第百四章 成り行きダンジョンアタック 11.チュートリアル~サードステージ~(その2)
何しろシュウイは【スキルコレクター】というユニークスキルのせいで、数々のレアスキルを所持するに至っている。殊に今回の戦果に関しては、【落とし物】と【掘り出し物】というスキルを度外視はできないであろう。あとは『神に見込まれし者』の称号とか。
とは言え、そんな個人情報を垂れ流す訳にいかない――自衛官という職業柄、この手のモラルには厳しい――テムジンとしては、
「何しろ彼は今、『遊び人』のジョブに就いているんだからな」
――という形で釘を刺すに留めておいた。
とは言え、テムジンの指摘も故無き事ではない。「遊び人」というのは非常にピーキーなジョブであり、その職能として、〝財宝やトラップなどを発見する――或いは引っかかる――確率が上がる〟〝通常のプレイでは出現しないイベントや選択肢が現れる〟などの効果がある。
なので、シュウイが掘り出すドロップ品のグレードが並外れて――舞台裏で運営管理室の面々が頭を抱えるくらいには――高い事も、或る程度は「遊び人」の効果と見做す事ができるのであった。
「あぁ……それがあったっけな」
「でも師匠、こういう場合に未特化の【採掘】が有効だっていうのは、間違ってはいませんよね?」
「まぁ……恐らくはな。しかし、だからと言ってどうするというんだ? 折角育てた【採掘】を捨てて取り直すとでも言うのか? このゲーム、一度捨てたスキルは基本的に再取得できんのだぞ?」
「それなんですよねぇ……」
う~んと唸っている新弟子たちに怖ず怖ずと声をかけたのは、意外な事に瑞葉であった。
「あの……スキルを重複して取る事って、できますよね? そのうち片方を控えに廻しておけば、育たないままにしておく事もできるんじゃ……?」
「「「「「「――へ?」」」」」」
瑞葉の提案に意表を衝かれた一同であったが、最初に立ち直って反応したのはβプレイヤーのテムジンであった。
「確かに……考えた事も無かったが、仕様上可能ではあるな」
「「そうなんですか!?」」
新弟子二人は驚愕の体であるが、モックとエンジュの新人組も同様である。シュウイはカナから〝栽培系のスキルを重複して取得した農家志望のプレイヤー〟の事を聞いていたためか、そこまで驚きは無いようだ。……なのに、目の前にいる瑞葉がその当人である事に思い至らないのが不思議である。〝件のプレイヤーはカナたちとともにナンの町にいる〟――と、根拠も無いのに強く思い込んでいたのが理由であろうが。
「……理屈としては成り立つよな?」
「だったらついでに試してみるか?」
「……今、ここでか?」
「今ここでじゃなくて、どこで試すって言うんだよ?」
――という珍問答の後、思い切り良く・払が二つめの【採掘】スキルを取得する。これにはテムジンも呆れたようだが、彼らの言うとおり、こういう状況でもないと試せないというのは道理である。
なるべく現実的な状況――現実を離れた仮想世界でこういう言い方はどうかと思うが、他に上手い言い回しが無い――で試してみようという事になり、まず・払が普通に【採掘】した後で、それまで控えに廻していた未特化の【採掘】スキルと入れ替えてみたところ、
「……当たりだ。特化スキルでは見過ごしてた採掘ポイントが見えている」
「マジかよ……」
即座に自分も二つめの【採掘】を取得しようとする$p①Gに、
「いや……何もそう慌てる必要は無いだろう。この次にダンジョンに入る時でも間に合うんじゃないか?」
控え枠を潰すのもつまらんだろう――と忠告するテムジンであったが、




