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第二十二章 トンの町 2.PvPふたたび

 北門から町の中に入ってナントさんの店に急いでいると、後ろから野太い声で怒鳴りつけられた。あぁ、面倒臭いなぁ。


「おいっ! 小僧っ! こないだは弟分を可愛がってくれたみてぇだな! こんだぁ俺様がテメエを可愛がってやるから覚悟しな!」

 

 不意にポーンという電子音が響いて、空中に半透明なウィンドウが出現した。



《プレイヤー「ビッグ」からPvPの申請が来ています。受けますか? Y/N》



 後ろを振り向くと……頑丈そうな大男が肩を怒らせて僕を睨んでいる。その後ろにいるのは……あぁ、いつか()してやった馬鹿……確かガッツとか言ったっけ。あいつが兄貴分に泣きついたのかな? ……あれ? 必死で手を振ってる。違うって言ってるみたいだな。だとすると、兄貴分が勝手に報復を買って出たのか。


「うらぁっ! ビビってんのかぁっ! 泣いたところで許さねぇぞ!」


 うん……面倒は面倒だけど、頑丈そうな身体だね。これなら使えるかな。


 Yをタッチすると、周囲に半透明のフィールドが形成された。


 あれ? シルも一緒で良いの? 装備品と見なされたのかな……でも、シルが参戦したら早々に終わっちゃうし……手出し無用だよと(ささや)くと、解ってくれたようで懐の中で休むみたいだ。



《どちらかが死亡、もしくは戦闘不能、もしくは降伏した時点で決闘は終了となります。決闘終了後に攻撃を加える事は許可されませんのでご注意下さい》



 開始の合図を待ちかねたように、大男が片手剣を振り上げて突っ込んで来る。でも……あの股の開き方はどうやら……。


 剣の間合いに入る手前で杖を足もとに放ってやる。足をとられて転ぶのを防ごうと慌てて踏鞴(たたら)を踏む。転倒しそうなのを手を広げてバランスをとってるから、注意が(おろそ)かになってるところへ近寄って……


 左の掌底で腎臓を打つ、続けざまに二発。金的を守るガードか何か着けてるんだろうけど、動きのせいで丸わかりだよ。苦痛に少し前屈みになったところを、右手のバグ・ナクで眼を(えぐ)る。いつの間に取り出したのかって? 隠し武器なんだから、装着を気取らせる(わけ)無いじゃん?


 鉄の爪が引っかかったままの状態で引き下げるから、頭部もそのまま引き摺られるように下がって来て、右の蟀谷(こめかみ)――(きょう)(しゃ)の急所に手が届く。掌底で打撃を加えてやる――(ふう)()(さつ)とか言うらしいけど、祖父(じい)ちゃんは単にビンタって言ってた――と、右の顎の骨が外れる。外れたのは片方だけだから、右手のバグ・ナクを下顎に引っかけて無理矢理引っ張り、顎を完全に外しておく。デカブツが何か五月蠅(うるさ)いけど……さて、実験だ。


 開けっ放しの口の中に右手を喉の奥まで突っ込んでみる……うん、入ったね。それじゃ次に、そのまま胃の当たりまで突っ込んで、バグ・ナクの爪を胃壁に食い込ませる。デカブツが僕を振り払おうとするのに合わせて右手を引っ張ると……バグ・ナクの爪で胃壁から食道を切り刻みながら、右手が引き抜かれる。


 なんかデカブツが逃げようとしてるけど、因縁を付けてきたのはそっちだからね。もう少し実験に付き合ってもらわなくちゃ。デカブツの剣を拾い上げて(くるぶし)()いでおく。剣の使い方はよく解らないけど何か補正でも効いてるのかな。すっぱりと足首が切り落とされた。さて、次に……


 (うつぶ)せに倒れたデカブツの肛門に剣を突っ込んでみる。現実では肛門は急所なんだけど……うん、ちゃんとダメージも入ってるみたいだ。ついでに肩胛骨(けんこうこつ)の裏側に剣を突っ込んで……()()がすのも問題無くできたね。このゲーム、結構リアルに準拠して身体(アバター)を創ってるみたいだ。


 デカブツのHPが切迫してきたな……あと一回くらいしか()たないかな。それじゃ、(あお)()けにひっくり返して()()けを……腕が邪魔だなぁ。剣で腕を斬り払うと……あれ? デカブツの身体が消えてく。まさか、いまので死亡判定になったの?


 ポーンという電子音とともに《You win》という文字が空中に表示されて、決闘フィールドが解除されたけど、デカブツは復帰しない。表示された文字を見ると……強制ログアウト? 脳波に深刻な怯え? 一体何の事だろう? これってただのゲームじゃん?



《プレイヤー「ビッグ」の所持金二十二万四千G、および所持品の所有権が、プレイヤー「シュウイ」に移りました。ステータスボードを確認して下さい》



 おおっ♪ 久しぶりに大きな実入りだね。お♪ マジックバッグもある。これはありがたいね。けど、折角の実験が中途で終わったのは残念だなぁ……。


 ふと周りを見回すと、なぜか見物人が一斉に目を()らせた。何でさ?


 殺人狂扱いされてむくれてると、そんな僕に声をかけてくる人がいた。

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― 新着の感想 ―
一人称に「様」をつけると、すごく小物っぽさが増すのは気のせいだろうか・・・
[一言] 容赦ない(゜Д゜;) 悪魔が、、、悪魔がいる(/ω\) ビッグ ゲームに戻ってこれるのかな。。。 トラウマ案件(´-ω-`)
[一言] ぴえん(((((´;ω;`))))))))
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