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第百二章 トンの町 5.東のフィールド~【モグラ叩き】~

 宿の自室でもてあました【優柔不断】と【メビウスの壁】、それを首尾好くレベルアップさせた事でご機嫌なシュウイであるが、ここへ来た(そもそも)の目的にはまだ手を着けていない。それを今から始めるつもりである。



「う~ん……何となくスキルの内容が想像し易い【モグラ叩き】から始めるのが良いかなぁ……」



 ――という判断の(もと)、【モグラ叩き】を発動してみたシュウイであったが、



「……うん、予想どおりの光景だよね……」



 地面から一匹のモグラがヒョッコリ顔を出している光景に、()()ったような笑いを浮かべるシュウイ。光景そのものはどこか長閑(のどか)で微笑ましいのであるが、その一方で何か不吉な雰囲気が漂っている。

 一つ予想外だったのはモグラの位置で……



(……僕の周りに出て来るんだと思ってたけど……)



 実際には場所を指定して、その周りに出現させるスキルのようだ。スキルの名前から、シュウイはてっきりミニゲームを楽しむスキルだと思っていたのだが、実際にはそうではないのだろうか。

 ふと気になったシュウイは、離れた位置に顔を出しているモグラに石を投げ付けてみた。そうすると――



「うわわわわっっ!?」



 シュウイが(いた)く驚いた事に、石をぶつけられたモグラが爆発したのである。それも結構な威力をもって。



「……これって……ゲームじゃなくて地雷原なんだ……」



 その後スキルレベルを3まで上げた上で確認したところ、このスキルは相手の周りの地面に多数のモグラを配置するというものらしい。モグラの数はスキルのレベルに依存して増えるようで、最初は一匹だけだったがLv2では五匹、Lv3まで育てた今では十匹のモグラが出現する。

 たかが十匹と(あなど)るなかれ。爆発の威力もスキルレベル依存なので、今ではちょっとした地雷原である。しかも、一匹のモグラが爆発すると、その近くのモグラが連鎖的に誘爆するようになっているのだ。どこの対潜爆雷(ヘッジホッグ)かと言いたくなる。敵にとっては腹立たしい事に、モグラの出現する範囲もスキルレベルに従って拡大するため、Lv3の地雷原では飛び越えるのも容易ではない。

 更に嫌らしい事に、モグラが出現する地点は固定ではなくランダムで、どこに現れるのか見当が付かない。現れたモグラを踏まない限り爆発は起きないので、運さえ好ければ地雷原を突破するのも夢ではない。……まぁ、実際には「見果てぬ夢」なのであるが。



「……これって、なまじモグラが可愛い分凶悪だよね……」



 まぁ凶悪なのは確かであるが、その凶悪さは自分に向けられる訳ではない。そう割り切ったシュウイは、残るスキルに意識を向けた。今日はこの後テムジン工房に行き、その後は冒険者ギルドで新人たちと落ち合う予定だ。あまりノンビリとしてもいられない。



「……とは言っても……【歌舞の心得】の効果なんて、どうやって確かめたらいいのかな……?」



 (しば)し首を捻っていたシュウイであったが、ここで以前に聞いた心得スキルの特性を思い出す。確か心得スキルの効果は、関連するスキルの取得や上達を補助するというものであった筈。なら、効果の確認などは気にせずに、ただ只管(ひたすら)レベルを上げれば良いのではないか? であれば問題となるのは、どうやって【歌舞の心得】のレベルを上げるかという事になるが……

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― 新着の感想 ―
[一言] 歌枕流の演舞で良いような。 歌舞を同時にこなさないといけないならダメだけど…。
[一言] 歌はたしか、般若心経やら何やら歌った時があったよね。
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