第百四章 成り行きダンジョンアタック 12.チュートリアル~サードステージ~(その3)
「いやいや師匠、ダンジョン以外の採掘でも、素材の見落としを無くせるってのは大きいですから」
「自分で使わない素材でも、ギルドに持ってけば買い取ってもらえますし」
――と反論されて考え直す。
ところが、ここで一言と割り込んだのがシュウイであった。
「あの……鍛冶職向けに特化させた【採掘】を使った後に、未特化の【採掘】で落ち穂拾いをするって言うんだよね?」
「そうですけど?」
「何か?」
「うん。その場合だと――未特化の筈の【採掘】は、金属資源以外のものに〝特化〟する事になったりしない?」
「「あ……」」
一瞬だけ虚を衝かれたような表情を浮かべた新弟子二人であったが、暫く考えた上で、
「それはそれで」
「実用上は問題ありませんから」
――という結論に至ったようだ。
まぁ、確かに珍しい育て方にはなるが、二人にとって使い勝手の良いスキルには育つであろう。
「まぁ、そういう事なら、普段から使って別方向に特化させた方が良いかもしれん」
テムジンもそれで納得はしたようだ。
「……それで、師匠。できたらこの件は……」
「当分の間ご内聞に」
「皆さんも、どうかヨロシク」
ちょっとした工夫レベルのものではあるが、これはこれでアドバンテージになると考えたようだ。他の面々も異存は無い。ただ、場合によっては自分たちも一口乗ると主張する事は忘れなかったが。
「まぁ、それはいいとして……少なくともこのチュートリアルダンジョン内では、落ち穂拾いはシュウイ君に任せた方が良いだろう」
新弟子二人もそれには異論無かったようで、改めてシュウイが落ち穂拾いの任に就く。
「それじゃ――改めまして」
二人は気付かなかったようだが、実は最前から気になっていたポイントがあったのだ。淡く発光しているそのポイントに向けて、シュウイが「せーの」と鶴嘴を振るうと……ボコッというような音を立てて穴が開き、次いでそこの壁がガラガラと崩れ落ちる。その後に現れたのは……
「……空洞……いや、隠し部屋かな?」
どうやら【イカサマ破り】と【落とし物】が良い仕事をしたらしい。何しろ、ぽっかりと開いた隠し部屋の真ん中に鎮座在しているのは――
「「「「「「「宝箱!?」」」」」」」
まずは驚いて呆然と立ち尽くし――その後で歓声を上げて近寄ろうとした新人たちに、
「下がって!」
――とシュウイが警告を発する。その剣幕に驚いた新人たちが足を停めると、シュウイは愛用の杖を構えて油断無く「宝箱」に近付く。そして――シュウイがその手を蓋に掛けるか掛けないかというタイミングで、「宝箱」がその正体を現した。




