表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
500/886

第百六章 その頃の彼ら 2.「ワイルドフラワー」(その2)

 ここまで(だんま)りを決め込んでいるが、場所についてはカナとセンに心当たりがあった。と言うか、どうせ蒐一(シュウイ)がやらかしたに違い無いのだから、明日にでも学校で訊問して口を割らせ……訊けばいい。どの道(タクマ)もその気だろうし、情報の入手は難しくない筈だ。


 そんな思案を巡らせていたカナであったが、いつしか他のメンバーの視線が自分に集中しているのに気が付くと、



「……そうね。ダンジョンの所在は不明だけど、手懸かりが皆無という事でもなさそうに思えるわね」

「「「――え?」」」



 聞き捨てならぬとばかりに三人が色めき立つが、当のカナは情報源(シュウイ)の事などおくびにも出さず、



「メッセージで言ってたでしょう? 〝ダンジョンシステムが解放された〟――って。ここで注意したいのは、〝システム〟っていう単語よね」



 しれっとした顔で別方向からのアプローチ案を披露していた。



「システムの解放……つまり、これまでブロックされていた情報が……正確に言えば情報へのアプローチが解禁されたんじゃないかと思うのよ」

「あ……つまり……」

住民(NPC)からの聴き取りが可能になった……って事か」

「えぇ。あの(・・)運営が何の手懸かりも示さないとは思えないし、差し当たっての手懸かりとしては有望でしょう? 当ても無くその辺を探しまわるよりは効率的だと思えるし」

「「「う~ん……」」」



 だとしたら無闇に山中を歩き廻るよりも、町へ出向いて住民(NPC)への訊き込みに精を出した方が良い訳か?

 しかし、そんな逡巡(しゅんじゅん)を吹き飛ばすように、



「この事に気付いたプレイヤーも、きっと少なからずいるでしょうね」

「……町は町でプレイヤーが群がってる訳かぁ……」

「仮に町へ向かって訊き込みをしても……」

「得られる情報という点では、他のプレイヤーと横並び――って事かぁ……」

「ん。団栗(どんぐり)の背比べ」



 山中を進んでも町へ赴いても、血眼のプレイヤーたちと()(くわ)す可能性が高い。単に遭遇するだけならまだしも、何か情報を得ようとして付き(まと)われたりするのは面倒だ。こういうのを〝進退窮まった〟と言うのだろうか……


 しかし、げんなりしている一同に向けてカナが――幾分か面白そうな声音で――指摘したのは、



「あら? あたしたちには他にも当てがあるでしょう? それも、他のプレイヤーには辿(たど)り着けない当てが」

「え?」

「そんな都合の好い当てなんて……あ!?」

「従魔術師のウィルマさん!」

「それにアガサお婆さんとネイトさん!」



 ――そう。使役術師のクエストを(こな)さないと得られないコネクション。住民(NPC)の従魔術師とその肉親こそ、これ以上無いほどの情報源ではないか?


 どうせカナとセンのクエストの結果を報告すべく、彼らの(もと)に向かっているところだったのだ。ここまでは――使役獣候補の物色がてら――ゆるゆると進んで来たが、事情が少し変わった今となっては、少しスピードをアップしても?



「勿論!」

「そうと決まれば急ぎましょう!」

「ん。異論無し」



 ――という事で「ワイルドフラワー」の一行は、先達(せんだつ)の従魔術師たちに教えを請うべく、一路道を急ぐのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 500更新おめでとうございます(^^)
[良い点] 500部おめです!!
[一言] 500話おめでとうございます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ