表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
605/894

第百十九章 ナンの町~「ワイルドフラワー」~ 3.届けものクエスト(その1)

 救急用および町の復興用の資材を持ち込んでくれた上に、メンバー全員が魔法スキル持ちで治癒系の魔法も使えるとあって、「ワイルドフラワー」の面々はそのまま後方の支援指揮所に詰める事になった。

 その事自体には異論は無いものの、カナとセンには別途済ませておきたい要件があった。何の事かと言えば、従魔術師の先達ウィルマから依頼された、届けものの件である。


 イビルドッグの討伐とその(ねぐら)に生えている特殊な茸の採集という、結構な難クエストをクリアした際に、先輩従魔術師のウィルマから頼まれる形で発生した届けものクエスト。その届け先がナンの町であったのだ。なのでさっさとその品を届けて、クエストをクリアしたいところなのだが……面倒な問題が一つだけ立ち(はだ)かっていた。



・・・・・・・・



「それで――お届け先はどちらなんですか?」

「あぁ、ナンの町にいるメイビーって()なんだけど……あれ? メイビーの名前って何だったっけ?」

「「――はぃ?」」



 いきなり頓珍漢(とんちんかん)な事を言い出したウィルマに、カナとセンの二人から疑惑の視線が降り注ぐ。



「いや……〝メイビー〟ってのはその()の口癖でね、しょっちゅう口に出してるもんで、それが(あだ)()になっちゃったのよ。今では誰も本名では呼ばない有様でね。だから……」

「……つい本名を忘れてしまったと」

「うん……」



 さすがにウィルマも(まず)いと思ったのか、アガサにネイトまで呼び出して()(ただ)してみたのだが……



「あ? メイビーの名前って、メイビーじゃ……なかったっけか?」

「そう言われれば……何だか別の名前があったような気がするねぇ……」



 ……その二人とも綺麗さっぱり忘れている事が、改めて判明しただけであった。

 思いがけない成り行きに当惑し狼狽するウィルマであったが、それをぼんやり眺めている風のカナとセンはと言えば、 



(「……カナちゃん、これってこのクエストの仕様なのかな?」)

(「……仕様じゃなければ何だと言うの?」)

(「うん、ひょっとしてバグなのかな――って思って」)



 珍問が出される度にバグを疑ってかかるのもどうかと思うが、少し前に【ファイアーボール】の二重起動などというバグの事をシュウイから聞いている身としては、そういう疑念が兆すのも無理からぬ事……のような気もする。

 なので、問いを向けられたカナとしても、寸刻返答に困ったが、



(「どうかしら……さすがにバグというのは……いえ、かなりマイナーなクエストみたいだし……バグという可能性も無くは……ないのかしら?」)



 センと二人して(しばら)く首を捻る羽目になったが、



(「……とりあえずはバグと考えずに対応したらどうかしら。〝住民(NPC)と交流して口癖の事を訊き出さないと、正しい相手に届けられない〟――という設定なのかもしれないし」)

(「あ、ここの運営さんが好きそうな問題だよね」)



 ――というところに落ち着いた。


 そしてその一方で……三つの雁首を寄せ集めても「メイビー」の本名が出て来ないと悟ったウィルマの方はと言えば、



「ま、まぁ、そう急ぐもんじゃないし……口癖に気を付けてさえいれば、誰がそうなのか判るわよ……多分(メイビー)

「「はぁ……」」



 ――と、そう結論付けるしか無かったのであった。



・・・・・・・・



(「……結局、届け先の人の名前、判らなかったね」)

(「クエストクリアのためにも届けるのは決定なんだけど……宛名が判らないんじゃどうしようも無いわね」)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
少し前に【ファイアーボール】の二重起動 ファイアーランスでは?
[一言] 仕様か、クエスト作成者も彼女の名前の事を忘れてたのでは?多分(Maybe(笑))
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ