表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
435/919

第九十八章 その頃の彼ら 4.「ワイルドフラワー」~カナのイビルドッグ討伐 篇~

 トンの町でシュウイが悪巧みを巡らせ、タクマたちがリャンメン村近くの山でコボルト相手に奮闘している頃……



「――っ! くっ、しぶといわね!」

「お嬢様! 一旦お下がり下さい! ここは(やつがれ)が!」



 「ワイルドフラワー」の面々は……いや、正確に言えばカナとその従者のサンチェスは、この近在で名うての強モンスターであるイビルドッグと絶賛戦闘中であった。



「カナちゃん、頑張れ――♪」

「……()くやるよなぁ、カナも」

「従魔と二人だけでイビルドッグを討伐とか、どんな無理ゲーだって話よね」

「けど、実際戦えてる。と言うか、(むし)ろ押し気味」

「あれで結構カナも非常識組だからなぁ……」



 離れた位置で観戦中の仲間からの声援(笑)が功を奏しているのか、カナとサンチェスは徐々にイビルドッグを圧倒しつつあった。(もっと)も、昨日までのカナであったら、互角に戦う事すら難しかったであろうが。


 種明かしは簡単。カナはSPのありったけと、ついでに課金まで使用して、ロック状態だった【氷魔法】――β版から引き継いだもの――を有効化したのである。


 あまり知られていないが、SPは課金で増やす事ができる。ただし結構お高いのと、一人5Pまでという上限がある。

 ちなみにこの事は、スキル説明の箇所ではなく、課金についての説明の箇所に載っている。運営もあまり勧めたくはないのか、この事を知らないプレイヤーは多い。しかしながら、カナは当然の如くこの情報を察知しており、今回この手段に頼ったのであった。


 そして、復活した「氷の女王(カ ナ)」の実力と、シュウイ由来の魔石によって強化されたサンチェスの奮闘――と、仲間たちの温かい声援(笑)――の甲斐あって、さしものイビルドッグもついに光の粒子と化して虚空に消えたのであった。



「うわぁ……本当にやっちまったよ……」

「お疲れさまー♪ カナちゃん」

「さすが『氷の女王』はエグいわね……」

「ん。カナは色々とおかしい」



 カナ――とサンチェス――の壮挙に、何やら言いたげなパーティメンバーたちに対して、



「あら、見ていて判ったと思うけど、結構苦戦したのよ?」



 〝苦戦〟などどこ吹く風と、涼やかに笑みを浮かべて抗議するカナ。しかし、



「イビルドッグは上級職を含むパーティ推奨のモンスター。従魔と二人だけで(たお)せるような相手じゃない」



 ――というミモザの指摘(ツッコミ)が全てを言い表していよう。


 最初のうちはカナが【アイスバレット】で攻撃していたのだが、威力を高めるためにバレットを大きくすると、タメを作る隙を()かれて回避された。ならばと小さなバレットを連射する方向に舵を切ると、今度は被弾上等で突っ込んで来る。

 いい加減手を焼いていたところでサンチェスが銃撃で牽制(けんせい)して時間を稼ぎ、その隙にカナが長めの詠唱を決め、凍らせる事で決着したのである。

 それなりに時間がかかったのは確かだが、危なくなるようなシーンは一度たりとも無かったではないか。カナの勝利を喜ばない訳ではないが、こうもあっさりと勝たれると、チームメイトたる自分たちの存在意義を問われているような気がする。



「はぁ……まぁいいか。……それで、クエはクリアできたの?」

「えぇ、あたしの分はね。残るはセンちゃんの分だけね」



 そう言うカナの眼前には、クエスト終了を告げるメッセージウィンドウが浮かんでいた。どうやら減点無しにクエストをクリアーできたようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そういえば三人ともβってことは主人公は仲良しグループからハブられてて草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ