぁ」



 ――ここでもう少し裏事情を(ばく)()しておくと、シュウイの場合は、ギルドや救護所の破損箇所の修繕も、僅かながら復興作業への参加ポイントに計上されていたりする。

 ただしこれらの破損箇所は、本来はツインヘッドグリフォンによる襲撃とは無関係に設定されていたものであり、その貢献値に対する報酬も別個に用意されていたのだが……その件については(いず)れどこかで紹介する事もあるだろうから、今はこれ以上触れない事にする。


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