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第百四章 成り行きダンジョンアタック 21.チュートリアル~ラストステージ~(その8)

明けましておめでとうございます。今年もSROをよろしくお願いします。

 体勢を崩した新弟子二人に、得たりと(わら)ったリザードマンが襲いかかろうとした時、



『フリーズ!!』



 ――響き渡った叫びに、思わずリザードマンが……いや、その場のほぼ全員が硬直する。

 モックが発した【咆吼】の叫びであった。


 硬直していたのは、ほんの僅かな間であった。しかし、その僅かな隙を衝いて――



「ギャッ!?」

「ギュワッ!?」



 【狙撃】と【(ぼう)()EX】スキルを持つシュウイチームの狙撃手マハラが、リザードマンの目を狙って粘球を飛ばしたのであった。


 視界を奪われて立ち(すく)むリザードマンなど、「微笑みの悪魔」が降臨したシュウイの前ではカモでしかない。サクサクと光の粒子と経験値に変えていく。

 逃げ出した最後の一頭は、シュウイが【土魔法(ホビン)】のロックバレットの集束射撃で片付けた。



・・・・・・・・



「やぁ~、お疲れでした」



 〝良い汗を掻いた!〟――とばかりに(にこ)やかに笑うシュウイであるが、テムジンを除く新人たちはほとんどへたり込んでいる。()けても新弟子二人の消耗は大きかったようだ。



「まぁ……トラップを交えての攻撃は、結構神経を使いますからねぇ」

「……そう言うシュウイ君は、トラップにも危なげ無く対処していたようだが?」



 トンの町周辺ではリザードマンは無論、ゴブリンもトラップを交えての戦闘など仕掛けてこないと思っていたが……?



「いえ、それはそうなんですけど……ギャンビットグリズリーも似たような事はしてきますし」

「ギャンビットグリズリー……」

「聞いちゃいけないような名前が出てきたな……」

「あ、見た事はありますよ。……もぅ、ほんの目と鼻の先で……」

「咆哮で【隠蔽】スキルが解除された時には、本気で死ぬかと思いました……」

「「………………」」



 ……薄々勘付いてはいたが、シュウイはテムジン以上の鬼教官らしい。自分たちはテムジンの弟子で幸運だった。

 心の底からそう感じた二人は、シュウイの特訓に()いて行っているモックとエンジュに尊敬の視線を送る。


 一方、新弟子たちから危険人物認定されたシュウイはと言えば、



「あ、そう言えばモック」

「はい?」

「決まり手になった【咆吼】だけど、なんでフリーズ?」



 英語で叫んだ理由は何なのか? ひょっとして自分も【咆吼】を拾うかもしれないシュウイとしては訊いておきたかったのだが、



「あ、いえ……特に理由というほどではないんですけど……」

「うん?」

「何と言うか……普段使わない言葉の方が、効き目がありそうな気がして」

「あぁ……そういう事ね」



 解るような解らないような理由を説明されて、シュウイもフワッと納得したのであった。



・・・・・・・・



 さて、そんなこんなで激戦を繰り広げてきた一行は、やがてダンジョンの最奥部っぽい場所に辿(たど)り着く。そこにあるのは……



「……あからさまにボス部屋ですよねぇ……」

「キチンと最後まで経験させてくれるらしいな。律儀なチュートリアルだ」



 テムジンの言うとおり、或る意味で面倒見の良いチュートリアルなのだろうが、後ろに控えている新人たちにしてみれば、ノンビリと感心するような余裕は無い。七名中五名がド新人というパーティで、ボス部屋に突っ込むなど無茶ではないのか?



「だって、そういうチュートリアルなんだし」

「運営側にしても、達成できないようなチュートリアルは作らんだろう」



 それもそうかと納得した新人組であったが……実際にはこのチュートリアルダンジョン、幾つかのチュートリアルパターンがランダムで出現する仕様になっており、彼らが挑戦しているのはその中で最も難度が高いパターンであったりする。(もっと)も、そこは運営も考えていて、難度の高いチュートリアルでは残機と言うか、死に戻っての再挑戦が可能なように設定してあるのだが。



「さ、準備できたら入ろうか」

「「「「「は~い」」」」」



 ――という、(いささ)か緊張感に乏しいままにボス部屋に突入した一同であったのだが……

死霊術師シリーズの新作「花瓶の冤罪」、本日21時頃に公開の予定です。宜しければご笑覧下さい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 嘘か本当か犬の調教とかも英語での命令のほうがいいとかなんとか? まあフリーズって言われたら確かに止まりそうな気も……する?
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