第百二十四章 篠ノ目学園高校文化祭(一日目) 1.一年三組
本章も少し長丁場になります。短くしようと努力はしたのですが……
篠ノ目学園高校文化祭、その初日の今日、クラス展示――ご当地カップ麺の展示――今日の当番に当たった蒐一と匠の二人がノンビリと店番を務めているところへ、
「やほー、元気でやってるかーい?」
……という、気の抜けるような挨拶と共に闖入して来たのが、幼馴染の纐纈茜であった。そして――その後にはやや年嵩らしい女性が一人付き従っている。
「……んだよ、客かと思えば茜かよ……と?」
「お久しぶりね。憶えてる?」
「あー……確か、要の……」
「衛里花さんだったよね? 要ちゃんの従姉の?」
本誠寺衛里花。
蒐一の幼馴染みである高力要の従姉の大学生。SRO内では「ワイルドフラワー」のリーダー・エリンとして活躍している。
「うふふ、憶えててくれてありがとう。匠君に蒐一君――よね?」
「おう」
「はい。今日は文化祭の見学ですか?」
「えぇ。このクラスで面白い展示即売やってるって聞いたから、茜ちゃんに連れて来てもらったのよ」
――という衛里花の言葉を聞いて、蒐一と匠は思わず顔を見合わせる。
「……どうしたの? 何か違ってた?」
何やら風向きがおかしいと感じた衛里花が二人に問いかけるが、
「いや……確かに展示はしてるんですけど……即売の方は明日限定なんです」
「あら?」
「どうせ初日は土曜日だから、一般参加者は少ないだろうから――って。その分、明日の日曜日に注力しようという事になってるんですけど……」
「てか茜、お前何で説明しなかったんだよ」
「……そーだったっけ?」
……どうやら同級生の筈の茜は、その事を綺麗さっぱり忘れていたらしい。
「明日も来てもらえるんなら、予約にしておきますけど」
「お薦めは『ドリアンラーメン』♪」
「……美味しいの? それ。……何だか凄く臭そうな気がするんだけど……」
「判んないの♪」
「買って来た本人も含めて、誰一人試食しようとしなかったから」
そういうものを売っていいのかという気もするが……その辺りを呑み込んだ客にしか売らないのだろう。
「えぇと……予約するかどうかは別にして、他にお薦め……無難なものは無いの?」
「次点は『タガメラーメン』♪ その次は『カメラーメン』♪」
「……カメとタガメって……違うの?」
「蓋に描いてある絵が違うんだよ。片っぽはカメで、もう片っぽは虫」
「……あまり食指が動かないラインナップね」
「国内産だと『熊ラーメン』とか『トドラーメン』とかありますけど……?」
「……予約は遠慮しておこうかしら」
作中に登場したアレらが実際に存在するかどうかは知りません。




